JBC2012 東京予選 -- 3つの香り | BAR14Nの憂鬱なラテアート

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エスプレッソやラテアート、コーヒーの話

丸山珈琲の井崎くんが今年のジャパン・バリスタ・チャンピオンになったことは、個人的にも、とても嬉しいことだった。
おそらく、決勝の様子はDVDで出るので見る機会があると思うから、あえて予選のプレゼンについて、今日は書きます。
とは言っても、またも録音したプレゼン内容の文字起こし。チャンピオンになる前に、ブログに書きたいことは本人に伝えていたのだけど、ずっと書けないでいたのでした。

他の音に重なって聞き取れない部分などは省略や、意味が通じるように補っています。それでも、井崎くんがこの予選の時に伝えたかったことが、このブログを読んでくださってる方に少しでも伝われば良いかなと思います。味は伝わらないけど!
ちなみに、カッコの中は、ぼくの言葉です。

はじめます。こんにちは、丸山珈琲尾山台店の井崎と申します。
本日はどうぞよろしくお願いします。
本日用意したコーヒーは、インドネシア・ワハナ農園ナチュラルプロセスのものです。私は初めてこのコーヒーを飲んだとき、インドネシアのコーヒーと想像もつかないほど衝撃を受けました。なぜなら、このワハナは、従来のインドネシアでは感じることのできなかった、様々なフルーツを連想させる色んな酸味を持つからです。本日はみなさまに、エスプレッソ、カプチーノをお楽しみ頂く前に、このワハナの持つ様々なフルーツを連想させる酸味を香りで分解し、構造的に説明していきます。そのために、いまからエスプレッソの抽出を3分割し、香りのサンプルをご提供していきます。

少々お待ちくださいませ。

それでは早速お手元にございますインストラクションカードをご覧下さいませ。私の考えるワハナの複雑な酸味は、大まかにわけて3種類ございます。一つ目の酸味は、ストロベリーやパイナップルのような強い酸味です。二つ目の酸味は、バナナやチョコレートのような甘い酸味、3つ目の酸味はメロンのような柔らかい酸味です。それではワハナの持つ様々なフルーツを連想させる酸味を香りで分解していきましょう。
香りで分解していくことによって、必ずや後ほどご提供させて頂きますエスプレッソへのご理解をより一層深めて頂けると思っております。
それでは、インストラクションカードをご覧になりながら、お待ちくださいませ。

(抽出後、どのサンプルがどの香りかの説明。1ショットの中で、抽出の序盤、中盤、終盤と3分割したものを用意し、香りの違いを楽しんでもらっています。その後、井崎くんはジャッジにエスプレッソの提供)

香りのサンプルをお楽しみ頂けましたでしょうか。それでは早速エスプレッソの飲み方の説明をさせて頂きます。一口目はかき混ぜずにそのままお召し上がりください。メロンのフレーバー、完熟バナナのような素晴らしい甘さを存分に楽しんで頂けると思います。二口目は、スプーンで下からゆっくり五回かき混ぜてください。しっかり五回かき混ぜることで、濃厚なマウスフィールや、ストロベリーやパイナップルのような複雑なフルーツの酸味、クリーンなアフターテイストを感じて頂くことができます。先ほど香りで分解したワハナの複雑な酸味を一杯のエスプレッソとして、どうぞお楽しみくださいませ。続いてカプチーノをご用意します。

失礼致します。ワハナの持つ様々なフルーツを連想させる複雑な酸味は、ミルクを加えることによって、素晴らしい甘さがあります。この素晴らしい甘さをより感じて頂くために、一口飲んだ後、お手元にございます大きめのスプーンを使って下からゆっくりと3回かき混ぜてお召し上がりください。3回かき混ぜることで、ワハナの持つミルクチョコレートやバニラ、そして完熟バナナのような素晴らしい甘さを口一杯に感じて頂けます。

お待たせしました。どうぞごゆっくりお楽しみくださいませ。

かき混ぜればかき混ぜるほど、様々な表情を見せるカプチーノをお楽しみ頂けましたでしょうか。本日は私が初めて、このコーヒーを飲んだ時に感じた、驚きや感動や衝撃をみなさまにぜひ、私と同じように感じて頂きたいと思っておりました。本日は私のプレゼンテーションを通して、少しでも、私と同じような驚きを感じて頂けたとするなら、バリスタとして最大の幸せでございます。本日は素晴らしい時間をありがとうございました。終わります。