5月末のイタリア旅行の続きです。
旦那の生まれ故郷、エミリア・ロマーニャ州は食の産地。
ボロネーゼ発祥の地ボローニャや、パルマハムのパルマ、パルメジャーノレッジャーノチーズなどの産地が点在しています。
パルメジャーノレッジャーノの名前は、パルマとレッジョ・エミリアという地域名から由来されます。
チーズは、日本のお漬物と同じで、古くから「ーさん家の、ー地域のチーズ」と名付けられ、代々作られてきました。
特に味の良い優秀なチーズが今世に出ている有名なチーズとなったのですが、やはりその有名な名前を使って商売を始めようと思う人は沢山いるわけで。
それを管理しているのが、DOP. Denominazione d'Origine Protetta
原産地保護呼称です。
フランスのAOC Appellation d'Origine Controleeに当たります。
「パルメジャーノレッジャーノ」と名乗れるのは、このDOPの厳しい規定を通ったものだけです。
日本では、「パルメザンチーズ」がパルメジャーノレッジャーノだと思っている方が多いですが、
パルメザンチーズは「パルメジャーノレッジャーノ」と名乗れない、
別の国かイタリアの別地域で作っている全くの別物です。
昔から私のブログを読んで頂いている方はご存じと思いますが、私は昔チーズ屋に勤務していたことがあり、毎日チーズを切りながら、
こんなに大きなチーズをどうやって作るんだろう
と不思議に思い、工程を見たくて見たくて、念願叶い、フランスの山奥まで単身2か月間チーズ作りをしに行ったチーズオタクです。
この時はアボンダンスという、1個8キロのチーズ。
パルメジャーノレッジャーノは、40キロから50キロと5倍!!
どうやって作ってるのーーー!!
と、もう好奇心が止まらず。。。ワクワク
旦那の実家を訪れる度に、近くなのにコロナ禍でずっと訪れることができず、今回やっと念願の工場見学に行ってきました。
https://www.parmigianoreggiano.com/dairies-visit-tasting/
パルメジャーノレッジャーノ工場見学はツアーに参加せずとも個人で見せてもらえますが現時点では要予約で有料です。
人数が多いほどお得です。
上記のページから直接予約し、現地で料金を支払うという形でした。
沢山登録している農家があり、どこを選んで良いかわからず、一つづつネットの評価を見て選びました。
工場の規模も、見学値段も一人10ユーロから50ユーロと大幅に違う。。
おくちゃんは、少し旦那の実家からは遠いけれど、一人10ユーロと一番安かった上に、一日70個も作っている大きな工場が見たくて、車で連れて行ってもらいました。
一キロ19ユーロ(2500円程)。。。安すぎ。
さすが卸値価格。
日本ではグラム1000円くらいじゃないかな。。
お客さんは塊で買っていきます。
他にハムなども並んでいました。
さてさて、頭と足、口にもカバーをかけて工場見学の始まり~。
この日は、オーストラリアから来たカップル含め4人だけでした。
パルメジャーノレッジャーノは、前日に絞った牛乳を一晩おき、分離した乳脂肪分を抜いたものと、当日朝絞った牛乳を混合したものを使うので、一日に一回だけ作ります。
生き物である牛に休みはありません。
だから、作る側の人間にも、休みはありません。
一日に一回だけ、一年中、クリスマスでもお正月でも作る!
と自慢げにおっしゃっていました。
牛乳にレンネットと呼ばれる凝固剤を入れて温めて攪拌させると、牛乳の結晶になります。
この方は、パルメジャーノレッジャーノ工場のマスター。いわゆる親方。
他の従業員は子分で、親方の号令の下動きます。
この方は別工場でマスターをしていたそうですが、あまりにも良いチーズを作るので、この工場へスカウトしたそうです。
同じDOP規定を通ったレッジャーノでも、やはり造り手により味が変わるそうです。
毎年、DOPのレッジャーノのコンクールがあり、この工場はこちらの親方の元、金賞を受賞しています!
手を何度も入れて、チーズの結晶の状態を測っていました。
美味しいチーズを作るのに、ここでの感覚がとても大事だそうです。
あーーー私も知りたい、その感覚!!
いつかまた修行に来たい!!
こちらが、その結晶を握ったところ。
もうモチモチしています。
思わず、「食べて良い??」と聞いて、食べさせてもらいました。
まだ、とても淡白な味です。
こちらはリコッタ。
再び(ri)煮た(cotta)という名前の通り、レッジャーノを掬った後、もう一度ミルクを温めて作ったもので、熟成はさせず、新鮮なうちに食べます。
このリコッタが、美味しかった流石出来立て。スーパーで売っているのと全然違う‼️
義両親にも持って帰ったのですが、イタリア人でも美味しいって言ってた。
もう一度食べたい忘れられない味
リコッタを作る係の人。
ぎゅーーーっと絞られます。
ダイエットベルトのようーーーー!!
青い番号は日付です。
解読の仕方を忘れてしまいましたが、、
(22年6月16日だったかな。。)
アミノ酸で書かれているので、食べても大丈夫な成分です。
段々形になってきた。
DOPの刻印が。
塩水に約25日間つけます。
その後、室温18度、湿度80%に保たれた熟成庫へ入れられ、6か月から48か月熟成させる。
この熟成庫には7000個が眠っていました。
こちらは、チーズの状態を確認する道具。
チーズは、カビが生えないように定期的にブラッシングや反転が必要で、昔は一つづつブラッシングしたりしていたのですが、今は機械で行っています。
50キロを反転て。。。7000個も。。。
腰痛めるだろうなぁ。。
機械化が進む中、「音」で品質を確認するという伝統は変わっておらず、DOP鑑定士は助手2人を連れて、一つづつ棚からだし、一つづつこのハンマーで叩いていくそうです。
美味しいチーズは、太鼓のようにハリがある音がします。
中に水が入っていたり、カビが生えたチーズは、張りのないポコポコした音がします。
実際、上工程は私が作っていたチーズとほぼ同じでした。
違いは、パルミジャーノ・レッジャーノは前日と当日の牛乳を混ぜ乳脂肪分を抑えているところ。
フランスの農家でチーズのブラッシングと反転をしていたことを思い出します。
私の働いた農家では、一日5回、塩水につけて、その後ブラッシング。
まるで生き物のように、美味しくなれよーと心を込めてブラッシングしてやると、本当に美味しくなるのです。
この子、形悪いなーあー重い。嫌い。。と思っていたら、どんなへそ曲がりか、カビが生え、腐っていく手のかかる子たちです。
規定が通らなかったチーズは、線を入れて刻印を消されます。
だからと言って50キロのチーズを丸ごと捨てるわけではなく、悪いところをだけを取り去り、
パルメジャーノレッジャーノは名乗れませんが、「パルマ地方の堅いチーズ」として売り出されます。
工場見学の後は、試食会。
12か月、24か月、48か月と食べ比べをさせていただきました。
48か月熟成。
白い結晶はうまみ成分アミノ酸。
じゃりじゃりと感触があります。
チーズを作る時間に合わせての見学なので、朝9時半からと早いですが、とても内容の濃い約一時間の見学でした。
パルマ地方にいらしたら、お勧めのツアーです。