第一章:夜の帳と、回転灯の停止
​夜の十時。商店街の喧騒がすっかり鳴りを潜めた頃、大通りから一本入った路地に佇む理容室『バーバー・サトウ』の前に、一人の男が立っていた。
彼の名は寛人(ひろと)。二十六歳の、ごく平凡な会社員である。しかし、今夜の彼は平凡とは程遠い、破滅的なまでの興奮と緊張に身を焦がしていた。
​ガラス窓の向こうで、ゆっくりと回っていた赤、白、青のサインポールが、パチリという音とともに回転を止めた。店内の照明が半分ほど落とされ、シックなジャズのBGMも消える。
静寂が支配する店内に、白衣を着た若い男の影が動いた。
理容師の健二(けんじ)である。三十歳。短く刈り込んだ見事なフェードカットの坊主頭が、落とされた照明の中で逞しく輝いている。
​寛人が唾を飲み込んだその瞬間、店の入り口の鍵が内側から開けられ、ドアが数センチだけ開いた。
「……どうぞ、入ってください」
低く、落ち着いた、しかしどこか熱を帯びた健二の声が、夜の冷気に溶け込んでいく。
​寛人は吸い込まれるように店内に足を踏み入れた。カチャリ、と背後で施錠される音が響く。それはもう、引き返せないことを意味していた。
「本当に、誰も来ませんよね……?」
寛人の声は小さく震えていた。
「ええ、閉店後の完全なプライベート時間ですから。今夜は朝まで、僕とあなただけの場所です。誰にも邪魔されませんよ」
健二は優しく、しかし有無を言わせぬ確信に満ちた笑みを浮かべた。
​二人は以前からの知り合いではなかった。寛人がネットの掲示板で「初めて坊主頭にしたい。できれば、特別なシチュエーションで、そういう趣味に理解のある理容師にお願いしたい」と書き込んだところ、健二がすぐに反応したのだ。
健二自身、重度の「坊主フェチ」「断髪フェチ」の理容師であり、美しい髪を持つ男が無防備に丸刈りにされていくプロセスに、異常なまでの性的興奮を覚える男だった。
一方の寛人もまた、いつか自分の髪をすべて刈り落とされ、無力な坊主頭にされる妄想に夜な夜な悶える「被刈りフェチ」だった。
​二人の倒錯した欲望が、この閉店後の理容室で、ついに交わろうとしていた。
​「緊張していますか?」
健二が寛人の肩に手を置いた。がっしりとした、理容師らしい温かく大きな手だ。
「はい……心臓が、破裂しそうです」
「それでいいんです。その緊張が、これから始まる儀式を最高のものにしてくれますから。さあ、奥の更衣室へどうぞ。約束通り、身につけているものはすべて脱ぎ捨てて、全裸になってください」
​全裸。
カットクロスを巻かれる際、その下は何も身につけない。それが、健二が提示した絶対の条件だった。衣服という「日常の防壁」をすべて剥ぎ取られ、ただ一枚のナイロン布に包まれることで、感覚は極限まで研ぎ澄まされる。
​寛人はこくりと頷き、更衣室へ向かった。
衣服を一枚ずつ脱いでいくたびに、心拍数が跳ね上がる。シャツを脱ぎ、ズボンを滑り落とし、最後に下着を脱ぎ捨てる。
鏡に映る自分の体は、すでにこれからの事態を予感して強張っていた。そして、恐ろしいことに、まだ髪を切られてもいないというのに、股間のペニスは微かに熱を持ち、固くなり始めていた。
全裸のまま更衣室のカーテンを開け、寛人は一歩を踏み出した。
​第二章:滑らかなるナイロンの檻
​冷たい床の感触が、足の裏から脳髄へと突き抜ける。
明るさを落とした理容室の、しかし自分の姿を克明に映し出す巨大な鏡の前に、寛人は立っていた。
「素晴らしい……」
健二が、陶酔したような吐息を漏らした。
「衣服を脱ぎ捨てたあなたは、本当に無防備で美しい。さあ、こちらへ」
​促されるまま、重厚な革張りの理容椅子に腰を下ろす。冷たいレザーの感触が、臀部から太ももの裏へと直接伝わり、寛人は思わず小さく身体を震わせた。
「これから、あなたを髪の毛一本残さず、滑らかな坊主頭にします」
