テスラ(Tesla)は、同社初のEVトラックの『セミ』の新たな走行テスト映像を公開した。遅れていた同車の納車は、2021年内に開始される予定とのことだが…。
セミはトレーラーの牽引に用いられるトレーラーヘッドのEVだ。電動パワートレインには、テスラのEVセダン『モデル3』用がベースのモーター4個をリアアクスルに独立して搭載する。0~96km/h加速は5秒と、同クラスのディーゼルトラックの15秒に対して、大幅な性能向上を可能にしているという。
1回の充電での航続距離は、およそ483~805kmという。新開発の急速チャージャーを利用すれば、およそ640km走行分のバッテリー容量を30分で充電できるそうだ。
テスラは、このセミの新たな走行テスト映像を公開した。モーターサウンドを響かせながら、テストコースを走行する様子が見て取れます。
◆映像は公開されたが、テスラの抱える問題点とは…
すでにプレオーダーを開始しているが、量産開始時期については当初2019年としていたものが2020年に延期され、直近では「2021年中」に再延期された。
イーロン・マスクCEOによると、「セミ」の出荷が遅れているのはバッテリーセルの供給の問題とのこと。乗用車の5倍のバッテリーを必要とするが、販売台数が5倍になるわけではないので生産にブレーキをかけているとのことだ。なんとも苦しい言い訳ですね。
新型バッテリーセル「4680」の生産が始まればセル供給の問題は解消に向かうということだが、商用車で世界最大手のダイムラーグループは、2021年中に大型EVトラックの量産化を予定しており、「世界初の量産大型EVトラック」を狙うとしたら、あまり猶予はない。
◆今回の動画公開には別の「思惑」もあるという
実は、テスラのライバルといわれている米国「ニコラ」(Nikola)の公開した動画スキャンダルが裏側にある。大型トラックの「ゼロエミッション」をリードしてきた(とされる)ニコラのスキャンダルは、フェイク動画を発信したというものだ。
ニコラは水素燃料電池クラス8トラックの『ニコラ・ワン』を2016年に公開しているが、その動画が“フェイク”のではないかという疑惑が2020年に報じられたのだ。パワートレーンを持たない“模型”が坂道を下る映像を、カメラを傾けて撮影することで自走するように見せかけていたというもの。
当局が捜査に乗り出し、創業者のトレバー・ミルトンが辞任する事態となった。こうしたことから米国では大型EVトラックに対して懐疑的な見方が広がり、テスラとしてはプロトタイプのモデルチェンジとテストコースを自走する動画の公開により、その払拭を図る狙いもあったのかもしれない。
『セミ』に関しては、大手スーパーの「ウォルマート」や「ペプシコ」などが導入すると伝えられているが、当面は、「弊社では環境にやさしいEVトラックを使っています」をアピールする、いわゆる“看板需要”に限られるのではないか。
乗用車と異なり、トラックはドライバーのみならず、運送事業者や荷主の意向も勘案しなければならず、荷物の状況、運行ルート、道路状況など、さまざまな要素を考慮して成立するクルマなのである。
既存のトラックメーカーには、そのための技術やノウハウの蓄積がある。果して「ぽっと出」の新興メーカーに「百年に一度の大変革」をリードするポテンシャルがあるか、はなはだ疑問ではあるが注目せざるを得ない。
再三に渡り延期された『セミ』が、2021年中に量産を開始するというのだが、果たして「百年に一度の大変革」をリードする存在になれるか…、ちなみに日本の将来トラックについては、どうも水素・燃料電池のFCVに向かいそうだという。
↑ ↑ ↑ eddie-k's eco_car blog ↑ ↑ ↑
【 Tesla Semi on the Track #Shorts の動画はこちら 】
https://www.youtube.com/watch?v=KhEsQkdOHQw
【 Tesla Semi Truck in the Wild! の動画はこちら 】
https://www.youtube.com/watch?v=thx-querpPw
【 Nikola - Driving Change Episode 3 の動画はこちら 】
https://www.youtube.com/watch?v=hQlFECfvhVw
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