「何で急に別れなないといけないんだよ」

「ふざけるなよ」


と怒りがわいていた


付き合って2年になる彼、恋人に振られて苛立っていた


イライラしながら街中をブラブラ歩いていた


「あーイライラする」


ふと目の前に理髪店が現れた


見た目は少し古そうな年期のありそうな理髪店だった


彼はためらいもなく店に吸い寄せられるかのようにドアを開けた


「いらっしゃい」


店主が椅子から立ち上がった


「あっどうも」


「カットでよろしいですか?」


店は年期のある古そうな理髪店なのに


若い店員がいた


「それじゃ」

「カットでお願いします」


「ではこちらへどうぞ」


いつもはおしゃれな美容室に通っているのだが


なぜか今はここにいる


椅子に座りタオル、刈布を巻かれた


「今日はどうします?」


と訪ねられて少し慌てた


「あっ‥えっと…」


口を濁した


彼はなぜか店員に話始めた


「実は彼と別れたばかりで…」


今までの経緯を細かく話した


店員は優しく聞いてくれた


「それは辛いですね」

「イラつくのもわかりますよ」


と優しく言ってくれた


「聞いてくれてありがとう」


店員が…


「彼を忘れるためにバッサリいっちゃいましょうか?」


「俺短い髪型はあまりしたくないんですよ」


「なぜですか?」


「短い髪型は似合わないような感じなので」


すかさず店員は


「そんなことないですよ」

「顔立ちもいいし、頭の形もいいから」

「絶対に似合いますよ」


「そうですかね?」


「自分に任せてもらえるならカッコよくしますよ」


「それじゃ」

「おまかせします」


「バッサリいきますね」


すると店員はガタガタと何かを取り出した


その手にはいつも見るのとは違うごついバリカンだった


バリカン片手に


「やっていきますね」


と一言


すると額にバリカンを当てられ前髪が刈り落とされた


「えっ!!」


「ちょっと待ってください」


と慌てて口を出した


「どうかしましたか?」


「おまかけって坊主ですか?」


「そうですが」

「ダメでした?」


彼は呆然としていた


「このままにしておきますか?」


「こんな髪型じゃ外歩けねぇよ」


「坊主にするから続けてやって」


とあきらめて坊主にすることにした


店員は続けてバリカンをいれていった


彼の髪がバッサバッサと床や刈布の上に落ちていった


店員は彼の頭を丁寧に刈り続けていったた


「やっぱり坊主似合いますよ」

「さっきより男前になりましたよ」


彼はなぜか満足げな顔になっていた


恥ずかしそうに


「坊主似合いますかね?」


と店員に聞き返した


「坊主の方が男前でいけてますよ」


刈布を外され彼は自分の頭を触ってみた


ショリジョリとした手触り


「きもちいい」


と一言!


「顔剃り、シャンプーはしますか?」


「はい、お願いします」


その後 シャンプー、顔剃りを行い

会計を済ませて彼は帰宅した


彼は家に着くと坊主頭をグリグリ撫で回し


鏡でなんども青白い頭皮を眺めていた


それから彼は

髪が伸びるたびにそこの理髪店にいき坊主を維持してきた