健二はそう言うと、傍らに用意していた一枚のカットクロスを広げた。
それは、深いロイヤルブルーの、シルキーな光沢を持つ大判のナイロンクロスだった。
​バサリ、と空気を孕んでクロスが広がり、寛人の頭上から降ってきた。
滑らかなナイロンの生地が、寛人の首元から全身を包み込んでいく。
健二は寛人の背後に回り、クロスの襟元を整えた。
「少しきつく締めますね。髪の毛が中に入らないように」
そう言って、ネックシャッターと呼ばれるゴム製の帯を首元に密着させ、その上からクロスのマジックテープをぐっと引き絞った。
「あ……」
首元をきつく締め上げられ、外界から完全に遮断された感覚。
首から下は、完全にダークブルーのナイロンの「檻」の中に閉じ込められた。
衣服を着ていない皮膚に、直接クロスの滑らかな裏地が触れる。身動きをするたびに、サラサラ、カサカサという独特の擦れる音が店内に響いた。
​「鏡を見てください」
健二の言葉に、寛人はおそるおそる鏡に目を向けた。
そこには、首から下が完全にブルーの布で覆われ、頭部だけがぽつんと突き出た自分の姿があった。
そして、クロスの下で、寛人の身体は極限の興奮に達していた。
さきほどから固くなり始めていたペニスは、ナイロンクロスの閉鎖的な空間、そして健二の鋭い視線に晒されることで、完全にそそり立っていた。
怒張したペニスが、クロスのフロント部分を内側からぐっと押し上げ、小さな「テント」を作り出している。
​「ふふ、もうこんなに興奮しているんですね」
健二は、クロスの下にできた明らかな突起を見逃さなかった。
彼は寛人の前に回り込み、そのテントの真ん前に立った。
「髪を刈る前から、こんなにビンビンにするなんて……本当に坊主にされるのがお好きなんですね」
「う、あ……すいません……自分でも、止められなくて……」
寛人は顔を真っ赤にして俯いた。
​「謝る必要はありませんよ。むしろ、僕もそれを見て、たまらなく興奮しています」
健二の目が、暗がりの中で怪しく光った。
彼はゆっくりと手を伸ばすと、ナイロンクロスの上から、寛人の勃起したペニスを手のひら全体で鷲掴みにした。
「ひゃっ……!」
ダイレクトに伝わる健二の手の温もりと強さに、寛人は背中を跳ね上げた。
「すごい硬さだ……。衣服がないから、クロスの薄い生地一枚を通して、あなたの熱さとドクドクという脈動がそのまま伝わってきますよ」
健二は、そのままクロス越しに、ゆっくりとペニスを握り締め、上へと滑らせた。
シャリ、シャリ、とナイロンが擦れるエロチックな音が、二人の間に響く。
​「あ、そこ……っ、クロスの上からなのに、すごく、気持ちいい……」
「そうでしょう。このナイロンの滑らかな質感が、衣服とは違う官能的な摩擦を生むんです」
健二は手のひらで包み込むようにして、軽くシコり始めた。
激しく揺さぶるのではなく、愛おしむように、しかし確実に快感を刻み込むように。
「あ、あっ、うぅ……!」
寛人は首を後ろに反らし、理容椅子のヘッドレストに頭を押し付けた。
興奮はすでに決壊寸前だった。ペニスの先端から、熱い先走りの液が溢れ出てくるのが自分でも分かった。
「おや、もう先走りが出てきましたね。クロスにじわじわと染みていくのが分かりますか?」
健二の手がペニスの先端を指先でなぞる。
ナイロンの生地が、内部からの分泌液で濡れ、わずかに色を変えていく。先走りの粘り気がクロス越しに伝わり、ネチャネチャとした淫らな感触と音を立て始めた。
​「これ以上やると、刈る前にイッてしまいそうですね。少し、お預けにしましょう」
健二は名残惜しそうに手を離した。
寛人は、解放された安堵感と、さらなる飢餓感に身悶えした。
​第三章:センターバリカン、落ち武者の悦楽
​「では、いよいよあなたの美しい髪に刃を入れます」
