
だから、居場所が欲しかった。 バンコク、コールセンターで働く日本人
陽光溢れる、東南アジアのタイ、バンコク。高層ビルの一角にあるコールセンターでひたすら電話を受ける日本人がいる。非正規労働者、借金苦から夜逃げした者、風俗にハマって妊娠した女、LGBTの男女……。息苦しい日本を離れて、彼らが求めたのは自分の「居場所」。フィリピン在住の開高賞作家が日本の現実をあぶりだす問題作。
私はフィクションやエッセイが好きです。
フィクションならロマンス、サスペンス、ミステリー、時代物となんでも読みます。
けれどノンフィクションや啓発書などは、自分から手に取ることが少ない分野です。
今日紹介するのは、そんな私が題名のバンコクで働くという見出しに惹かれて読んだノンフィクションです。
著者は2011年『日本を捨てた男たち フィリピンに生きる困窮邦人』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞し、現在フィリピンを拠点に活動している水谷 竹秀氏.
第1章 「非正規」の居場所
学校時代、いじめに悩み、卒業後に非正規労働を繰り返した吉川は、バンコクでDJの道を目指すが……。
第2章 一家夜逃げ
10歳上のタイ人の妻を持つ世渡り下手な本田は仕事に追い詰められ、借金を残したまま一家でタイに渡る。
第3章 明暗
コールセンターを踏み台にステップアップした丸山。困窮邦人へと転落する関根。明暗を分けるものとは。
第4章 男にハマる女たち
バンコクのゴーゴーボーイ(ブリーフ姿の若いタイ人男性らがステージで踊る連れ出しバー)にハマってしまう女たちがいる。シングルマザーとなった青山、藤原姉妹はそれぞれゴーゴーボーイと結婚して海外移住する。
第5章 日陰の存在
日本ではまだまだ許容されているとは言えないLGBTの人々。一見許容度の高いタイのでコールセンターで働きつつ、居場所を模索する。家族との軋轢で悩む高木。風俗嬢の仕事まで経験したレスビアンの堀田。性転換を果たした水野。果たして彼らに居場所はあるのか。
私の愚息も3月までバンコクの支社にシステムエンジニアとして勤務していたこともあって、この著書の内容にとても驚いています。
「良い学校を出て大企業に就職して終身雇用という名のレールに乗る」という、高度成長期に形成されたロールモデル。
乗れなかった人間にとって日本は行政も世間の目も冷たい社会。
著書に出てくる人たちはレールを外れてしまった人たちですが、自らの意思で異国に居場所を見つけようと日本を離れた人たちです。
彼らに居場所を提供することの出来なかった現実を、私たちは今すぐ受け止め見直す必要があると知りました。
著者はこう言っています。
「生まれた国が愛想をつかされているように思う自分がいた」
自分の生まれた国を愛して欲しいですね。
