今回紹介する作品は
1961年(昭和36年)新東宝
「湯の町姉妹」
山田達雄監督

あらすじ
伊香保温泉の老舗旅館(伊香保館)の娘・道子(池内淳子)は三十路間近なのに結婚もせずに読書に没頭する日々。
妹の洋子(水原ユカ)は姉とは違い都会的な娘だった。
伊香保館の姉妹の話だけではなく従業員や宿泊客のエピソードを盛り込んだ、新東宝版グランドホテルです。

姉の道子(池内淳子)
結婚だけでなく、旅館も株式会社にして有能な者に経営を任せればいいというドライな性格です。
メガネがトレードマークですが、これが余計婚期を遅らせています。
池内さんは大蔵社長退陣後、各社からひっきりなしに移籍話を持ち掛けられましたが、新東宝と運命を共にすることを決め、倒産まで出演されました。
一時は大蔵社長に露骨に虐められましたが、最も新東宝愛があった女優さんでしたね。

洋子(水原ユカ)
21歳の妹の方は彼氏がいて、姉が早く片付いてくれないと困ると不満顔です。
水原ユカさんは大蔵社長退陣後にデビューした大型新人。新東宝最後のスターでした。
彼女の経歴は全く分かりませんが、かなりの演技派だったので、新東宝のスタッフが何処かの劇団員をスカウトしたのではないかと思います。
彼女の扱い方から、新生新東宝の方向性が分かりますが、結局それが生かされずに倒産してしまいました。

水原ユカさんの恋人は菅原文太さんでした。
文太さんの役は、旅館のボンボンです。
チャラ男キャラで、池内淳子さんの見合い相手でしたが、双方が断っています。
チャラい文太さんはちょっとね~

伊香保館の女将(花井蘭子)
いつも池内さんの結婚や旅館の行く末を心配してしています。
花井蘭子さんは元新東宝女優でしたが、大蔵体制が不満で去った方です。
大蔵社長退陣後の1961年は、花井さんの様に古巣に出演する方が結構いました。

女中役の三田泰子さん(左)と若杉嘉津子さん。
彼女達のエピソードシーンもあります。
三田泰子さんは1958年の「天城心中 天国に結ぶ恋」でヒロインデビューする予定でしたが、石井輝男監督が三ツ矢歌子さんでないとダメ!と強硬に反対したのでお流れに。
その後遺症からか、イマイチ魅力を発揮することなく女優人生を終わられました。

宿泊客のエピソードも満載です。
亀山(由利徹)と晴美(三条魔子)
二号さんから正妻を狙う三条さんと、由利さんとの会話が楽しい。

三条さんはお色気担当でもありました。
由利さんと「痴人の愛 」ごっこをしたり、お風呂の更衣室で着替え中男性客が入ってきても堂々としていて、貫禄十分でした。

珠代(小畑絹子)と雪夫 (浅見比呂志)
由利・三条のカップルと逆パターンですが、実は由利さんと小畑さんは夫婦だったのです。
小畑さんと浅見さんは「蛇精の淫」でコンビになっているので、ここからの連想なのでしょう。

島倉千代子さんが池内さんの友人の美容師役で出演。
冴えない池内さんを変身させようとします。
島倉さんって結構映画出演していますね。

島倉千代子さんが出演しましたから歌も披露。二曲歌いました。

島倉さんの腕で変身した池内さん

早速サラリーマン客の高宮敬二さんがダンスをお願いに来ました。
見合い相手だった文太さんも、すっかり見直します。

売れない作家役が沼田曜一さん。彼は伊香保館を定宿にしています。
実際に伊香保の老舗旅館でロケしたようですが、立派な木造建築ですね。
多分現在は取り壊されたと思いますが。

沼田さんの弟役が島倉征夫さん。島倉千代子さんの実弟です。
彼はこの時期に一時俳優活動をしていたそうで、歌も一曲歌いました。

由美子(星輝美)
宿泊客達は部屋を出てダンス等をしているのに、部屋に引きこもって訳ありの様子です。
今回の輝美さんが一番大人っぽいかな。

部屋には男(江見俊太郎)が居て、何となく不自然な様子です。
夫婦なのか?不倫関係なのか?

江見さんが輝美さんに迫ろうとすると、輝美さんは江見さんの腕を噛んで隣の部屋に逃げ込みました。
隣は老夫婦(林寛・徳大寺君枝)が使っていて、輝美さんは訳を話して一晩泊めてもらいます。
林寛さん徳大寺君枝さんは中川信夫監督の「地獄」でも夫婦役でしたね。
でも、あちらの作品はこんな良い夫婦ではありませんでしたが。

江見さんの留守中に部屋に戻り、江見さんの財布からお札を抜き取る輝美さん。
輝美さんはカモ(江見さん)に声をかけ、隙を見つけてお金を盗る悪党だったのです。
新東宝最後の作品が悪女役だったとは・・・

実は池内さんは沼田さんが好きだったのです。
作品途中で沼田さんの作品が賞を受賞し、最後は池内さんが帰る沼田さんを追っかけて終了。
あとがき
「湯の町姉妹」は1961年5月17日公開で、新東宝は二週間後に映画制作を停止して倒産しました。
大蔵社長退陣から五か月しか持たなかったのが悔やまれます。
せめてもう一年間続いて欲しかったな。
というわけで、出演者の大半が最後の新東宝作品となり、他社に移籍する者・フリーになる者・このまま引退する者と、散り散りバラバラになっていきました。
しかし、花井蘭子さんは、映画公開から4日後の5月21日に亡くなりました。享年42歳でした。
島倉千代子さんが劇中で歌った「おもいで日記」がありましたので貼っておきます。
1961年(昭和36年)新東宝
「湯の町姉妹」
山田達雄監督

