淡く、切ない水茄子のカクテル「堅香子」 | BAR white L(ホワイトエル)のブログ

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天神橋最南端のBARです。
「身近で温かいオーセンティック」
をコンセプトに下町のbar文化を発信していく所存です。
心地良く背筋を伸ばし、限りなく心に寄り添う。
white Lはそんなお店でありたい。

BAR white L
ほぼ無休 18時〜4時
大阪市北区天神橋1-10-9 2F

皆様こんばんは

或いはおはようございます




本日届くはずのシャツが

遅延しているとのこと

それを知ったのは今朝

配達の遅延と乾燥機能の無い洗濯機が誤算

「やっぱり、

昨日洗濯回しておけばよかった、、、」

シャツと後悔が生乾き   カズアキです




では前回の続きとカクテルの紹介を!


"水茄子" と "焙じ茶" のカクテル

「堅香子」¥1,200

ユリ科カタクリ属に属する多年草、カタクリ。
古語では「堅香子(かたかご)」と呼ばれていました。

北海道や本州北部の山野に自生し、早春になると紫色の花を咲かせます。
雪や霜から身を守るため、うつむき加減に咲く花がどことなく寂しげに映ることから花言葉は「初恋」「寂しさに耐える」「嫉妬」。


そんな寂しげな花言葉を持つ堅香子と、初恋の相手を信じて待ち続けた八上比売(ヤガミヒメ)をイメージし、その儚げな様子を水茄子と焙じ茶で表現したカクテルです。

どうぞ皆様ご賞味くださいませ!




それでは、前回の続きです。

大国主命(オオクニヌシノミコト)が因幡の国の八上比売(ヤガミヒメ)を妻にとったことで、それを妬んだ兄弟神たちに何度も命を狙われ、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が治る根堅州国(ネノカタスクニ)に逃げこみました。

しかし、そこに待ち受けたのは平穏ではなく、素戔嗚尊(スサノオノミコト)からの数々の試練でした!

二部作の後編「根のかたすの国」
はじまりはじまり〜






根のかたすの国をおさめる大神は、ヤマタノオロチを退治した、あのスサノオだった。

オオナムヂがスサノオの屋敷の前までくると、ちょうど家の中から、スサノオの娘のスセリビメが出てきた。


見なれないオオナムヂをみつけて、スセリビメが、はっと息をのむ。
オオナムヂもおどろいたように、姫のことを見つめた。たがいの目と目があった瞬間、オオナムヂとスセリビメは、もう恋におちていた。

「おとうさま、たいそうりっぱな神がおいでになりましたよ。」
スセリビメのことばを聞いたスサノオは、おもてに出てきて、オオナムヂをじろりとながめ、ふふんとうなずいた。

「なるほどな。こいつは、地上からきた勇敢な神らしい。しかし、まあ、ほんとうに勇敢かどうか、今夜、蛇の室屋にとまらせてみればわかるだろう。」

「蛇の室屋?」
おどろいているオオナムヂに、スセリビメが、すばやくなにかをわたした。
姫が身につけていた、うすい布だ。
スセリビメはオオナムヂの耳もとに、そっとささやいた。

「だいじょうぶ。もし、かみつこうとする蛇がいたら、その布を三回ふって、追いはらってしまいなさい。」


蛇の室屋は名前のとおり、蛇でうめつくされていた。何百匹もの蛇が、ゆかの上でうじゃうじゃうごめいている。
でも、かみつこうとする蛇にむかって、オオナムヂが布を三回ふると、蛇たちは、スセリビメのことばどおり、おとなしく部屋のすみにひっこんでしまった。

おかげでオオナムヂは、その夜、蛇のむれのまん中で、ぐっすり朝までねむることができた。



つぎの朝、スサノオは、ぴんぴんしているオオナムヂを見て、あやしむようにたずねた。

「ゆうべは、よくねむれたかね?」
「はい、ぐっすりと。」

オオナムヂがそう答えると、スサノオはたちまちきげんが悪くなった。
でも、すぐに、にやにやして、こう言った。
「それなら、今夜は、蜂とむかでの室屋に、おとまりいただこうか。」
オオナムヂは、蜂とむかでだらけの室屋で、ひとばんすごすことになった。

でも、こんどもまた、スセリビメがこっそりと、ふしぎな布をわたしてくれたから、へいきだった。

つぎの朝、元気いっぱいのオオナムヂを見て、スサノオは、「いったい、どうなっているんだ?」と、目を白黒させておどろいた。

その日、スサノオは、オオナムヂを広い野原につれていった。



ぼうぼうと草のしげる原っぱのまん中にむかって、スサノオは、一本の矢をビュンとはなつと、オオナムヂに言った。

「あの矢をさがしだして、ここに持ってきてくれないかな。」
「こころえました。」

オオナムヂは、すぐに答えて、原っぱの中へふみこんでいった。


ところが、なんということか、スサノオは、オオナムヂのすがたが見えなくなるとすぐ、原っぱに火をはなった。

チリチリと草をもやし、パチパチと火の粉をあげ、炎はまたたくまに、もえひろがっていった。
気がついたとき、オオナムヂは、まわりを火にかこまれ、身うごきがとれなくなってしまっていた。