健二がワゴンから一台のバリカンを取り上げた。
重厚なプロ仕様のバリカン。その金属の刃が、店内のわずかな光を反射して冷たく光る。
コンセントにプラグが差し込まれ、健二がスイッチを入れた。
​ブゥゥゥゥゥン……。
​店内の静寂を切り裂いて、低く重いバリカンのモーター音が響き渡る。その微細な振動は、空間全体を震わせ、寛人の鼓膜を直接揺らした。
「ミリ数は……まずはアタッチメントなし、最短の0.5ミリで行きましょう」
「れ、0.5ミリ……!?」
寛人は驚愕した。それはほとんど「スキンヘッド」に近い、青々とした剃り跡になる細かさだ。
「そうです。あなたの記念すべき最初の坊主頭です。徹底的にやりましょう」
​健二は寛人の背後に立ち、左手で寛人の額をしっかりと固定した。
逃げられないように。
「いきますよ」
バリカンの刃が、ゆっくりと寛人の額の生え際に近づいていく。
冷たい。
金属の刃先が額の皮膚に触れた瞬間、寛人はゾクゾクとする鳥肌が全身に立つのを感じた。
そして、健二の手が動き出した。
​ブオォォォォン……!
​バリカンが、額のセンターから頭頂部に向かって、一直線に進む。
「あ、あああああっ……!」
脳天を直接揺さぶるような振動と、髪が根元から刈り取られていくジョリジョリという凄まじい音。
バリカンの通り道に沿って、一瞬にして頭皮が完全に露出していく。
落ちていく髪の毛が、バラバラと音を立ててフロントの青いクロスの上に降り注ぐ。
「ほら、見てください。一筋の道ができましたよ」
健二の声に、寛人は目を開けて鏡を見た。
​そこには、頭の真ん中だけが0.5ミリの青々とした地肌になり、左右にだけ長い髪が残された、無残な「落ち武者」のような自分の姿が映っていた。
「うわ……なに、これ……」
あまりにも滑稽で、あまりにもエロチックな己の姿。
「最高にエロいですよ、寛人さん。落ち武者状態の自分を見て、どんな気分ですか?」
健二はわざと、バリカンの手を止めて尋ねた。
「恥ずかしい、です……。でも、すごく、ゾクゾクして……股間が、また……」
寛人が下を向くと、クロスの下のテントは、先ほどよりもさらに巨大に、そして硬くそそり立っていた。
「本当に可愛い人だ」
​健二はバリカンのスイッチを切ると、再び寛人の前に回った。
「そんなに興奮しているなら、少しご褒美をあげましょう」
健二は、今度は両手で、ナイロンクロスの上から寛人の股間を包み込んだ。
先走りの液でネチャネチャと湿った部分を、指先でぐにぐにと押し潰すように揉みほぐす。
「はぅぅっ! あ、あ、そこ……!」
「落ち武者姿でシコられる気分はどうですか? 恥ずかしいですか? それとも、気持ちいいですか?」
「両方、です……! 恥ずかしくて、頭がおかしくなりそうだけど……すごく、気持ちいい……!」
​健二は身をかがめ、寛人の顔に自分の顔を近づけた。
「キス、しましょうか」
「え……?」
答える隙も与えず、健二の唇が寛人の唇を塞いだ。
理容室特有の、シェービングソープとポマードの男らしい香りが、健二の息と共に寛人の口内へ流れ込んでくる。
深く、激しいキス。お互いの舌が絡み合い、湿った音が店内に響く。
寛人は両腕をクロスの中でバタつかせたが、首元が固定されているため、上半身を自由に動かすことができない。その不自由さが、さらに彼を従順な玩具へと仕立て上げていった。
​健二はキスをしながら、クロス越しにペニスの根元を軽くシコり続けた。
「んむ……ん、はぁ……」
唇が離れたとき、二人の間には銀色の糸が引いていた。
寛人の瞳は完全に潤み、息は荒く、狂おしいほどの快感に支配されていた。
​第四章:虎刈りの拷問、羞恥と愛撫
​「さて、次はどうしてほしいですか?」
健二は、再びバリカンを手にした。
「綺麗に……綺麗に刈ってください。もう、この恥ずかしい頭は嫌です……」
