今回紹介する作品は

1960年(昭和35年)新東宝

「男が血を見た時」

三輪彰監督



あらすじ

お金持ちの息子•三田譲二(松原緑郎)はハイクでスピード違反した時にオートバイグループ「ブラックジャガー」のリーダー(浅見比呂志)と知り合う



今回はちょっとマニアックなブログです。





主役の三田譲二役の松原緑郎

松原浩二名で前回の「舞妓はん」に登場しましたね。



松原さんの経歴はこれまで判りませんでしたが、最近のwikiで少し判明しました。

松原緑郎 本名松原光一

1937年5月生まれ

明治学院大学英文科を中退して1959年新東宝に入社

おそらく主役候補として入社したと思いますがこの作品が初主演です。





ヒロイン山田京子(三ツ矢歌子)

三ツ矢さんと松原さんはこの作品からコンビを組む事になります。



三ツ矢さんの方が一つ年上でキャリアは4年長いですね。

新東宝ではこの時期に三原葉子さんと吉田輝雄さんのコンビも誕生しています。



他社では石原裕次郎さんと奥さんの北原三枝さんのコンビがありますが、キャリアのある年上の女優さんとのコンビはそう多くありません。



ちなみにこの年の新東宝の興行収入は石原裕次郎さん主演の作品よりも下回っていました。



松原さんのライバルになるブラックジャガーのリーダー金田達(浅見比呂志)

浅見さんは当時準主役級の俳優で一部の作品で主演をしてます。





ブラックジャガー所属のハリケーン(高宮敬二)

新東宝のユニット ハンサムタワーズの一員ですが今回の役は物分かりの良い兄貴分的なキャラで、新東宝時代の高宮さんにしては珍しい役です。





殺人犯でブラックジャガーに潜入した白田(鳴門洋二)

鳴門洋二さんは1957年に新東宝のギャングスター募集に合格

数々の助演を経て新東宝倒産直前の作品「底抜け三平、危険大歓迎」で初主演します。





ブラックジャガーのたまり場のマスター役(沼田曜一)

沼田さんは強烈なキャラの悪人役で知られてますが、こういうさり気ない役を実に上手く演じます。





ブラックジャガーのレディース役(扇町京子)

三原葉子さんに似ている彼女は新宿コマダンシングチーム出身でデビュー間もない出演です。





劇中で渡辺明セプテットというジャズバンドが挿入歌を歌います



今夜は死ぬほど酔いつぶれ

恐れもなく憂いもなく悔いもない

悪魔のキース 地獄のクイーン

月の浜辺で寝転んで ミイラみたいに寝てしまえ音譜


これは石井輝男監督「女体渦巻島」の時に使用された強烈な歌詞の歌ですが、今回の作品の主題歌がこの歌に極似してますので、作詞が三輪彰監督 作曲が渡辺宙明さんと判りました。

今回は渡辺明セプテットが歌いましたが、「女体渦巻島」では浅見比呂志さんが歌います。

そしてその後も浅見さんが「恋愛ズバリ講座」で歌い、新東宝倒産後にはテレビドラマの「土曜日の虎」でも歌いました。



浅見さんにとっては余程この歌が好きだったのでしょうね。





最後に、この時代のアクションシーンやカーチェイスシーンは現代に比べればかなり劣りますが、この作品では相当スリリングなシーンがありました。







松原緑郎さんのオートバイが転倒して崖から落ちるシーン



恐らくスタントマンが運転して崖にはマットが敷いていたと思いますが、当時の作品では相当思い切ったシーンと思いますね。








今回は舞妓はんシリーズ2作品を一挙紹介します。

1963年(昭和38年)松竹

「舞妓はん」

市村泰一監督



あらすじ

幼馴染みの板前見習い瀬川孝夫(橋幸夫)と舞妓の小美知(倍賞千恵子)は場外馬券場でバッタリ出会う。

正統派の舞妓作品です。



瀬川孝夫役の橋幸夫

板前見習いですが恰好は似合ってますね。

しかし、江戸っ子弁で喋るのは違和感がありましたね。(一応東京に数年間居た設定になってますが、京都生まれの人間が数年で江戸っ子弁になるとは思えません。)





舞妓の小美知(倍賞千恵子)

