脱サラしてBARをやってみた                ~<追記>コロナ禍での新たな気付き 個人経営飲食店の実態 -11ページ目

ぼくがお店を始める前に、小規模飲食店の経営者の大先輩から「気にいらない客は帰せよ」と言われました。

その時は、「そんな横柄なことはできません」と思っていましたが、今となっては大先輩の言葉の真意がよく理解できます。

 

「気に入らない客」=「お店の個性に合っていないお客様」とすれば、前項で述べたお店の個性を好んで来ていただいているお客様にとって「お店の個性に合っていないお客様」は居心地を悪くする要因であり、へたをすると常連客を失うことになります。

 

当店では、僕が「お店の個性に合っていないお客様」と思った場合は、接客などを通じて、やんわりとそのお客様が居心地の悪い雰囲気を演出し、「腹は立たないけど、また来ようとは思わないな」と思われるようにつとめています。

 

「気にいらない客」を帰すかどうかはそれぞれの判断だと思いますが、お店の個性の半分を担っていただいているお店の個性に合ったお客様の居心地のいい環境を作れるよう気を配ることはとても大切なことです。

特に、当店のように回転率よりも定着率を重視するようなお店にとっては、大切な常連のお客様を守るという意識は常に持っておくべきだと思います。

小規模個人店には不思議とお店ごとに個性が似たお客様が集まってきます。

 

それは看板であったり、外環であったり、何らかの要素を見てご来店頂いた方は、その時点でお店側の個性と共鳴していらっしゃるという事です。

さらにご来店後、店内の雰囲気、居心地、フードやドリンクの趣味、店員の人柄を体験頂き、自分のセンスに共鳴するお店には再度ご来店頂けます。

つまり、お店の個性に共鳴しておただいたお客様が常連さんになっていただくわけです。

 

従って、お店ごとでお客様の個性が似てくるのは当然のことと言えます。

お客様の存在を含めて、お店が出来上がるわけですから、お店の個性はお店側50%+お客様50%です。

つまり、お店の個性の半分はお客様が作って頂いていると言えます。

当たり前のことですが、団体客はある程度の売上が見込めるので、お店にとってはありがたいお客様です。

特に当店のような小規模店舗では団体客があるだけで大きく売り上げが変わります。

 

そこで当店では小規模(全席12席)を逆に利用して、8名様以上で貸切プランを実施しています。

貸切プランの場合、あらかじめフードを決めさせていただき、ドリンクも限定したメニューで飲み放題にしています。

従って、貸切プランの場合は通常営業時よりも利益率は低下しますが、それを補うメリットがあります。

 

まずは、ある程度の売上が保障されること。

そして、フードメニューが決まっているので、事前準備が可能なこと。

当店は一人で営業していますが、フードメニューが決まっていれば、10名様以上でもドリンク&フードとも一人でオペレーションが可能です。

また、お客様のご要望に応じてプランを臨機応変に組み立てることもできるという個人店ならではの強味も生かせるのではないかと考えています。

お店の特定の個室を貸し切ってやる宴会はよくありますが、お店全体を貸し切ってパーティーができるというのもお客様にとってはメリットになるはずです。

 

通常、小規模店舗、個人店という事はウィークポイントととらえられがちですが、それぞれの店舗の環境を強味する視点と工夫は常に持ち続けるべきだと思います。

以前述べたとおり、小規模飲食店の食品やお酒の仕入れ価格は一般の小売価格です。

従って、最も安く購入する手段はインターネットでの通販です。

送料を考慮しても割安に購入できるでしょう。

しかし、インターネット通販には不安があります。

 

それは品質保持の問題です。

もちろん、模造品を買わされると言っている訳ではありません。

重要なのは保存環境なのです。

とくにワインや日本酒、ビールなどの醸造酒は保存環境によって品質が大きく変わります。

 

いくら、自店でワインセラーで保管したとしても、その前の問屋さんや小売業者さんの保存環境が悪ければ、納品された時点で品質が劣化している可能性があります。

その点、取引をお願いする酒屋さんは保存環境を見せてもらうこともできます。

インターネット通販業者さんでも、厳格に品質管理を行われている業者さんもありますし、そういったお店は品質管理の質問にも丁寧にご回答いただけますので、少なくともそういう確認を行い、自分でも試飲してみる必要はあるでしょう。

自分で飲むものならまだしも、お客様にお出しする商品はそのくらい気を配るのは当然のことです。

前項で述べた食品ロスの低減と同様に大事だと考えているのが、お酒のラインナップです。

僕が指摘したいのは、食品同様、日持ちのしない醸造酒(ビール、日本酒など)の発注の効率化ではなく、日持ちのする蒸留酒を含めたお酒のラインナップの問題です。

 

BARを想定して頂ければ分かりやすいのですが、どれだけのお酒のラインナップがあるかという点は、お客様にとってそのお店の魅力を判断する大きな一つの要素です。

かと言って、たくさんの種類のお酒を揃えればいいというものではありません。

それは、お店に並べているお酒は在庫だからです。

 

つまり、お酒のラインナップが充実していればしているほど、在庫が膨らむという事です。

飲食店を始める際は、「あれもこれも置きたい」という気持ちになることは分かりますが、出来るだけ絞ったラインナップでお客様に満足して頂けるかを考えることも大事だと思います。

そして、開店後のお客様からの人気度(=消費実績)を見ながら常にラインナップの見直しを繰り返す必要もあります。