寛人は哀願するように言った。
しかし、サディスティックな理容師が、そんな素直な要求を簡単に聞き入れるはずがなかった。
​「綺麗に? いいえ、まだ早いです。せっかくの機会ですから、もっとあなたの恥ずかしがる顔が見たい」
健二は意地悪く微笑むと、再びバリカンを起動した。
そして、今度はランダムに、側頭部や後頭部の髪を、まばらに、不均等に刈り始めた。
​ジョリッ……ジョリジョリ……。
​右の耳の上が丸く刈られ、左の後頭部が斜めに削ぎ落とされる。
わざと長い髪を残した部分と、0.5ミリの丸坊主の部分が、モザイクのように混ざり合っていく。
「ああっ、変な刈り方……! 虎刈りになってる……!」
「そう、見事な虎刈り(とらがじ)です。どこからどう見ても、まともな人間の頭じゃない。滑稽で、哀れで、でも最高に扇情的なスタイルです」
健二は楽しそうに、ハサミとバリカンを交互に使い、わざと不揃いな段差を作り出していった。
​鏡の中の寛人は、もはや社会的な尊厳をすべて剥ぎ取られたかのような、滅茶苦茶な頭髪になっていた。
「ほら、自分の頭をよく見て。この恥ずかしい姿のまま、外に放り出されたらどうしますか?」
「嫌です……! そんなの、死んじゃいます……!」
寛人は涙ぐみながら首を振った。その拍子に、首元からこぼれ落ちた短い毛くずが、クロスの襟元に張り付く。
​「そうですよね。だから、僕にすべてを委ねるしかないんです」
健二はハサミを置くと、寛人の身体にぴったりと密着した。
彼の逞しい胸板が、クロスの外側から寛人の胸を押し潰す。
健二の手が、クロスの襟首から、そっと内側へと滑り込んできた。
「あっ……!」
温かいダイレクトな手が、寛人の鎖骨をなぞり、そのまま胸元へと降りていく。
衣服を着ていない、完全な素肌。
健二の指先が、寛人の敏感な乳首に触れた。
​「ひゃうんっ!」
寛人は腰を浮かせたが、健二のもう片方の手が、クロスの外から股間をがっちりと押さえつけて固定した。
「乳首、すごく敏感ですね。ピンと立ち上がっていますよ」
健二は指先で寛人の乳首を挟み、コリコリと細かく刺激した。
同時に、クロスの外側にある手で、勃起したペニスを激しく、しかし的確にシコり上げる。
​「ああああっ! 乳首、だめ……っ、頭が、じんじんする……っ!」
「頭皮への刺激と、乳首への刺激、そして股間への刺激……トリプルで攻められると、どうですか?」
「おかしく、なる……! 気持ちよすぎて、おかしくなるぅっ!」
寛人の頭から、虎刈りの髪の毛がさらにハラハラと落ちていく。
その髪がクロスの表面を滑り落ち、健二のシコる手の甲にかかる。
髪の毛、ナイロン、皮膚、分泌液、それらすべてが混ざり合い、異様なエロティシズムを形成していた。
​健二は再び寛人の唇を奪った。
今度はさらに深く、舌を奥深くまで挿入し、寛人の唾液を貪るように吸い上げる。
「んぅぅーーー! ん、んんっ!」
寛人は鼻を鳴らし、涙を流しながら、その濃厚なキスを受け入れた。
首筋に健二の手が回り、強く愛撫される。
クロスの下では、乳首とペニスが絶え間なく責め立てられ、寛人の身体は痙攣するように震え続けた。
​第五章:美しき丸刈りへの昇華
​十分な愛撫の後、健二はゆっくりと手を引き抜いた。
寛人の身体は弛緩し、熱い息を吐き出しながら、ぼんやりと鏡を見つめていた。
「さあ、お待たせしました。そろそろ、この無残な虎刈りを、美しい丸刈りに仕上げてあげましょう」
健二の声は、どこか神聖な儀式を執り行う神官のようだった。
​バリカンのアタッチメントを完全に外し、刃の手入れをしてから、再びスイッチを入れる。
ブゥゥゥゥゥン……。
​健二は寛人の頭頂部に手を添え、優しく、しかし確実にバリカンを滑らせていった。
今度は一切の迷いなく、容赦なく、均一に。
​ジョリジョリジョリジョリジョリジョリ……!
