「稲羽の白うさぎ」 | BAR white L(ホワイトエル)のブログ

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天神橋最南端のBARです。
「身近で温かいオーセンティック」
をコンセプトに下町のbar文化を発信していく所存です。
心地良く背筋を伸ばし、限りなく心に寄り添う。
white Lはそんなお店でありたい。

BAR white L
ほぼ無休 18時〜4時
大阪市北区天神橋1-10-9 2F

皆様こんばんは

或いはおはようございます




コロナやサル痘

台風や猛暑による熱中症

空を飛び 海を渡り 月を歩いた

それでも自然に脅かされる

「地球」という大自然は

全てを受け入れるくらいに雄大で

時に 全てを無に帰す程の牙を剥く

そんな長く続く大きな自然界で

点にもならない歴史を刻む   カズアキです




えー、そんなこんなで

来月8月で毎月の「カズアキカクテル企画」はなんと71回目になります

71ヶ月です  5年と11ヶ月  長いなあーーー

振り返ると、あっちゅう間

地球規模で見るとほんの数秒なのでしょう

それでも、少しずつ、確実に歴史を刻んでいる


あ、別にだからと言って何かあるわけでは無いですよー

ただ単に (何回目なんかな?) って思って数えただけでございます 笑笑




はい、では来月のカズアキカクテルを紹介する前に、モチーフとなった物語りを書きまーす

恒例の長いやつです

二部作です

読むのが面倒くさい方も最後までお付き合いください






稲羽の白兎で有名な「大国主命(オオクニヌシノミコト)」

素戔嗚尊(スサノオノミコト)の六代あとの子孫として、この世に生を受けます


そんなオオクニヌシが名前を変える以前、大穴牟遅神(オオナムヂ)の名で活躍した頃

そのとき出逢った最初の妻「八上比売(ヤガミヒメ)」と、その姫を巡る兄弟神との物語り


はじまりはじまり〜





「稲羽の白うさぎ」


オオナムヂには八十もの兄弟がいたが、この兄弟の神さまたちは、なぜかみんな、オオナムヂのことをばかにしていた。


あるとき、稲羽(因幡)の国のヤガミヒメという、美しい姫のうわさを聞いた神さまたちは、兄弟そろって結婚をもうしこみにいくことにした。


このときにも、みんなの荷物をオオナムヂだけにせおわせ、じぶんたちは、さっと先にいってしまった。



稲羽にむかった神さまたちが、気多の岬をとおりかかると、砂浜に一ぴきのうさぎが、皮をはがれてまるはだかになってたおれていた。

それを見た神さまたちは、おもしろがって、こう言った。

「これこれ、うさぎよ。その体をなおしたいのなら、海の塩水をあびて、高い山の尾根で、風にふかれていればよいぞ。」


うさぎが、言われたとおりにしてみると、塩水はひりひりと染み、風がふけば、はだがかわいてぴりぴりとひびわれる。

なおるどころか、あまりのいたさに、うさぎは泣きふしてしまった。



そこにとおりかかったのが、大きな袋をかついだオオナムヂだ。

「なにをそんなに泣いているんだい?」


そうたずねるオオナムヂに、うさぎは泣きながら答えた。




「わたしは隠岐の島にすむうさぎです。いつか、この稲羽の国にわたってくらしたいと思っていたのですが、海をわたる方法がありません。

そこで、鮫をだまして、海をわたることにしたのです。『おまえのなかまと、わたしのなかまと、どちらが多いか、比べあおう。数えてやるから、なかまをあつめて並んでごらんよ。』と、

