「明日の会議、この資料使うから、あとお願いね」
上司のその一言から始まる、地味に胃が痛くなる戦い。それが――パワポ資料のフォント地獄である。

資料を開いた瞬間、思う。「なんか、見づらっ…?」
パッと見で違和感。スライドをめくるたびに微妙に変わるフォントの大きさ、太さ、文字間。ゴシックと明朝が混在していて、もはやタイポグラフィのカオス。どうやらこの資料、3人の魂が宿っているらしい。

1ページ目はMSゴシック、2ページ目はメイリオ、そして3ページ目は謎の游ゴシック。なぜ…統一感とは…?
あげく、箇条書きの記号すら人によって違う。ハイフン派、点派、なぜか「■」派。文字サイズも12pt・14pt・16ptがランダムに踊る。プレゼン中に視線が迷子になるやつ。

こういうときに限って、上司は言う。「スライドは見やすさが命だから、ちゃんと整えておいて」
お、おう…。整ってなかったのは誰のせいか、とは聞かないでおいてあげよう。

そして地獄の“フォント揃え作業”が始まる。スライド50枚。しかも地味すぎて全然進んだ気がしない。やっと終わったと思ったら、「やっぱりフォント、もうちょい明るい印象のやつがいいかな」って。
おい、フォントって“印象”で変えるものじゃなくて、最初に決めてくれよ案件!

でも、この「フォント揃えマン」に今日もなる。誰も気づいてくれないけど、資料の“なんとなくの完成度”を底上げしてるのは、俺たちなんだ。