脱サラしてBARをやってみた                ~<追記>コロナ禍での新たな気付き 個人経営飲食店の実態 -12ページ目

飲食店において食品ロスはつきものです。

食品ロスをいかに少なくするかによって原価率は大きく変わります。

メニューごとのオーダー量を出来るだけ正確にシミュレーションする事がセオリーなのでしょうが、小規模個人店ではそれは不可能に近いというのが経験から得た僕の考えです。

 

では、どうするのか。

当店の場合は、ロスの多い生鮮品の扱いを出来るだけ減らしました。

 

例えば、付け合せの野菜を共通化して盛り合わせ方を変えるようにしました。

また、仕込んだ後、チルドにできるメニューを増やしました。

最近は真空シーラーも比較的安価で購入できますので、チルドメニューの品質確保がしやすくなりました。

もちろん、チルドでもお客様に満足して頂けるメニュー開発(素材選び、レシピ、調理法など)は妥協なく行う必要がります。

また、ロスを覚悟してでも出したいメニューも共存させています。

 

バランスを取りながら自分の店に合ったロス低減の方法を研究する必要があると思います。

例えば、ランチを始めて、食品の回転を上げ、食品ロスを減らすことも一つの効果と言えます。

当店では開業9年目まで解決できない課題がありました。

それは、昼間に店舗を生かし切れていないことでした。

 

9年目までは当店の営業は夜のみで、ランチ営業を行っていませんでした。

その間、昼間は掃除など開店準備をしたり、仕込みをしたりするだけで、お金を生み出せていませんでした。

一人でランチ営業するには夜の営業時間を短くするしかなく、当店ではランチ営業よりも深夜営業の方が利益を生み出せると判断していたからです。

 

しかし、遅い時間帯のお客様が減ったことを契機に、ランチ営業を開始しました。

夜の営業時間を1時間短くし、11;45-14:00でランチ営業を始めたのです。

 

ランチを始めてまだ1年と少しで、まだまだ定着したとは言えませんが、昼間を生かせていないという課題はクリアーしました。

ただし、昼間も営業したからと言って、それが業績的に良かったかの検証するにはもう少し時間がかかります。

本当にこの二部体制がいいのかはこれから検証が必要ですが、もっと良い方法があれば、どんどん変化していけばいいと思っています。

 

しかし、お金を生み出さない時間を出来るだけ減らすということも、ある意味経費削減だと言えます。

経費削減の必要性を書いてきましたが、今回は逆の利益についての意識について書きます。

 

当店の場合、ジャックダニエルズというウイスキーは1杯650円でご提供しています。

原価は約130円なので利益は520円、利益率は80%となります。

 

ウイスキーハイボールというカクテルの場合、売値は700円、原価は150円なので、利益は550円、利益率は79%となります。

つまり、ショット売(1杯売)の場合、利益率は80%程度に設定しています。

 

一方、某スペインワインはボトルで売値8000円、原価4000円、利益4000円、利益率50%となります。

 

どれも利益率だけみるとかなり高い数値であり、うまい商売であるように思えるかもしれません。

しかし、利益額を見ると一杯飲んでもらって、わずか550円、ワインのボトルでも4000円しか儲からないということになります。

 

もちろん、この利益から家賃や光熱費などの経費を賄わなければならないわけですから、実質の利益額はほんのわずかという事になります。

そう考えると、1万円の実質利益を生み出す大変さがよくわかると思います。

 

僕の場合、サラリーマン時代は月給数十万円という給料を当たり前にもらっていたわけですから、当初、この利益を生み出すことの大変さの意識が薄かったことは否めません。

実際にお店を経営してみて、その大変さを実感し、同時に経費削減の意識も強まりました。

経費削減の努力を惜しまないと書いたばかりですが、経費削減とケチることは違います。

必要なものには惜しむことなくお金を使うことも必要です。

 

例えば、トイレットペーパー。

フワフワで拭き心地がいいものは当然、標準的なものよりも割高になるでしょう。

この場合、僕は標準的なものにした方が経費削減になるのではなく、ケチることになると考えます。

 

当店はお客様に日常生活から離れてリラックスした時間を過ごしていただきたいと考えているので、そのためには例えトイレットペーパーといえどもこだわりたいと考えています。

大げさなことではなく「ここのトイレットペーパーは家のよりも心地いいな」と思っていただければいいのです。

 

安価なトイレットペーパーにしたことによる年間数千円の経費削減よりも、小さなお客様満足の方が人知れず売り上げに貢献してくれているはずです。

つまり、やるべき事は、クオリティを下げてでも出費を抑えることではなく、同じクオリティのものを安く購入できる方法がないかを探すことです。

こだわるべきことはこだわり、その中でも経費削減できる方法はあるはずです。

家賃や光熱費など、月にまとまって支払う経費はその負担の大きさを実感しますが、日々購入しなければならないような消耗品などは、それほど大きな経費と認識していないケースがあります。

 

日々数百円程度の出費ですので、それも当然かもしれませんが、月間、さらには年間となると大きな経費となることが分かります。

つまり、日々数十円の経費削減でも年間で考えるとなかなか大きな経費削減になります。

無駄な物は買わない、安く購入できる手段があるのであれば、それをとことん突き詰める価値は十分にあると思います。

日々の経費削減は、自分のほんの少しの意識だけで実施できるのですから、やらない手はありません。

 

経費とは苦労して生み出した利益を吐き出す行為です。

言わば経費削減は利益を生み出しているのと同じことなのです。

後程述べますが、利益を生み出す大変さを意識していれば、経費削減の意識は自然と生まれてきます。