わたしが言うと、そのことばをしんじて、鮫たちは島からこの浜まで、海の上にずらりと一列に並んでくれました。

しめしめと思いながら、鮫の数を数えるふりをして、並んだ背中の上をぴょんぴょんとんで、海をわたっていきました。


そして、あと一歩で浜にたどりつくというとき、うれしさのあまり、つい、だましたことを言ってしまったのです。


すると、たちまち、いちばんはしっこにいた鮫が、わたしをつかまえて、白い毛皮をはぎとってしまったのです。」



語りおえたうさぎは、泣く泣く、ことばをつづけた。

「さきほど、とおりかかった神さまたちが、海の水をあびて、風にふかれていればなおるとおっしゃいましたので、そのとおりにいたしましたら、このありさまです。

塩水が染み、はだがわれ、もう、いたくていたくて、たまりません。」




それを聞いたオオナムヂは、うさぎにやさしく教えてやった。

「すぐ川にいって、川の水で体をあらうんだよ。それから、川辺にはえている蒲の穂をほぐして、しきつめるんだ。ほぐした穂の上に体をころがせば、きっと、もとどおりになるからね。」


うさぎが言われたとおりにしてみると、あかむけだった体のきずはなおって、すっかりもとどおりになった。

ちなみに、このうさぎこそ、いまはうさぎ神とよばれている稲羽の白うさぎとなった。




白うさぎは、オオナムヂに言った。

「あなたの兄弟の神々は、ヤガミヒメと結婚することはできないでしょう。ヤガミヒメが夫にえらぶのは、大きな袋をかついだあなたですよ。」


そして、その予言は的中した。


結婚をもうしこみにきた神さまたちに、ヤガミヒメはこう言った。

「あなたたちのもうしでは、おうけできません。わたくしは、オオナムヂさまと結婚したいと思います。」



ヤガミヒメのことばに、兄弟の神々はいかりくるった。よりによって、姫がえらんだのがオオナムヂだったなんて!

じぶんたちがばかにして、けらいのようにこきつかっていたオオナムヂが、ヤガミヒメと結婚するなんて、ぜったいにゆるせない!!



そうして、兄弟の神さまたちは、なんとオオナムヂを殺してしまうことにした。




とてつもないいきおいで、あばれまわる赤猪をつかまえると嘘をついて、火でまっ赤にやいた、大きな岩のしたじきにし、殺した。


悲しんだお母さんの神さまは、高天の原に住むカミムスヒという神さまにおねがいし、オオナムヂを生きかえらせた。



しかし、それをしった兄弟の神さまたちは、もちろん、だまってはいなかった。

つぎからつぎへと、あらゆる手をつかって、オオナムヂを殺しにかかった。


それでも、オオナムヂは、なんど殺しても、生きかえった。


いかりくるう、兄弟の神さまたちは、あきらめなかった。



そこでお母さんは、オオナムヂに言った。

「このままでは、あなたは、いつかほんとうに兄弟の神々に殺されてしまうわ。しばらくここをはなれて、かくれていなさい。木(紀伊)の国にオオヤビコという神さまがおられるから、その神さまにかくまってもらうのですよ。」


そのことばにしたがって、オオナムヂはオオヤビコのもとににげていった。


もちろん、兄弟の神々はそれを聞きつけ、すぐにオオナムヂのあとを追いかけてきた。




木の国にやってきた兄弟たちは、オオヤビコの家をとりかこむと、弓に矢をつがえて、

「オオナムヂを出せ!」

と口々にさけんだ。


「ここまで追いかけてくるとは、、、。」


オオヤビコは、兄弟の神さまたちのしつこさにあきれながら、考えこんだ。

そうして、オオナムヂにこう言った。


「あの大きな木のまたをくぐりぬけると、地の底の世界につうじている道がございます。その道をとおって、スサノオさまがおられる、根のかたすの国へおいきなさい。きっとスサノオさまが、なんとかしてくださるはずですから。」



こうして、オオナムヂは、地の底の国をめざすことになった。




「稲羽の白うさぎ」 -完-






大変長らくありがとうございました

m(_ _)m

次回はその続き、二部作の後半「根のかたすの国」とカクテルの紹介をしたいと思います


まだ長いのが続きます 笑

めげずに、飽きずに、お付き合いください