
碧と花電車の街
昭和30年代の名古屋の繁華街・大須。何でもありのごった煮の街で終戦直後に生まれた碧は母親と二人、つましくも幸せな日々を送っている。将来、映画監督になることを夢見て、アルバイト代で映画館に通う碧。そんなある日、一人の男が母娘の前に現れる――。街を行き交う市電の優しい揺れに乗せて描く、少女のゆるやかな成長物語(Amazon内容紹介より)
今日初回するのは2003年に第19回太宰治書を受賞、2013年に小説宝石新人賞を受賞してデビューした麻宮ゆり子氏が、2016年から2017年にかけてWebマガジンに連載し単行本化した作品です。
主人公は私より少し上の世代ですが、河瀬氏をはじめとする今世界的にも活躍する女性監督を目指す少女で、私も夢中になった映画が好きというだけですっかり彼女にハマりました。
時代背景は終戦直後から高度成長期に差し掛かるところで、何かを宣伝するために増加と電飾で飾った、運転者以外乗れない花電車と、その市電が走るそばの大須商店街が、敗戦の記憶も新しく、その影響を受けた人たちとともに主人公親子を受け入れてくれた街なのです。
親しい人を亡くすということは、”現実味のない現実”という不安を、自分の一部としながらいきていくことなのかもしれない。たぶん年を重ねるごとに不安のかさは増すだろう。それでも持ちこたえながら生きるのだ。P269
私にとっては初麻宮作品。とても気持ちの良い出会いでした。
