0.最終話には切ない別れがよく似合う

魔女っ子アニメでは、正体が人間にばれたら魔法界に帰らなくてはいけない設定がよくあり、少年時代の私たちは「涙の最終話」を何度も経験しました。

え? 私、もはや感性少女?

 

ヒーロー番組にも「切ない最終話」がありました。

そのおかげで、少年も感情移入して「守るべきもののために戦い、切なく別れる」ことを学習できたのです。

2例ご紹介します~。

1.ウルトラセブン「史上最大の侵略」(前・後編)

 

モロボシ・ダンことウルトラセブンは、「脈拍が360、血圧が400、90度近くの高熱」という状態に見舞われます。

長い間の孤独な地球防衛の闘いのため、もはや命の危険があるレベルで、体に深刻なダメージがたまっていたのです。

そのせいで様々なミスをし、地球側はゴース星人の侵略に窮地に立たされます。

 

ウルトラセブンは、ゴース星人の操る怪獣バンドンと戦い、何とか倒したものの、倒れてしまいます。

セブン上司から「死んでしまうぞ。治療のために星に帰らなくてはならない。もう変身はやめるんだ。ウルトラの星に帰るエネルギーもなくなってしまう」と警告を受けます。

 

しかし!

ウルトラ警備隊のアマギ隊員が地下のゴース星人の基地に捕われています。

ウルトラ警備隊はそれを知りません。ゴース星人の基地を突き止め、爆弾で全滅させる作戦を立てます。

アマギは基地ごと吹っ飛ばされる運命…

バンドンも改造され生き返っています…!

 

セブン上司は止めますが、ダンは意を決して、アマギ隊員を救うため、立ち上がります。

そこへ現れる、アンヌ隊員。

アンヌ「…ダン?」
ダン「アンヌ!僕は、僕はね…人間じゃないんだよ…!M78星雲から来た、ウルトラセブンなんだ!」

アンヌ「えっ…?」
 

光が反転し、キラキラと波のような美しい逆光の背景、シルエットになる二人。

ダン「びっくりしただろう…?」
アンヌ「ううん。人間であろうと宇宙人であろうと、ダンはダンに変わりないじゃないの。たとえ、ウルトラセブンでも…」
 

ダン「ありがとう!アンヌ! 僕はM78星雲に帰らなければならない。西の空に、明けの明星が輝くとき、ひとつの光が宇宙へ飛んでいく……それが僕なんだよ。さよなら、アンヌ!」

(残念ながら西の空に輝くならば宵の明星ですが、地球生まれでないダンが地球での金星の呼び方を間違えていても仕方ないと思いますよね?)
 

アンヌ「待って! ダン、行かないで!!」
ダン「アマギ隊員がピンチなんだよ!」

 

ウルトラセブンは、アマギ隊員を爆弾より先に救い出しました。

ゴース星人は爆弾により基地ごと全滅します。

駆け寄るクラタ隊長たちに、アンヌは語ります。

 

アンヌ「ウルトラセブンの正体は私たちのダンだったのよ。M78星雲から地球を守るために遣わされた平和の使者で、自分を犠牲にしてまでこの地球のために戦っているんだわ。でも、もうこれが最後の戦いよ… ダンは自分の星に帰らなければならないの」

 

ウルトラ警備隊と協力して、まさに命がけの戦いでバンドンを倒したウルトラセブンは、金星輝く空へ飛び立って故郷の星へ帰っていったのでした…

 

自分を犠牲にしても守らなければならないもの。

人の心にはそういうものがあるのだと、教えられた最終回でした…!

 

2.デビルマン「妖獣ゴッド 神の奇蹟」

原作漫画とは別物なのでご注意!

