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キッチンおかのブログ

スコッチ文化研究所福岡支部イベントや、ボトルのご紹介をさせて頂いております。

3.バーボンウイスキーについて

 アメリカのウィスキーは最近まで衰退産業と見られていました。
 最大の危機は1920年施行の禁酒法で、ある資料によればピークの
 1899年に965ヶ所もあった蒸留所が、医療用免許を与えられた30ヶ所
 前後を除いて閉鎖させられました。
 その後一時的に需要は復活しましたが、1970年代から再び人気は
 かげリ始め、これまでに大多数の蒸留所が閉鎖されてきました。

 ところが、ケンタッキー州のバーボン出荷量は1999年に底を打ち、
 現在は元気を取り戻しつつあります。日本への輸出が増えたのも
 一因なのだそうですが、世界的なウイスキー・ブームが追い風に
 なっていると思われます。
 日本でも放送されたTVドラマ「セックス&ザ・シティー」の生活
 スタイルに触発された若者の間でウィスキー・ベースのカクテルが
 飲まれるようになったからだとも言われています。

 2008年には樽の製造も減らしましたが、また増産体制に入りました。


法定義
 1948年と1964年の連邦アルコール法によるバーボンの定義
  1.原料の51%以上はトウモロコシを使用。
  2.アルコール度数160プルーフ(80%)以下で蒸留。
  3.内側を焦がしたオークの新樽にアルコール度数125プルーフ(62.5%)
   以下で樽詰する。
  4.(ストレート・バーボンを表記するには)2年以上の熟成が必要。
  5.水以外は加えず、アルコール80プルーフ(40%)以上で瓶詰。 
   *ケンタッキー州で造られ1年以上熟成したものは「ケンタッキー・バーボン」と
    表記できる。
   *熟成年数4年未満はラベルに表記しなければならないが、4年以上は表記の
    義務は無い。 

 連邦アルコール法のアメリカンウイスキーの定義
  穀物を原料にエタノ-ル濃度(アルコール度数)95%未満で蒸留した後、
  オーク樽で熟成させたもの(ただしコーン・ウイスキーについては熟成は不要)
  およびそれにスピリッツをブレンドしたもので、エタノ-ル濃度40%以上で
  瓶詰めしたもの
 
 材料
  トウモロコシ フリントコーン、デントコーン、ポップコーン、スイートコーン
         に大別できる。今は主にデントコーンが使われる。
         デンプンが多く、水分含有量が低い物が好まれる。現在は
         ケンタッキー産よりインディアナ産が多い。
         (蒸留所にもよりますが)

  ライ麦 スパイシーでドライ、オイリーなフレーバーが特徴。イリノイ州や
      ミネソタ州など北部産が好まれる。(カナダ産とか)

  大麦 スコッチ(二条大麦)と違い六条大麦を使用。デンプンなどは低いが
     酵素力が強い。これも北部産を使用。

  小麦 極一部の銘柄に使用される。(メーカーズマーク)よりマイルドで
     ソフトな舌触りになるらしい。これも北部産。
 
  *近年は49%以下のトウモロコシ以外の穀類に、色々な原料を使っています。
   (キビとか米、キヌアなど)
 
 これらの材料の割合を「マッシュビル」という。マッシュビルは最終的な
 フレーバーの20%程度に影響を持つ。発酵過程、酵母のタイプが約10%の影響。
 蒸溜が影響するのが20%で、残りの50%は熟成過程によって影響を受ける。
 らしい・・・。
  
  イースト菌 各蒸留所でオリジナルのイースト菌へのこだわりが強い。
        他社から買うことは、ほぼ無い。試験管レベルからフラスコ
        サイズ→ドナータブ→イーストタンクと4段階にスケール
        アップして巨大な発酵槽にに投入する。

  水 ケンタッキーの地下水ライムストーン・ウォーター。ミネラルが豊富。
    300~350の硬水でph値は糖化酵素が働きにくい7.0以上。
    
  
 1.糖化
  トウモロコシをハンマーミルで砕く。(スコッチはローラーミル)原料は
  全て別々に砕く。クッカー(糖化槽)にトウモロコシ→ライ麦→大麦麦芽の
  順に投入する。(ライ麦の苦味がでるらしい)
  先ずトウモロコシを摂氏100℃のお湯で煮沸し、84℃くらいに温度を下げて
  ライ麦を投入。最後に最も糖化酵素が働く65℃に温度を下げて、大麦麦芽を
  投入する。クッカーの内部には加熱用のスチームパイプと、冷却用のクー
  リングパイプがある。
  