倍賞さんは当然舞妓役ですから京都弁を喋ります。

浪花千恵子さん達に比べたらアレですが、倍賞さんの京都弁は合格どすえ^ ^



真面目な舞妓さんですが競馬好きで二人で京都競馬場に行きますが、電車賃まで使ってしまい淀から祇園まで歩いて帰ります。

※実際は阪神競馬場でのロケでした。

阪神競馬場の旧スタンドが懐かしいです。





置屋のお母さんに浪花千恵子

流石の京都弁ですね。

浪花千恵子さんは続編でも同じ役で出演します。





倍賞さんと結婚する東京の踊りの家元の若師匠(松原浩二)

松原さんは新東宝末期に不良役で主役スターになりましたが、松竹に移籍してからは生真面目なキャラに変更しました。





四条通りにあるビルの屋上

南座が見えますね。





国鉄大津駅舎

この駅舎は今回初めて見ましたが、中々趣のある建物ですね。

大津駅舎は続編にも登場しました。



橋幸夫さんの江戸っ子弁以外は正統派作品らしく上手くまとめています。



次は舞妓はんシリーズ続編



1964年(昭和39)松竹

「花の舞妓はん」

市村泰一監督



あらすじ

東京の催しに行く事になった舞妓の雪路(倍賞千恵子)はヒッチハイクをして自動車修理のアルバイトをしている泉浩太郎(橋幸夫)の乗る車に同乗する。





泉浩太郎(橋幸夫)

今回の橋幸夫さんは東京の人間ですので、江戸っ子弁を喋っても問題ありません(笑)





舞妓の雪路(倍賞千恵子)

前回と舞妓とは打って変わりかなりやんちゃな舞妓さんです。

ヒッチハイクで車を止めようとするシーン





しかし舞妓姿は決まってます。



倍賞千恵子さんは松竹歌劇団出身なので、舞う姿も決まってました。



舞妓役で香山美子さんも出演

メインストーリーにあまり登場しなかったのは残念でした。





鉄道シーンは151系東海道本線特急が登場





後半は前作と同じく倍賞千恵子さんと橋幸夫さんの恋問題が中心になりますが、前半の倍賞千恵子さんのやんちゃぶりが楽しい作品です。





「花の舞妓はん」の映像のあるカラオケ動画がありましたので貼っておきます。





今回紹介する作品は

1960年(昭和35年)日活

あじさいの歌

滝沢英輔監督



あらすじ
若き商業デザイナー河田藤助(石原裕次郎)は、足を挫いた倉田源十郎(東野英治郎)を負ぶって自宅に送った時に純粋培養された娘のけい子(芦川いづみ)と出会う。





主人公の河田藤助(石原裕次郎)

石坂洋次郎原作の典型的な裕次郎さんの役柄ですね。



ヒロインの倉田けい子(芦川いづみ)



「あじさいの歌」の元になったあじさいの花をバックに撮影されたいづみさん。



父親の方針で中学以後学校へも行かずに家庭教師によって純粋培養されました。



純粋培養されても滅茶苦茶性格の良い彼女が外界に出て更に魅力を増します。

裕次郎さんではなく、いづみさんが主役といってもいいですね。



いづみさんの髪型も変化します。

ロングのいづみさん



ショートのいづみさん

個人的はショートのいづみさんの方が良いなと思いましたが、ブログを書く直前にロングの髪はカツラだったと判りました。





倉田源十郎(東野栄治郎)

実業家で大邸宅に住むが、自分の母親が男を作って家を出たトラウマから娘に独自の教育をする。





島村のり子(中原早苗)

父親がいづみさんの友達にする為に雇うが、後には裕次郎さんを巡るライバル関係になります。



裕次郎さんの作品では、いづみさんと早苗さんはいつもライバルになりますね。





長沢いく子(轟夕起子)

東野英治郎さんの妻だったが社員(大坂志郎)の仲を疑われ家を追い出される。

その後大阪・飛田の遊郭の女将になる。



日活の石坂洋次郎作品では轟夕起子さんの出演率が非常に高くなります



これは石坂洋次郎さんの希望なんでしょうかね。



鉄道シーン



EF58形電気機関車牽引の東海道本線夜行急行



当時の3等座席に座る裕次郎さんといづみさん。

大邸宅に住むお嬢様なんですから、寝台車なり2等車(グリーン車)に乗るのが当たり前と思いますが(笑)





クハ79形100番台の国電

千駄ヶ谷駅





轟夕起子さんが登場以後は少しドロドロした話になりますが、いづみさんの清楚さが素晴らしい作品です。










今回紹介する作品は

1957年(昭和32年)新東宝

「ひばりが丘の対決」

中川信夫監督





あらすじ

北海道の僻地にある高尾村に潜入した三人組の脱獄犯に花山勇吉(高島忠夫)が一人で対決する。





早速ですが、C58形蒸気機関車

北海道の村の設定になってますが、濃飛バスが映ったシーンがありましたので、ロケ地は岐阜県飛騨地方と思われます。

写真も高山本線の駅でしょうね。





この村には乗り合い馬車しかありません。

「平湯館」の看板がありましたので、平湯温泉でのロケでしょうか。



昨年平湯温泉に行きましたが、全然ムードは違います。





ストーリー上の主人公・花山勇吉(高島忠夫)

