さまざまな情報を場所にひも付けて提供するデジタル地図は
「世界中の情報を整理し、使えるようにする」
という使命を掲げる同社の中核サービスの1つ。
毎月10億人以上が利用し、200万サイトが採用するデファクトスタンダード(事実上の標準)となった今も、ネットにつながらない環境で使えるようにするなど、便利さを求めて進化を続けています。
「通信環境が良くても悪くても、世界中でグーグルマップを使えるようにする」
毎年恒例の開発者会議で、地図関連事業の責任者ジェン・フィッツパトリック副社長がこう宣言しています。
今年フィッツパトリック氏が披露したのは、年内に追加するスマホ向けの新機能。
自宅などであらかじめ地図データをダウンロードしておけば「オフライン」の場所でも全地球測位システム(GPS)の電波を使い、目的地の検索や音声によるナビゲーションが利用できます。
通信インフラが脆弱な新興国市場の攻略に欠かせない機能です。
2005年にサービスを始めたグーグルマップ。
当初は北米大陸と英国しか載っていない不完全な地図だったが、その機能は革新的でした。
ところが、衛星写真や航空写真を身近にした「グーグルアース」や、町並みをパノラマ写真で見られる「ストリートビュー」も含めて、ライバルも対抗サービスを打ち出すなどデジタル地図の“常識”になりつつある。
その為グーグルマップは、開発されてからの10年間で常に向上されてきました。
そして「オフライン」でも使える地図の整備と並んで力を入れるのが、66カ国まで広がったストリートビューのさらなる拡大。
自動車や徒歩、船などを使った独自の撮影と並行し、利用者の投稿による画像の拡充を進めています。
来月中旬には誰でも簡単にパノラマ画像を撮影して投稿できる新アプリの提供を始めています。
また、グーグルマップで東日本大震災で被災した東北地方のバス路線を検索できるようにしました。
グーグルマップは12年に関東や関西など49社のバス会社の路線に対応していますが、今回東北を含めて29社の路線を追加します。
利用者が出発地と目的地を入力するだけで経路を表示します。
被災地は公共交通機関がバスだけの地域も少なくない。
震災から4年半がたつのを前にアクセス方法を簡単に調べられるようにし、復興支援などで訪れやすくします。
まず宮城県と岩手県を結ぶ東日本急行(仙台市)や福島交通(福島市)など6社に対応します。
対象路線は順次増やしていく予定。路線や時刻表が変更されたら随時更新。
出発や到着の時間を入力して、鉄道やタクシーも含めて最適な経路を探せます。
バス会社から停留所の情報提供を受け、すべてのバス停を検索対象にします。
グーグルアースも強化しています。
衛星写真事業を手掛ける米スカイボックス・イメージングを昨年、5億ドル(約610億円)で買収。合計20基以上の超小型衛星を打ち上げる計画で、災害時などに機動的に衛星写真を撮影できるようになります。
「我々が目指しているのは、現実世界をなるべく正確に写し取り、毎日の暮らしに役立ててもらうこと」
スマホが普及し、誰もがポケットに高性能なコンピューターを持ち歩く今だからこそ、デジタル地図の重要性はますます高まっている。
10年前に始まった「完璧な地図」を目指すグーグルの挑戦はまだ道半ばです。
【番外編】
無料で使える地図アプリは、
「グーグルマップ」「ヤフー地図」「地図マピオン」
等があげられるが、これらの機能や使い勝手はどのように違っているのでしょうか。
まず、グーグル・ヤフー・マピオンはアンドロイドにも対応しています。
”新宿三丁目にある伊勢丹前から東京都庁まで歩いた”という記事によると、
『マピオン』は検索条件を変えて別ルートを表示できます。
「距離が短い」「屋根が多い」「階段が少ない」から選択可能です。
ヤフーは、歩道橋の手前で「歩道橋を渡る/階段を上る」という指示が出る様です。
歩道橋の上でも細かく曲がる方向などを教えてくれます。
マピオンも「歩道橋(階段)を7m進む」など細かく表示されますが、現在地が分かりにくいのが難点。
グーグルは「南西に進む」と出るだけ。地図上では歩道橋の部分を渡っていても、少し分かりにくいそう。
一方で、グーグルは「周辺のスポット」という文字をタップすると「人気のレストラン」「コーヒーショップ・喫茶店」 などの項目を検索できます。
夜は「バー」が先に出るなど時間帯によって表示項目が変わるという。また、口コミと連動するのも面白い要素の一つです。
加えて、他のアプリでは出てこなかった会社名やビル名でも検索できます。曖昧な言葉でも出てきたのは助かるところ。
ヤフーは「レストラン」「カフェ」などの項目から選んでいきます。
営業中に絞って検索することも可。
地図上では営業中がオレンジ、時間外がグレーなど色分けで表示されます。
グーグルやヤフーはパソコンであらかじめ調べた情報を呼び出せるので、行き先が決まっている場合は登録しておくと便利。