弱いものにつけこむ。

その窓口をさせられる職員もまた弱き者。

最近見分した事件を、怒りをこめて書き留めます。

参考文献:保険の教科書

 

1 差額ベッド代(差額室料)

親の療養で、差額ベッド代を負担させられている方がありました。

本人が要求したわけでもないのに。

これを、私は、患者の人権が侵害された事件と見ます。

 

差額ベッド(個室・小部屋)料金は、療養的な必要もないのに本人が望んだ場合に発生するものです。

参考文献: 個室ベッドその他に関する通達

 

1-1 差額ベッド代を請求されても、拒否できる場合

 

・書面での同意がない場合

 署名をしなければ差額ベッド代の支払いは生じません。

 

・治療上必要がある場合

 救急患者さんなど、医師が「治療上必要である」と判断して特別療養環境室(特別室)に入院させた場合、患者さんに差額ベッド代を請求してはいけないことになっています。

 

・病院側の都合による場合

 たとえば、患者さんがMRSA感染症等に罹っていて、他の入院患者の院内感染を防止するため、患者さんの意思に関係なく個室に入院させるようなケースです。

 

*しかし、現実には、同意書にサインをしなかったり、支払いを拒否したりするのは不安でしょう。

 「うちではなく、他の病院をあたってください」と言われるかもしれません。

 また、病院(医師や看護師)との関係がぎくしゃくし、本人が嫌な思いをさせられたり、家族と気まずくなったりといった心配もあるでしょう。

 

*まず、同意書にサインをする前に

①「経済的に支払える余裕がない」とか「大部屋を希望します」と病院側に掛け合ってみたり、相談してみると良いでしょう。値段の交渉ができるかもしれません。

 

②あまり事を大きくしたくない人は、同意書にはとりあえずサインをし、署名の横に「大部屋希望」と一言書き添えておくのもいいかもしれません。「自分が望んで入ったわけではない」という証拠ですので、治療が無事終わり、支払いの段階で、同意書のコピーとともに厚生労働省からの通達文(上記)のコピーを添えて提出してみるのもひとつの手です。

 

③支払いを強要されていると感じた場合(例えば「うちは個室ではベッド代を頂かなくてはいけない決まりなので、よそへ移ってもらうしか…」などといわれた)、監督官庁(下記)に相談してからお返事します、ときっぱり言ってください。

トラブルになってからでも構いません。

病院は、行政機関がとても怖いのです。

*医療機関関係のトラブルなどの窓口

 社会保険の場合=社会保険事務局

 国民健康保険=都道府県庁国民健康保険課

 厚生局(ブロック別にあります) 

 ※「地方厚生局」一覧はこちら。


 また、民間の組織もあります。

こちらの立ち上げをされた故・辻本好子さんにお目にかかったことがあります。

熱い情熱で、自身の経験をもとに、患者の人権を守る活動に一生をささげた方です。
NPO法人 ささえあい医療人権センター COML(コムル)

 

辻本さんにお会いした日から。

職員にとって「職場」「作業場」でしかない場所の、見え方が変わりました。

この人には、こうしとけばいい、と扱いに差をつけることは。

人として平等に扱われないということは。

人権侵害なのです。