午後3時。昼食の余韻も落ち着き、会議も一段落、メールも返し終えたあたり――そのとき、やつは静かにやってくる。
そう、睡魔である。

しかもこの睡魔、午前中の「まだやる気あるぞ」感とは比べ物にならない。まるで羊毛に包まれた麻酔のように、じわじわと意識を侵食してくるのだ。目の前のエクセルが、なぜか砂漠のように乾いて見えるし、上司の声は子守唄にしか聞こえない。

眠気に勝つために、あらゆる手を尽くす。コーヒーを一気飲み、冷たい水で顔を洗い、立ち上がって背伸びして、時には「資料室行ってきます」と言って歩き回る。だけど、戻ってくるとまた同じ。
PCの画面に目を向けたまま、気づいたら5秒ワープしてる。あれ?さっきまで何見てた?

そして、隣の席の後輩は涼しい顔で仕事を進めている。何その集中力。こっちは意識の9割が瞼の維持に使われてるってのに。

ついには自分でもわけのわからない文章を打ち始める。「対策として業務改善案をしらす…しらす…?」
いや、しらすじゃない。何と戦ってるんだ自分。

でもこの戦い、たぶん誰もが通る試練だと思う。体力も気力も中途半端な午後の時間帯、集中力なんて幻想だ。
だから私は思うんです――午後3時の業務効率が悪いのは、努力不足じゃなくて人類の限界なんじゃないかと。