部下には「自律神経失調症のため休職に入ります。これからは副主査(主任から昇格)と主任(3人を昇格させた)についていってください」
と告げました。
子供にはどう説明しようか。
何も考えられなかった私の代わりに、妻は「何も言わないでおこう」と決めました。
お父さんは朝出勤時間が変わったんだよ。遅くていいようになったの。
共働きのため、子供は終業後、学童保育に通います。5時に集団登校で近隣の妻の実家に帰ります。6時過ぎに迎えに行くのですが、それが私の仕事になりました。
とにかく動けませんでした。しかし、朝は体を引きずって食卓につくのです。
また、髭を剃り、身支度を整え、出勤の格好はします。
そして子供を送り出した後、居間に寝転がるのです。
自分はどうなるのだろう。不安がぐるぐる頭を回って、しかしなんにも答えは出ず、ひとりでに涙が流れました。
午前中はおおむね居間に転がって寝ているのでした。
ご飯も味が分からず、のどを通らず、みるみる痩せていきました。
唯一おいしいと思って食べるのは、チョコレートでした(何故!?)。
テレビ番組も、少しでも動揺のあるものは見られません。
震災関連のニュースなどもってのほか。喜劇でさえ、気分が悪くなりました。
動物番組と「アルプスの少女ハイジ」は見られました。昼はそればかり見ていました。登場人物が泣くシーンでは、もちろんもらい泣きをしているのでした。
金魚水槽を買いました。金魚が死んだらショックに耐えられないだろうと思ったのです。
金魚は元気に泳いでいました。小さき生き物を見て、和みつつ、こいつらの命が短かったらどうしよう、と考えてやっぱり泣いているのでした。
申し込んであった勉強会になんとか行こうとして、電車に乗りました。
人ごみや、揺れが気持ち悪く、目を開けていられません。
なんとか会場につくも、会の最中に気分が悪くなって、トイレで吐いてしまい、早退します。
通院だけは行かなければなりません。暇に見えて、結構ある。
心療内科はもとより、漢方内科、皮膚科、歯科(顎関節症)。それぞれ2週間に1度ずつ。
この外出が当時の私の大切な「出勤」でした。