  この時、仕込み水とバックセットと呼ばれる蒸留廃液を加える。これは
  ライムストーン・ウォーターのph値が高過ぎて糖化がうまく行かないので、
  ph値が低い蒸留廃液(3.5~4.5)を加えて、糖化酵素が最も良く働くph値
  5.4~5.6に合わせる。及びクッカー内の酸度を上げ、バクテリアの発生を
  防ぐ。これをサワーマッシュ方式と呼ぶ。

 2.発酵
  発酵槽(ファーメンター)の材質は主にステンレス製。木製の発酵槽は、
  メーカーズマーク、フォア・ローゼズ、ウッドフォード・リザーブのみ。
  普通は液漏れが少ないレッド・サイプラス(赤イトスギ)が使われる。
  
  ここでもバックセットが使われる。バックセットの戻し方と量は各蒸留所
  によって異なる。その目的は、発酵槽のph値を下げることで、酸度を保ち
  雑菌の繁殖を防ぎ、毎回蒸留廃液を戻すことで酒質の均一化をはかる。
  ph値は4.8くらいが理想。

  発酵時間は3~6日で終了し、8~10%ほどの発酵モロミ(Beer:ビアー)ができる。
  スコッチは7~8%。コーンが多いモロミは黄色く、ライが多いとやや茶色。
  バーボンの発酵槽にはスコッチと違って泡切り装置が付いていない。これは
  コーンに含まれる油脂分が泡立ちを抑える事とろ過せずそのまま発酵させる
  ため、

 3.蒸留
  蒸留にはビアスチルと呼ぶ円筒式コラムスチルと、タブラーと呼ぶ清留装置を
  使用する。どこの蒸留所にも最低1組、大きい所では2~3組のビアスチルと
  タブラーがある。ルイヴィルにある"ヴァンドーム社"製のみ。
  直径約1.5~2.4m、高さが12~21mほど。内部にシーブトレイと呼ぶ無数の
  穴が開いた棚で10~20数段に仕切られていて、上部から熱せられたモロミが
  落ちてきて、下から蒸気が吹き上がるようになっている。
  まぁ、スコッチウイスキーのグレーンウイスキーの連続式蒸留器とほぼ一緒の
  仕組みです。
  
  違うのはタブラーで、見た目はポットスチルっぽいが仕組みは全く異なり、
  連続式の蒸留を行う。ビアスチルで取り出されたアルコール蒸気を一度
  冷却し、液体に戻してタブラーで精留する。
  ビアスチルでアルコール度数55~60%、タブラーでアルコール度数65%~70%
  になる。スコッチのグレーンと違ってアルコール度数が低く、その分香味
  成分を多く残す事になる。

 4.熟成
  バーボンの一番の特徴は"新樽しか使えない"事。しかも内側を強く焦がす。
  グレード1から4まで0.5刻みで7段階の処理がある。ほとんどグレード3~4を
  使う。材質は全てアメリカン・ホワイトオーク。昔はケンタッキー産だったが
  現在はほぼミズーリ産。樽の容量は180Lから200Lに規格が変更された。

  熟成庫はラック式だが、スコッチと異なるのが棚が木製でしかも骨組みのみで
  自立している。これをオープンラック方式と呼び、1層で3~4段、それが6~7層
  で成り立っている。
  
  トタン造りが主だが、レンガ造りや石造りもあり、高層から低層式に切り替える
  蒸留所も出てきている。スコッチでは低層の樽が好まれるが、バーボンは高層
  (イーグルズ・ネスト:鷹の巣)の熟成が早く進む樽が好まれる。
  ケンタッキーは夏と冬の温度差が大きく、エンジェルズ・シェア(熟成中に減る分)
  は1年目で10~18%、2年目以降でも4~5%もある。

 5.瓶詰
  樽から原酒を払い出すことをダンピングと呼ぶ。バーボンは樽の内側を激しく
  焼くので、結構墨の様な黒いドロドロしたものが出るらしい。(デビルズ・カット
  と呼ぶ)冷却ろ過は行わない。そして払い出した原酒をミングニング(スコッチで
  言うバッティング)して味を調え出荷する。
  スモールバッチ(少量生産)もあるが、大体100樽以内使う。

設備の写真って中々ないですね・・・。これは本で見ましょう。


  
  




2.ケンタッキー州
 1792年、アメリカ15番目の州。
 面積 104,659k㎡
 人口 434万人
 州都 フランクフォート(約3万人)
 最大都市 ルイヴィル(約50万人)
 州の愛称 ブルーグラス・ステイト。土壌が肥沃だったので、牧草地の多くに
      ブルーグラス(草)が見られたことに基づいている。

