二人は愛しあい、求めあった…
いつの間にか寝ていた圭介は、絵里の姿が無いことに気付いた。
そしてテーブルの上にある備え付けのメモには絵里からのメッセージが書かれていた。
´織田さん。今日はありがとう。もう会うことは無いと思うけど、本当に今までありがとう。織田さんの優しさに甘えたかったけど、やっぱり自分の過去を知らない街に行きます。さようなら。´
圭介は読み終えてしばらくボーっとしていた。
「やっぱりか…。」
圭介は以前絵里と飲んだ時に、悩み事を聞いていた。
絵里はヘルスで働いていた時、顔は表に出していなかったものの人気があり、そのため街を歩いていてもお客と会うこともあって、友人と居る時でも声をかけて来る人もいて困る。更に辞めた後でもそんなことがあり、違う街で暮らしたいと言っていた。
確かに圭介も札幌駅と大通公園で二度程会ったことがあったが、お互い連れが居たので目でお互い挨拶をした程度だった。
時間は7時を回っていたが、ホテルを出た圭介は絵里のアパートに向かった。
アパートのドアの前に立ち、ガスのメーターに閉栓を示す札を見た時、圭介は本当にこれが最後だな…と感じた。
ふと圭介は何故絵里はガスの止まっているアパートに来たのか不思議に思った。
絵里はずーっと借りていたと言っていた。
´もしかしたら…´
圭介はドアノブに手をかけた。