分かったで済むなら、名探偵はいらない


舞台は、『居酒屋ロミオとジュリエット』。酔客たちがかの名作になぞらえて、「名探偵」の前で、その怒りや悩みを訴える。みな、自分の事件の『本当の姿』を知りたくて──。カッパ・ワンの奇才が帰ってきた! 心を癒やす不思議な魅力のミステリー。

私の本選びはとてもシンプルです。

まずは好きな作家の新刊。次に本好きの皆さんのオススメ本。

最後に「タイトル」です。

今日紹介する本は最後のタイトルに惹かれて読んだ作品です。

著者の林泰広氏は、1996年鮎川哲也氏によって選ばれた後デビューしたミステリー作家。

私にとって著者の初作品ですが、著者にとっても15年ぶりにして初の連作ミステリーなのだそうです。

「居酒屋ロミオとジュリエット」でいつも一人で飲んでいる、人呼んで「名探偵」の刑事の俺が、酔っ払って勝手に語り出す、裏切った妻、身勝手な上司、不実な夫など「みえていること」の「別の姿」を見つけ、心が癒されていくことに気づくというストーリー。

このように角度を変えて見てみると、今まで気づかなかったことが見えるということはよく言われていることですが、事件となれば証拠、証言など明らかなものが優勢な世界へ、この切り口は新鮮でした。