「何度も命をねらわれるたびに、なんとか生きのびてきたわたしだが、ついにここで、やけ死んでしまうのか、、、。」

オオナムヂが、そう、かくごをきめたとき、足もとの地面にあいた小さな穴から、一ぴきのねずみが、ひょっこり顔をのぞかせた。
そのねずみが、なにやらぶつぶつ言っているのが聞こえる。

「内はホラホラ、外はスブスブ。」

それを聞いたオオナムヂは、「しめた!」と、ねずみがのぞいた穴のそばの地面を力いっぱいふみつけた。

すると、土がくずれて、その下に大きな空洞が見えた。オオナムヂは、いそいで穴の中にとびこむと、炎が頭の上をとおりすぎてしまうまで、じっと穴の底にかくれていた。

「内はホラホラ、外はスブスブ。」
"この穴は、外がすぼまっているけど、中はがらんどうで大きいよ"って、ねずみのことばにオオナムヂはたすけられた。

炎がすぎさって穴から出てみると、さっきのねずみがまた、オオナムヂのところにやってきた。
おどろいたことに、ねずみは、オオナムヂがさがしていた矢を口にくわえていた。
オオナムヂは大よろこびで、その矢をもって、スサノオのもとへ帰っていった。



そのころ、スセリビメは、オオナムヂがもう死んでしまったと思って、泣きながら、お葬式のしたくをととのえていた。

スサノオも、あいつはもう死んでしまっただろうと思って、やけ野原になった原っぱをながめていた。そこにオオナムヂが帰ってきたものだから、スセリビメは大よろこび。スサノオはびっくりぎょうてん。

オオナムヂはにっこりわらって、おどろくスサノオに、みつけた矢をさしだした。



さまざまな試練をのりこえたオオナムヂのことを、スサノオもやっと見なおしたらしい。スサノオは、オオナムヂを屋敷へまねきいれ、ごろんとよこになると、こう命じた。
「わしの頭のしらみをとってくれんか。」
「こころえました。」と言って、スサノオの頭を見たオオナムヂは、ぎょっとしてかたまってしまった。

そこには、しらみではなく、大むかでがうじゃうじゃしていたのだ。

おどろいているオオナムヂの後ろに、そうっとスセリビメが近づいてきた。

スセリビメは、だまって椋の木の実と赤土をさしだした。姫がなにも言わなくても、オオナムヂには、その心の内がわかった。

オオナムヂはすぐに、椋の実をガリリとかみくだき、赤土といっしょに口にふくんでペッとはきだした。

それを見たスサノオは、「おお、むかでを食いちぎって、はきだしているのか。たいしたやつだ。」と満足して、まどろみはじめたようだった。



やがてスサノオは、ぐっすりとねむりこんでしまった。

するとオオナムヂは、ねむっているスサノオの髪の毛を、いくつもの束にわけて、屋根をささえる垂木にむすびつけた。

五百人がかりでうごかすほどの大岩で、屋敷の入り口をふさぐと、オオナムヂはスセリビメに言った。

「いっしょにきてくれ。わたしといっしょに地上の世界へいこう。」
そのことばに、スセリビメは小さくうなずいた。


スセリビメをせおい、スサノオの宝である "生太刀(いくたち)" と "生弓矢(いくゆみや)" と "天の詔琴(あめののりごと)" をかかえて走りだした。

でも、にげるとちゅうで、うっかり、手にもった琴が木にあたってしまった。
すると、枝にふれた琴が大地をゆるがすほどの音をたてて鳴った。

「なにごとだ!」

その音を聞いたスサノオが、ぱちりと目をさました。
スサノオは、はっととびおきた。でも、髪の毛が垂木にむすばれていたものだから、とびおきたひょうしに、屋根ごと、屋敷をひきたおしてしまった。

くずれおちた屋敷のあとで、スサノオが、垂木にむすばれた髪の毛を一つずつほどいているあいだに、オオナムヂとスセリビメは、どんどんにげていった。

スセリビメをせおったオオナムヂが、根のかたすの国と地上の世界のあいだの、黄泉比良坂(よもつひらさか)をかけのぼりはじめたとき、後ろからスサノオのことばが聞こえてきた。

「おうい、オオナムヂ!
おまえのもっている生太刀と生弓矢で、おまえの兄弟の神々を追いはらってしまえ!
おまえが地上の世界をおさめ、主となるのだ!
これからは、オオクニヌシと名のるがよい。わしの娘のスセリビメを妻にして、りっぱな御殿をたて、なかよくくらせよ!にくらしいやつめ!」



オオナムヂは、スサノオのことばどおり、それからはオオクニヌシと名のり、根のかたすの国からもちかえった宝の太刀と弓矢で、兄弟の神々を遠くへ追いはらった。
そして、スセリビメと結婚して、出雲の山のふもとに御殿をたて、葦原の中つ国をおさめることになった。

葦原の中つ国というのは、天上の世界である高天の原と、地下の世界である黄泉の国のまん中にある世界。
つまり、青々とした葦のしげる、われわれ人間の住む、この世界のこと。







出雲までオオクニヌシをたずねてきたヤガミヒメは、オオクニヌシがスセリビメと結婚したことをしると、だまってそっと、ふるさとの稲羽へ帰っていった。
「ヤガミヒメが夫にえらぶのは、オオナムヂだ。」という、白うさぎの予言はあたったが、そのヤガミヒメの恋は、めでたしめでたしとは、ならなかったのだとさ。