​心地よい、そして圧倒的な連続音が頭皮を包み込む。
残されていた長い髪、不揃いだった虎刈りの凸凹が、バリカンの通過とともに、一瞬できれいな青い地肌へと平らげていく。
額から脳天へ。
右の側頭部から、耳の周りを慎重に、そして美しく刈り上げていく。
左の側頭部、そして最後に、襟足から後頭部へとバリカンが駆け上がる。
​「あぁ……落ちていく……僕の髪が、全部……」
寛人は、鏡の中で自分が「完成」していく様子を、ただ見つめることしかできなかった。
無駄なものがすべて削ぎ落とされ、頭の形が完全に露出していく。
そこには、少し青みがかった、しかし非常に美しい頭のラインを持った、完全な「坊主頭」の男がいた。
​最後の仕上げに、健二はトリマーを取り出し、耳周りや襟足の産毛をきれいに剃り整えた。
チリチリと細かな音がして、すべての工程が終了した。
​健二はブラシを手に取り、寛人の顔や首筋に付着した細かい毛くずを、丁寧に、優しく払い落とした。
「見てください。完璧な丸刈りです」
鏡の中の自分。
髪の毛は一本もなく、ミリ単位で整えられた、極限の坊主頭。
触らなくても、その手触りの良さと、得も言われぬ清潔感、そして言葉にできない淫らさが伝わってくる。
​「どうですか、初めての坊主頭は?」
健二が尋ねながら、寛人の刈りたての頭頭部にそっと手を置いた。
「すごく……軽いです。それに、頭皮が直接、空気を感じて……不思議な気分です」
「ふふ、ちょっと触ってみますか?」
健二は、寛人の右手をクロスの中から引っ張り出した。
そして、その手を寛人自身の頭へと導いた。
​「あ……」
手のひらで触れる、自分の頭。
ジョリジョリとした、ベルベットのような、あるいは短い芝生のような、強烈な摩擦感。
自分の頭が、これほどまでに官能的な質感を持っているとは知らなかった。
「すごい……これが、僕の頭……」
「気に入りましたか?」
「はい……すごく、気持ちいいです……」
​「でも、髪が刈り終わっても、まだ終わりじゃありませんよ」
健二の言葉に、寛人はハッとした。
確かに、髪は完全に刈り上がったが、寛人の首元には、まだあのブルーのカットクロスが固く結ばれたままだ。
「カットが終わっても、クロスは外しません。むしろ、これからが本番です」
​第六章:クロスの暗闇、深淵なるフェラチオ
​健二は、理容椅子のレバーを引き、寛人の身体を少し後ろに傾けた。
そして、自分は寛人の足元の間に、ゆっくりと膝をついた。
​「寛人さん。このクロスの下で、あなたのペニスは、今どんな風になっているか分かりますか?」
「え……あ、すごく、固くて……先走りで、ベタベタです……」
「そうですね。このクロスを外さずに、僕が今から、この中に入ります」
​「えっ……!? 中に、入る……?」
寛人が目を見開いた。
​健二は、寛人の足元を覆っているクロスの裾をそっと持ち上げた。
そこには、外の光を完全に遮断した、薄暗く温かい「ナイロンのドーム」が広がっていた。
全裸の寛人の下半身、そして限界まで反り立ち、先走りの涙を流しているペニスが、その暗闇の中で待ち構えている。
​「中で、何が起きているか、鏡越しに想像してくださいね」
健二はそう言うと、頭を低く下げ、クロスの裾から、その暗闇のドームの中へと、ずるりと潜り込んでいった。
​バサリ……。
​クロスの裾が静かに元の位置に戻り、健二の姿は完全に消えた。
外から見えるのは、寛人の美しい坊主頭と、首から下を覆うブルーのクロス、そして、そのクロスの足元が、中にいる健二の存在によって不自然に膨らんでいる光景だけだった。
​「あ……っ!」
寛人は思わず声を漏らした。