ヒマラヤの氷河の底でデーモン族が地球侵略のため勇者・デビルマンが少年・不動明と父親を殺して乗り移ったのですが、なんと人間の意識に支配されてしまいます。そして引き取られた牧村家の娘・美樹にすっかり心を奪われ、「裏切り者」としてデーモンと戦う決心をするのです。

この最終話は、関東地方ではプロ野球オールスター中継のため1話飛ばされ、地方では放送されたため、話数が足りなくなり、作成された「最終話」。関東地方でも、再放送でようやく観られたそうです。

 

神のごとき能力を誇る、デーモン族の妖獣・ゴッド

人間界侵略の最後の刺客としてデビルマンの前に現れます。

「邪魔をしたらお前の正体を牧村美樹にバラす」

正体を知られたら美樹と一緒にいられない…

不動明はデビルマンへの変身を封じられてしまうのです。

 

天変地異を操り、地球を破壊していくゴッド。

美樹の弟が命の危険にさらされ、ついに不動明はデビルマンに変身します…

そのため、ゴッドはデビルマンの正体を美樹に告げに来ました…!

 

ゴッド「デビルマンとは彼のことだ!」
うなだれて美樹から離れて行く明。番組史上最高に悲痛な声で、変身の雄たけびを…
明「デービール!」

ゴッド「美樹の目の前でついに変身したか、デビルマン。これが不動明の正体だ、わかったか!」
デビルマン「とうとう正体を見られてしまったな、美樹」
 

しかし!!!
 

美樹「うそ!あなたの仕業ね!また奇蹟とやらを起こしたんでしょう!」
 

ゴッド「馬鹿な。今の変身は俺の仕業ではない」

美樹はデビルマンが不動明の真の姿だと信じなかったのでした…!

 

(明くん、負けないで。負けないで、明くん)
美樹の心の声が響き…デビルマンはついに勝利したのです!!!

 

真の姿?

いいえ。

彼女は明の本質をちゃんと理解していたのではないでしょうか!


 

美樹「良かったわ、元の明くんに戻って。化け物のままだったらどうしようかと思ったわ」
明「もしそうだったら俺を嫌いになったかい?」
美樹「そうでもないわ。案外、格好良かったわ」
明「ありがとうよ」
美樹「何が?」
明「俺を信じてくれたってことさ。目の前でデビルマンになった俺を」
美樹「どんな格好になったって中身は同じ明くんじゃない?」
明「そうだよ。…好きだぜ、美樹」
美樹「え?何か言った?」
明「何でもねえよ!」

 

照れ隠しのように(多分照れ隠しでしょう)いきなりバイクを吹かす明。

美樹「きゃ~~~! …んもう、明君ったら…」

 

バカップルなラストシーンです(笑)。

 

3.ヒロインは幸せになったか

アンヌはのちに、パラレルワールドと言いますか、様々な形でダンとの再会をしています。

ダンが見かけたその女性が息子に「ダン」という名をつけていたり、宇宙人の捨て子を育てていたり、ダンとアンヌが結婚してカレー屋をやっているという作品すらあります…

 

アンヌは、ダンとウルトラセブンが同一人物だということを受け入れてなお、あくまでダンが本当の姿だといいました。

しかし。ウルトラセブンこそが本当の姿なのです。

アンヌはそれを認めなかったのでした。アンヌにとって、「彼」はダンでなければならなかったのです。

 

希望と現実との乖離…

それゆえ彼女はダンとは(ほぼ)結ばれなかったのではないでしょうか…

しかし、結ばれなかったがゆえに、ダンとアンヌは悲恋の聖カップル(個人の感想です)として語り継がれてゆくのです。

 

 

しかし。

美樹は、明がデビルマンと同一人物であると認めませんでした。彼女にとっては、デビルマンは「虚構」の存在です。

 

もし変身場面を見てしまったとしても、「あの事件のせいで癖になったのね、かわいそう」などと(笑)折り合いをつけることができるでしょう。

 

美樹は迷いなく明を自分の恋人として見ていくことができるでしょう…

美樹は(原作の運命は忘れてくださいね)ずっと明にくっついていくでしょう。

そう、二人の関係は不動にして明らかなのです。

4.あとがき

比べるとおもしろい、ヒーロー番組のヒロインたち。

いかがでしたか…?

え?

魔女っ子編?

…気が向いたらね…