今回紹介する作品は
1976年(昭和51年)東映
「キンキンのルンペン大将」
石井輝男監督

image
あらすじ
山形の二宮清十郎(愛川欽也)は、何の仕事をやっても長続きせず、遂に妻に追い出されてしまい、東京でやり直そうとするが、上野駅に着いた途端に早速虎の子の財布を掏られてしまう。

今年4月80歳で亡くなった愛川欽也主演・石井輝男監督による哀愁喜劇映画です。

image
二宮清十郎(愛川欽也)
「トラック野郎」シリーズのヒットで「やもめのジョナサン」役の愛川さんにも主演映画の企画が
回ってきた様です。
映画タイトルは「キンキンのルンペン大将」となっていますが、劇中で本当のルンペンになったのはほんの僅かで、キャラとしては和製チャップリンですね。

image
二宮君子(三島ゆり子)
美容院を経営するキンキンの妻だが、仕事が出来ないキンキンをバカにして、遂に家から追い出してしまいました。

image
三島さんの美容院の客にキンキンの「トラック野郎」での妻である春川ますみさんが。

image
遠藤大五郎(伴淳三郎)
ルンペン集団の元締めで、キンキンにルンペンのイロハを教えます。
劇中の重要なキャラなんですが、伴淳さんは友情出演だったのですね。
image
キンキンに「美味しい残飯」の見分け方を実地指導する伴淳さん。

image
駒井鉄五郎(田中邦衛)
ルンペン仲間で、キンキンがルンペンになるきっかけになった人。
田中邦衛さんもいろんな役やりますね。

image
靴問屋に就職訪問に来たキンキン。
同じ求職者のせんだみつおさんと、職安職員の和田アキ子さん
和田アキ子さんデカいな

image
東陽軒の女店員(鰐淵晴子)
鰐淵さんは、キンキンに残飯の便宜をするが、実はキンキンの体が目的(あだ名が千姫)の凄い役です。

この他に、南利明、殿山泰司、加藤治子、松井康子、湯原昌幸、武智豊子、そして小林亜星、毒蝮三太夫といった方々が助演しています。
助演の方々が個性的というか豪華なんですね。

しかし、一番注目なのはこの方
image
白川秋子(坂口良子)
二宮清十郎(愛川欽也)と同じ山形出身で、就職先が決まっていない境遇が同じなので、二人は意気投合します。
坂口良子さんは、これが映画初出演。
山形弁丸出しで喋りますが、坂口さんは、この時代で田舎娘役を演じる最高の方だったと思います。
image
二人は、愛川さんの就職先の靴問屋の下宿で寝泊まりします。
東陽軒で仕入れた残飯の「ステーキ弁当」を食べる坂口さん。
彼女は、これが残飯であることを知りません(笑)
image
劇中、坂口さんはよく泣きますが、こういうシーンがたまらなくいいです。
image
その坂口さんにも本当の彼氏(星正人)が出来てしまいます。
image
劇中終盤でのキンキンと坂口さんのダンスシーン
石井監督の作品とは思えない、ロマンチックなシーンです。
image
そして坂口さんは星正人さんと一緒になる事を伝えてキンキンと別れました。
坂口さんのこの表情がいい。

あとがき
「キンキンのルンペン大将」の評価は決して高くありません。というか、かなり低いですが(泣)
私は石井監督としては珍しい哀愁喜劇を上手く撮ったと思います。
石井監督らしいグロいシーンも勿論あります。

最後のシーンなんかは、チャップリン映画を参考にしているのかな?
調べてみると、キンキン自身もこの作品を気に入っていたようです。

今年4月に愛川欽也さんが亡くなられました。
「キンキンのルンペン大将」は一部の劇場で追悼上映されたそうですが、CSでは放送されませんでした。
写真は10年前の2005年4月にチャンネルNECOで放送されたものですが、当時我が家は、ケーブルテレビとアナログ契約していた為、ご覧のように画質が悪いです。

綺麗な映像で再放送を望みたいのですが、どうやら10年前よりも放送基準が厳しくなってしまったようで、タイトルに「ルンペン」が入った作品は放送が不可能になってしまったのでしょうね。


これは「キンキンのルンペン大将」のオープニングと坂口良子さんの初登場シーンの動画
テーマ曲の「うつむいて歩こう」も聴けます。
これはデジタル映像なので、私の録画のより綺麗ですね。


最後に挿入歌の「ルンペン・ブルース」の動画も貼っておきます。

では、よいお年を。