クロスの暗闇の中で、冷たい外気が一瞬入り込み、その直後、健二の熱い吐息が、寛人の太ももや股間に吹きかけられたからだ。
​「寛人さん、聞こえますか?」
クロスの中から、少しくぐもった健二の声が響く。
「はい……聞こえます……」
「中はすごく温かいです。あなたの体温と、ナイロンの熱がこもって、最高の空間ですよ。そして……あなたのペニス、本当に素晴らしい」
​言葉が終わるか終わらないかのうちに、寛人のペニスに、温かく湿ったものが触れた。
「ひゃんっ!」
健二の舌だった。
ペニスの先端、先走りでネチャネチャになった亀頭の割れ目を、健二の舌先が割れ目に沿って、ゆっくりと舐め上げる。
「あ、ああああっ! 直接……直接、舐められて……っ!」
視覚が完全に遮断されているため、触覚の快感は通常の何倍にも膨れ上がっていた。
しかも、首元はしっかりと固定されたクロスで覆われているため、逃げることも、中にいる健二を押し退けることもできない。
ただ、下半身で行われている愛撫を、すべて受け入れるしかなかった。
​ジュプ……ジュルッ、ジュポッ……。
​クロスの中から、生々しい、卑猥な水音が響いてくる。
健二は、寛人のペニスを根元まで一気に口内に含んだ。
「うおぉっ……! お、奥まで……入ってる……!」
喉の奥で締め付けられるような強烈な圧迫感。
健二の温かい口内が、寛人のペニス全体を包み込み、激しくピストンし始める。
​「あ、あ、すごい、これ、やばい……っ!」
寛人は、理容椅子の手すりを両手できつく握り締めた。
首元から下のクロスが、健二の頭の動きに合わせて、激しく上下に揺れている。
鏡を見ると、美しい坊主頭の自分の下で、青いナイロンの塊が生き物のように蠢いている。
その視覚的な倒錯感が、寛人の脳をさらに狂わせた。
​「んむ……ジュポ……ン、んぐ……」
健二は、容赦なくバキュームを強め、寛人のペニスを吸い上げていく。
時折、クロスの内側から、健二の手が寛人の袋を優しく揉みほぐし、快感を極限まで高めていく。
「あ、ダメ、もう……! イク、イっちゃう……っ!」
「(んぐ……んんっ!)」
健二は、さらに激しく口を動かし、寛人を逃がさない。
逃げ場のないナイロンの暗闇の中で、寛人のペニスは限界を超え、今にも弾け飛ばんばかりに脈打っていた。
​「あ、出す……! 口の中に、出すよ……っ!」
寛人が叫んだ瞬間、健二はさらに深く、喉の奥までペニスを咥え込んだ。
​「あ、ああああああーーーーっ!!」
​寛人の身体が大きくのけ反り、腰が激しくガクガクと震えた。
極限まで高まった快感が一気に爆発し、熱い精液が、健二の口内へと豪快に射出された。
​ドクッ、ドクッ、ドクッ……!
​何度も、何度も、熱い塊が吐き出され、健二の喉へと直接注ぎ込まれていく。
健二は、それを一滴もこぼさぬよう、喉を鳴らしてゴクリ、ゴクリとすべて飲み込んでいった。
​「はぁ……はぁ……はぁ……っ!」
寛人は、完全に脱力し、椅子の背もたれに深く沈み込んだ。
頭皮を吹き抜ける涼しい風が、信じられないほど心地よく、そして自分が完全に「生まれ変わった」ことを実感させた。
​しばらくして、クロスの裾から、ゆっくりと健二が顔を出した。
彼の口元は濡れ、その表情は、極上の獲物を平らげた満足感に満ちていた。
​「ごちそうさまでした。素晴らしいものを見せていただき、そして、素晴らしいものを味あわせていただき、本当にありがとうございました」
健二は、優しく微笑みながら、寛人の刈りたての坊主頭を撫でた。
​「こちらこそ……ありがとうございました」
寛人は、恥ずかしそうに、しかし心からの幸福感に満ちた笑みを浮かべ、自分の美しい丸刈り頭を、もう一度愛おしそうに撫でるのだった。
​夜の理容室は、再び深い静寂に包まれていった。