地獄 (2)僕は、一心不乱に団地の階段を駆け上った。『213号室』空腹と夏の暑さの影響か、僕はチャイムを押すのも忘れドアを開けた。ガチャ「だれや。」奥の方から親父の声がする。「ん?!何か様子が変だぞ。」心の中で、僕は呟いた。親父の声はいつもよりも低く、機嫌が悪く感じた。「おれやで。」不快な気持ちを心の中にしまい込み、精一杯の明るい声を出し、家の中へと上がった。 ・・・つづく