 各都市の月別平均最高最低気温
 

 「ケンタッキー」という名称はイロコイ族の言葉であり、州中部のサバンナにある
 バッファローの猟場を指し、「草原の地」を意味するとされている。
 南側にテネシー州、東側にアパラチア山脈、西にミシシッピ川が流れる。
 南東部がカンバーランド山地とその台地ではあるが、標高1,300m以下。
 ケンタッキー州バーズタウンは、アメリカでも「住みたい町ベスト100」に上位で
 選ばれる美しい町。バラの花、タバコ栽培も有名。

 三歳馬によるケンタッキーダービーは、イギリス、フランスのダービーとともに
 「世界三大ダービー」の一つとして数えられている。1875年から、毎年5月の第一
 土曜日にルイヴィルのチャーチルダウンズ競馬場で開催。スタンドチケットを
 入手するため、人々は何カ月も前から奔走する。そしてバーボンから作るカクテル
 「ミントジュレップ」を飲みながらレースを楽しむ。

 バーズタウンでも1993年から毎年9月に「ケンタッキー・バーボン・フェスティバル」が
 開催されている。

ケンタッキーの蒸留所
 現在はクラフト・ディスティラリー(少量生産)も増えているが、今回は大手の
 蒸留所をご紹介します。

 ルイヴィル地区
  1.ヘブンヒル(バーンハイム)蒸留所 ヘヴンヒル社
  2.ブラウン・フォーマン蒸留所 ブラウン・フォーマン社
   (アーリータイムス、オールド・フォレスターなど)
 フランクフォート地区
  3.ウッドフォード・リザーブ蒸留所 ブラウン・フォーマン社
  4.バッファロー・トレース蒸留所 サゼラック・カンパニー社
 ローレンスバーグ地区
  5.フォア・ローゼズ蒸留所 キリンビール('02より)
  6.ワイルド・ターキー蒸留所 カンパリ社('08より)
 クレアモント地区
  7.ジム・ビーム蒸留所 ビーム・サントリー
 バーズタウン地区
  8.バートン蒸留所 サゼラック・カンパニー社
 ロレット地区
  9.メーカーズマーク蒸留所 ビーム・サントリー



 すでに閉鎖された蒸留所のブランドを、別の蒸留所で造るのがバーボン
 ウイスキーの特徴でもある。なので1つの蒸留所で複数のブランドを製造
 する蒸留所もあります。(ヘブンヒル蒸留所など)
 
ブラウン・フォーマン蒸留所
 スコットランド出身の薬問屋の「ジョージ・ガーヴィン・ブラウン」と、
 経理パートナーだった「ジョージ・フォーマン」の二人から名付けられる。
 創業1860年。1870年オールド・フォレスター創業。

 ルイヴィル市に本社と蒸留所が道を挟んで所在。主要製品は「アーリー
 タイムス」と「オールド・フォレスター」の2銘柄。これに色々なボトルが
 ある。マッシュビルは
  アーリータイムス   コーン79% ライ11% 大麦麦芽10%
  オールド・フォレスター コーン72% ライ18% 大麦麦芽10%

 ビアスチルとサンパーのセットが2組。サンパーとはブラウン・フォーマンが
 独自で開発したもの。ビアスチルで取り出されたアルコールを液化せず、
 サンパー内の熱湯にくぐらせる仕組みで、精留効果が高くクリーンでフルー
 ティーな酒質になる。

 「ブルーグラス・クーパレッジ」という自社樽工場を持っている。
 禁酒法時代にも、医療用ウイスキーの表示を行うことで法律の適用が免除
 された。

主要ブランド
 アーリータイムス
 オールド・フォレスター
 


1.オールド・フォレスター禁酒法75周年ボトル 50% 375ml 輸入元:アクサス
  R.O.P(=The Repeal of Prohibition)、つまり『禁酒法廃止』から75年を
  記念してボトリングされた、酒好きによる酒好きのためのボトル。
  明確にプレミアムを目指してつくられた酒で、熟成の深い原酒を
  たっぷり使用しています。

 オールド・フォレスター
  1870年に創業したブラウン・フォーマン社の製品で「瓶詰めバーボン」の
  第1号です。
  それまでは樽詰めで販売されていたバーボンウイスキーでしたが、安酒を
  混入して販売される事が多く、それを懸念した創業者のジョージ・ガーヴィン・
  ブラウン氏が、それを防ぐ為に1874年に「瓶詰めのバーボン」を販売させました。

  ネーミングは南北戦争時代の南軍の将軍であり、創始者ジョージ・ガーヴィン・
  ブラウン氏が尊敬していた"ネイサン・ベッドフォード・フォレスト将軍に
  ちなんで名付けられました。