滋賀旅行記・丁子屋編 | BAR white L(ホワイトエル)のブログ

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天神橋最南端のBARです。
「身近で温かいオーセンティック」
をコンセプトに下町のbar文化を発信していく所存です。
心地良く背筋を伸ばし、限りなく心に寄り添う。
white Lはそんなお店でありたい。

BAR white L
ほぼ無休 18時〜4時
大阪市北区天神橋1-10-9 2F

尊敬する先輩のお店が17周年を迎えられました。足跡を辿る大切な存在。
私はそんな先輩に後ろから躊躇無く懐中電灯を向ける生意気で失礼な後輩。
けれどその都度、ちゃんと背中が見える。
誰かに生かされて今年で14年、鈴木です。



前回の滋賀旅行記の続きを...

このお店は是非、単独で伝えたい。


「滋賀旅行記・丁子屋(旅館)編」

バーテンダー職に付いて得られる事。
多々御座いますが中でも大きな一つが

『飲食店の情報を多角的に得られる』

です。

カウンターあるある会話、
「今日は何を召し上がりましたか?」
「何処か美味しいご飯屋さん知りませんか?」
2軒目の商売ならではのやり取り。

老若男女、様々な趣味、立場、職種に従事される方々から頂ける情報。
普通に生きてるだけじゃ決して得られない物も多々有る。

そうして知った内容を整理し、考察し、経験に変える。
その人その人の「人生最高のお店」を知り、
そんな店ばかりを休日度に巡る。

こんな幸せな事があろうか?

今回もそう。

高い味覚をお持ちの食い道楽(also 飲み道楽)のお客様からお伺いした名店。
滋賀県高島市今津町が誇る鴨鍋料理のお店。

「丁子屋(旅館)」

創業300年。
特に先代の親父さんは腕やキャラを踏まえて伝説的な方だったそうな。
現在は娘さんが後を継がれています。

鴨鍋料理のお店ですが、鴨は冬季(3月迄)のみで、夏は鮎がメインだとか。
理由を問うと、鴨肉は冷凍出来るが夏の葱は香りがエグくて鴨ネギ鍋を壊すので、との事。
葱なくば鴨もない。こだわりが強いですね。

しかし立地が...。

最寄駅は湖西線の近江今津。
電車は一時間に一本。 


周りには温泉宿など無い。
丁子屋は宿泊を兼ねる施設ですが、風呂や部屋は決して充実した物ではないそうで。
故に長浜に一泊し、翌日食事のみ頂きに電車で向かう事に。

予約は14時。
現在は予約に合わせ昼夜問わず指定時間に食事を用意してくれるそうです。

価格は¥7500一本勝負。

到着後、帰りの電車時間を確認。
何せ一時間に一本ですから、計算して店を出ないと大変な事に。駅前には2軒ほど喫茶店があるので、そこで時間潰すのもアリかな⁇

近江今津駅から徒歩10分弱、丁子屋到着‼︎


趣あるお店です。
元は船宿だったそうで、琵琶湖の湖畔に迫り出す様に建てられている。

奥の個室に案内され、早速料理が運ばれます。

稚鮎と


鯉の洗い。


今日まで口にした中で最高の鯉でした。

鯉のイメージ180度変わった。
泥臭さなんて皆無。
淡水魚らしい透明感に満ちる味わい。
酢味噌は臭み取りでは無く、この清々しさを目一杯楽しむ為にあるのだ。と実感。

お次は...

ホンモロコ‼︎

これがもうメインで良い程、美味‼︎

元は琵琶湖固有種の淡水魚。
乱獲や湖岸の改変工事、外来種の影響て漁獲量が激減し今や立派な高級食材。
鯉科の中で特に美味とされ、冬季の京都料亭などで提供されます。

炭火で焼いたホンモロコ。
感動的に美味くて。

清々しい香りと、小ぶりな身に恐ろしい程豊かな旨味を持つ。
肝を味わうタイプでは無いのですが、この身の味わいは唯一無二。

鴨が来る前に、感動で胸いっぱい。

感動続きで写真撮り忘れたのですが、この後出された鰻も素晴らしい物でした。
良い鰻まで頂ける。

これで¥7500は安すぎないか?

部屋には著名人の色紙が満載。

春樹かぁ。

そして遂に、真打登場!

これが丁子屋の天然真鴨‼︎

良い猪肉を彷彿する身と脂身の色合い。

こりゃ、食べる前から美味いのが分かる。

女将さん自ら作って頂けます。
大量の葱と野菜を敷き詰めた鍋に鴨を乗せ、割り下(酒、醤油?)と、嘘っ⁉︎と叫ばんばかりの砂糖をぶち込む。


蓋をして暫く火にかけ、完成‼︎


先ず、葱が美味い。
恐ろしい程美味い。
歯応えの後にトロッと染み出す甘味。
青臭さは無く、ポジティブな香りのみが口一杯に広がります。

鴨肉はしっかり野性味溢れ、それでいて少しもエグく無い。脂身の心地好い食感は、正にジビエ!
かつ不思議な程その香りが野菜に移る。

鴨+葱。
そんな組み合わせは何度も経験しましたが、やっとその心が解った。
極上の葱と天然真鴨。役者が揃って初めて知る。
究極に近いマリアージュだ。

2度に分け鍋を頂いた後、締めのうどんを投入。

フグの締め雑炊と同じ、主役級の締めうどんでした。

何度も言いますが、これで¥7500は安すぎる。

あっ、ただ、日本酒は4合瓶しか無いのでお気をつけあれ。


この店ある限り、今後冬は必ず訪れる。

滋賀の恵みをで胸いっぱいの一時でした。

皆様も、是非!