素浪人花山大吉のバクリのような名前ですが、こちらの方がずっと前に撮られてますので、花山大吉のスタッフが参考にしたのかも。





ヒロイン外村幸子(矢代京子)

矢代さんは「女体桟橋」の時に初紹介しましたが、中川信夫監督がスカウトして、この作品がデビュー作です。



典型的な清純派タイプですが、当時の新東宝の作風には似合わなかった為にあまり活躍出来なかったのが残念です。





後藤弓子(久保菜穂子)

浅草のストリッパーの彼女は兄が使い込みの犯人にされた冤罪をはらす為に村に来たが、

その事よりも、彼女のアッケラカンぶりに大注目。



「カルメン故郷に帰る」の高峰秀子さんを彷彿させるキャラですが、ぶっ飛び具合は数段上です。

久保菜穂子さんは後に「落語野郎大脱線」でコミカルな役を熱演しましたが、久保さんには喜劇を演じる才能あるなと思いますね。

本当に上手いです。





高尾村の村長(小倉繁)

久保菜穂子さんの兄を犯人扱いにします。



村長の息子・茂(国方伝)

実際は彼が金を盗ってました。

その事が発覚しましたが、久保菜穂子さんはあっさりと許します。





上高地?近辺で久保菜穂子さんが歌い踊ります。



久保菜穂子さんと国方伝さん

ストーリー本線よりも、村の奇抜な踊りや久保菜穂子さんの歌を楽しむ作品ですね。



中川信夫監督は怪談映画で有名ですが、本来は農村風景を撮る才能がある監督なのです。





花山勇吉家に飼われてる小熊

実際に熊を飼う家があったかは知りませんが、小熊の間は飼育可能だそうです。





臆病者と村人からからかわれていた高島忠夫さんが脱獄犯三人を退治して英雄視される。

そして恋人役の矢代京子さんとキスシーン



しかし、事実上の主人公は久保菜穂子さんであり、彼女の代表作と言える作品ですね。


今回紹介する作品は

1966年(昭和41年)日活

「俺にさわると危ないぜ」

長谷部安春監督



あらすじ

従軍カメラマンの本堂大介(小林旭)は終戦直前に沖縄で供出された金塊を巡る争いに巻き込まれる。



野良猫ロックシリーズや刑事ドラマで知られる長谷部安春監督デビュー作です。





主人公・本堂大介役の小林旭



作品紹介で「007」を彷彿させると書かれてますが、アキラはそんなにカッコ良くはありません。





ヒロインの沢之内ヨリ子(松原智恵子)



彼女の父親が沖縄の陸軍大佐で行方不明の「金塊」を鍵を握ったので犯罪組織から狙われます。





なんとキドリンは悪党達に2度も下着姿にされるわ



スプレーまで吹き付けられてしまいます。隣は郷えい治



当時人気絶頂だったキドリンに、ここまでさせる必要があったのでしょうか。





沖縄の現代女忍者集団「ブラックタイツ」のリーダー アキ子「北あけみ」



彼女の得意技は「オクトパスポット」

どんな技なのかは各自でお調べを(笑)





ブラックタイツに捕まるアキラ



はっきりいって彼女達のアクションはあまり上手くありません。





しかしその中で光るのはナツ子役の浜川智子



メジャーを使ってアキラを攻撃するケロリン



ブラックタイツは次々に殺されてしまうのですが、真っ先に死ぬのはケロリンなので、この辺も気に入りません。

彼女が一番アクションが上手いのですから最後まで残すべきですよ。





フユ子(西尾三枝子)

後のプレイカールメンバーになる彼女ですが、チョイ役でアッサリ殺されてしまいました。



百地流忍法研究所の百地三斉(左卜全)

どういう理由か知りませんが、アキラは彼と同居してます。






「俺にさわると危ないぜ」のオープニング

アキラ節が炸裂してます音譜

キドリンの扱い等少々不満点もありますが、スタイリッシュな展開が素晴らしく監督デビュー作としては上出来過ぎる作品に仕上がっています。


しかし、撮影予算を大幅にオーバーしたので長谷部監督は暫く干されてしまいました。