あらすじ
伊香保温泉の老舗旅館(伊香保館)の娘・道子(池内淳子)は三十路間近なのに結婚もせずに読書に没頭する日々。
妹の洋子(水原ユカ)は姉とは違い都会的な娘だった。
伊香保館の姉妹の話だけではなく従業員や宿泊客のエピソードを盛り込んだ、新東宝版グランドホテルです。

姉の道子(池内淳子)
結婚だけでなく、旅館も株式会社にして有能な者に経営を任せればいいというドライな性格です。
メガネがトレードマークですが、これが余計婚期を遅らせています。
池内さんは大蔵社長退陣後、各社からひっきりなしに移籍話を持ち掛けられましたが、新東宝と運命を共にすることを決め、倒産まで出演されました。
一時は大蔵社長に露骨に虐められましたが、最も新東宝愛があった女優さんでしたね。

洋子(水原ユカ)
21歳の妹の方は彼氏がいて、姉が早く片付いてくれないと困ると不満顔です。
水原ユカさんは大蔵社長退陣後にデビューした大型新人。新東宝最後のスターでした。
彼女の経歴は全く分かりませんが、かなりの演技派だったので、新東宝のスタッフが何処かの劇団員をスカウトしたのではないかと思います。
彼女の扱い方から、新生新東宝の方向性が分かりますが、結局それが生かされずに倒産してしまいました。

水原ユカさんの恋人は菅原文太さんでした。
文太さんの役は、旅館のボンボンです。
チャラ男キャラで、池内淳子さんの見合い相手でしたが、双方が断っています。
チャラい文太さんはちょっとね~

伊香保館の女将(花井蘭子)
いつも池内さんの結婚や旅館の行く末を心配してしています。
花井蘭子さんは元新東宝女優でしたが、大蔵体制が不満で去った方です。
大蔵社長退陣後の1961年は、花井さんの様に古巣に出演する方が結構いました。

女中役の三田泰子さん(左)と若杉嘉津子さん。
彼女達のエピソードシーンもあります。
三田泰子さんは1958年の「天城心中 天国に結ぶ恋」でヒロインデビューする予定でしたが、石井輝男監督が三ツ矢歌子さんでないとダメ!と強硬に反対したのでお流れに。
その後遺症からか、イマイチ魅力を発揮することなく女優人生を終わられました。

宿泊客のエピソードも満載です。
亀山(由利徹)と晴美(三条魔子)
二号さんから正妻を狙う三条さんと、由利さんとの会話が楽しい。

三条さんはお色気担当でもありました。
由利さんと「痴人の愛 」ごっこをしたり、お風呂の更衣室で着替え中男性客が入ってきても堂々としていて、貫禄十分でした。

珠代(小畑絹子)と雪夫 (浅見比呂志)
由利・三条のカップルと逆パターンですが、実は由利さんと小畑さんは夫婦だったのです。
小畑さんと浅見さんは「蛇精の淫」でコンビになっているので、ここからの連想なのでしょう。

島倉千代子さんが池内さんの友人の美容師役で出演。
冴えない池内さんを変身させようとします。
島倉さんって結構映画出演していますね。

島倉千代子さんが出演しましたから歌も披露。二曲歌いました。

島倉さんの腕で変身した池内さん

早速サラリーマン客の高宮敬二さんがダンスをお願いに来ました。
見合い相手だった文太さんも、すっかり見直します。

売れない作家役が沼田曜一さん。彼は伊香保館を定宿にしています。
実際に伊香保の老舗旅館でロケしたようですが、立派な木造建築ですね。
多分現在は取り壊されたと思いますが。

沼田さんの弟役が島倉征夫さん。島倉千代子さんの実弟です。
彼はこの時期に一時俳優活動をしていたそうで、歌も一曲歌いました。

由美子(星輝美)
宿泊客達は部屋を出てダンス等をしているのに、部屋に引きこもって訳ありの様子です。
今回の輝美さんが一番大人っぽいかな。

部屋には男(江見俊太郎)が居て、何となく不自然な様子です。
夫婦なのか?不倫関係なのか?

江見さんが輝美さんに迫ろうとすると、輝美さんは江見さんの腕を噛んで隣の部屋に逃げ込みました。
隣は老夫婦(林寛・徳大寺君枝)が使っていて、輝美さんは訳を話して一晩泊めてもらいます。
林寛さん徳大寺君枝さんは中川信夫監督の「地獄」でも夫婦役でしたね。
でも、あちらの作品はこんな良い夫婦ではありませんでしたが。

江見さんの留守中に部屋に戻り、江見さんの財布からお札を抜き取る輝美さん。
輝美さんはカモ(江見さん)に声をかけ、隙を見つけてお金を盗る悪党だったのです。
新東宝最後の作品が悪女役だったとは・・・

実は池内さんは沼田さんが好きだったのです。
作品途中で沼田さんの作品が賞を受賞し、最後は池内さんが帰る沼田さんを追っかけて終了。
あとがき
「湯の町姉妹」は1961年5月17日公開で、新東宝は二週間後に映画制作を停止して倒産しました。
大蔵社長退陣から五か月しか持たなかったのが悔やまれます。
せめてもう一年間続いて欲しかったな。
というわけで、出演者の大半が最後の新東宝作品となり、他社に移籍する者・フリーになる者・このまま引退する者と、散り散りバラバラになっていきました。
しかし、花井蘭子さんは、映画公開から4日後の5月21日に亡くなりました。享年42歳でした。
島倉千代子さんが劇中で歌った「おもいで日記」がありましたので貼っておきます。























































