──時計はすでに21時。
定時後の仕事も一段落し、「やっと帰れる…」と椅子から立ち上がろうとしたその瞬間。
背後からやってくる軽いトーンの一言。

「ちょっとだけお願いしてもいい?」

…その言葉、軽く言ってる風だけど、全然軽くないんだよ!!!


いや、「これだけ」って言い方、ほんとズルいですよね。
“これだけ”って言われたら、断ったこっちが器の小さい人みたいになっちゃうし、
何より「お願い」ってワードを盾にしてくる感じが地味に巧妙。

で、実際にお願いされる内容が、“軽くない”のがデフォ。
「簡単な修正なんだけど、10枚分ね」みたいな、地味に時間食うやつ。
それでいて相手は「すぐ終わると思うんだけど〜」って謎の自信。

そんなわけで、もう頭の中では退勤後のラーメンのイメトレが始まってたのに、
一瞬で現実に引き戻される。
しかも、夜の会社って静かだから、キーボードを打つ音がやけに虚しく響くのよね…。


で、なんとか仕事を終えて帰る頃には、終電ギリギリ。
コンビニで買った晩ごはん(という名のジャンク)を片手に、「あれ、今日俺なにしてたっけ…?」と自問。
そして気づくのです。
**「“これだけ”で終わったこと、一度もない」**って。


優しさを利用されて疲弊する社会人、ここに爆誕。
もうさ、お願いするなら「悪いけど明日の午前中に見てもらえないかな?」とか、選択肢をくれ。
“お願い”の体をした強制依頼は、心にダメージくるから…。