
地の星 なでし子物語
自立、顔を上げて生きること。自律、美しく生きること―。遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅として親しまれた常夏荘。幼少期にこの屋敷に引き取られた耀子は、寂しい境遇にあっても、屋敷の大人たちや、自分を導いてくれる言葉、小さな友情に支えられて子ども時代を生き抜いてきた。時が経ち、時代の流れの中で凋落した遠藤家。常夏荘はもはや見る影もなくなってしまったが、耀子はそのさびれた常夏荘の女主人となり―。(「BOOK」データベースより)
今日紹介するのは伊吹有喜氏のこの作品の続編です。
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文庫ながらもベストセラーとなったこの作品の主人公燿子も、高校卒業して龍司の妻となり、娘瀬里の母となって常夏荘に戻ってきました。
時の流れとともに資産家だった遠藤家は苦しい立場となり、なんとか持ちこたえた当主となった龍司が常夏荘をはじめとする奥峰の土地や屋敷を売る段取りを進めています。
そんな中瀬里の健康上の理由で常夏荘に帰ってきた燿子は、自立を考え始めていました。
高校を卒業後は大学進学も考えていた燿子ですから、パートで働いていた職場がなくなるという危機に常夏荘を基点に事業を始めようとするのです。
奥峯生という自然は豊かですが、高齢化が進み、過疎化を辿りつつある地域で生活する人たちを自然と束ねていく燿子は、かつてこの地で同じように事業を起こそうとした父の本当の姿をも知ります。
時代を先取りし、家族を守ろうとする龍司、自分の力で自分を育ててくれた地域に根ざし生きていこうとする燿子。
我が子の味方をするのではなく、自分に残された領域で燿子母娘を支援する照子。
そのほかにも作中に出てくる人は、志は違うけれど今を懸命に生きている。
不器用ながらも流れている血に逆らうことなく生きていく燿子に心から声援したくなる、そんな作品でした。

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