休憩室。そこは、戦場から一時撤退した兵士たちのオアシス…のはずだった。
でも実際は、そこに漂うのはコーヒーの香りよりも、「今日も暑いですね〜」という、無限にループする天気の話。

「梅雨入り、早いらしいですよ」
「昨日、急に降られてびしょ濡れで…」
「明日は晴れるみたいですね〜」
──知ってる!全部スマホで見たよ!って内心ツッコミながら、笑顔で「ほんとですね〜」と返すのがサラリーマンの処世術。

別に天気の話が悪いわけじゃない。でも、それしか話題がない空気って、なんだか自分がロボットになった気がしてくる。
みんなが「本音」や「趣味」を伏せて、無難さだけで構成された天気トーク空間。気温よりもこっちの空気の方がよっぽど寒い。

「最近、推しのアニメがさ〜」とか、「昨日のYouTube見ました?」なんて話をぶっ込もうものなら、
一瞬の沈黙。そして「…そうなんですね(ニコッ)」という笑顔の距離感爆弾。

結果、天気の話に戻る。天気最強説。

でも、よく考えたらこれはこれで、平和の象徴なのかもしれない。誰も怒らない、誰も否定しない、ただ天気を讃える時間。
…いや、それでもやっぱり話題の選択肢、もうちょい欲しい!