以前のブログで、家の犬が胆嚢粘液嚢腫になったことを書いたのですが、一昨日手術を行いました。
胆嚢粘液嚢腫の手術は、胆嚢摘出術といって、胆嚢を全摘出する方法で行います。
胆嚢は、肝臓にくっついている袋状の器官で、上腹部の正中からアプローチすると頭側の奥の方に位置します。
深いところでの操作になるため、術野が狭くて非常にやりにくいです。
術前には、凝固系検査を行います。肝障害のある個体では、凝固異常が起こっている場合も多く、補正が必要になることもあります。幸いエルマー君は、凝固異常はありませんでした。
麻酔前投薬として、抗生剤、鎮痛剤、鎮静剤などを投与し、プロポフォールを使用して導入、維持は吸入麻酔で行いました。
胆嚢を摘出するには、まず胆嚢と肝臓の付着部を慎重にはがしていかなければなりません。無理にはがすと出血するので、綿棒をつかいながら少しずつはがします。
胆嚢がフリーになったら、胆嚢管の部分を止めて切除します。今回はヘモクリップという道具を使用しました。
術後の経過は良好で、もうご飯も食べ始めました。周術期の死亡率が30%程度あるので、油断はできませんが大丈夫な感じです。
胆嚢粘液嚢腫の手術は、高い死亡率のため、やりづらい手術ではありますが、症状がない段階での胆嚢摘出術であれば、成書の死亡率ほどの高死亡率ではない印象も受けます。早期発見し、手術適期を逃さないことが大事だと思います。
摘出した胆嚢の中には、半固形のどろどろした塊が充満していました。胆嚢の内容物は、細菌培養に出し、胆嚢自体は病理検査に出して、結果待ちです。