亡霊の柩 (本格ミステリー・ワールド・スペシャル)


「卒園者を探していただきたいんです。名前は五十嵐靖男」児童養護施設の園長から依頼を受けた探偵・槇野康平は、五十嵐が昨年結婚し、今夏に亡くなっていることを調べ上げる。しかし、五十嵐の妻に会いに行った園長が何故か罵声を浴びせられて門前払いされたことから、槇野は園長から新たな依頼を受けて五十嵐が失踪した理由と死因を調べ始めるのだった。そして突き止めた予期せぬ結果に警察の介入が必要と結論し、警視庁捜査一課の東條有紀に情報提供するのだが―。槇野・東條シリーズ最新刊。(「BOOK」データベースより)

今日紹介するのは、現在島根県に在住し一本釣り漁師のかたら執筆活動をしているという異色の作家吉田恭教氏の作品です。

先日この本を借りた記事を出したところ、eseseve10さんに著者の作品に好感を持っておられる旨のコメントをいただきました。

ゆえに期待を持って読み始めました。

作品は、探偵の槙野が「五十嵐靖男」を調べていくうちに、自分が警察を去らざるを得なくなった直前の殺人事件に結びついていきます。そこで先輩である鏡の探偵事務所から1ヶ月の休みをもらい、事件を追っていきます。

また槙野からの情報提供を受けた警視庁捜査一課の東條有紀も、警察サイドから事件を追っていき、性同一性障害を持つ東條ならではの解決のヒントをたぐり寄せていきます。

解説の千街晶之氏が書いているように、作品(槙野・東條シリーズとされているようです)の面白さは、探偵・刑事という立場・職業が異なる主人公を二人用意したことでプラスに作用している点が大きいです。

そしてコンビもので人気の東野圭吾氏の「ガリレオ」「マスカレード」シリーズと違い、地方都市をはじめ、多くの若い世代の苦しい生活を背景に、罪犯さざるを得なかった苦悩をも浮き彫りにしている点に、地方の田舎町に住む私は胸が詰まる気がしました。

ミステリーとして難解な部類ではないと思いますが、興味深い作品と言えると思います。