スタジオ破壊命令 Vol.3
少年にとって、あの倉庫スタジオを失うことは、自分の分身を
破壊されるような気持ちに近いものがありました。
「…わかった…やってみるよ…」
少年は決意を込めていいました。
「ふん、まあオレとしては、倉庫のスペースが空く分、
うまくいかないほうが助かるがな、ははは…」
「あ、でもさぁオヤジ、なんでまたビールなんだ?
菓子折だっていいじゃんか」
「それはなぁ、オレがビールだったら嬉しいからだよ。
それに、こんなもんいるか!って突き返された時に
ムダにならなくてすむだろーが、ははは…」
「なんだよ…そういうことかよ…」
でも少年は、素直に自分の気持ちを伝えることの下手な
江戸っ子ジジイ系な父親のことはよくわかっていたので、
口の悪さのその奥に隠れた優しさに感謝をしました。
『よーし、ぜったいあの倉庫スタジオを守らなきゃ!
あそこを壊されたら、今後バンド活動ができなく
なっちまうもんな…』
そしてその翌日、少年は放課後、武田君と岡本君の
2人に話をしました。
「なあ、せっかくオレらバンドを組んで、さらに自分たちの
楽器で演奏ができる恵まれた場所を持ってる。
このまま、あそこで練習できれば、バンドとしてもかなり
レベルアップができるし、他のヤツらに比べてもめっちゃ
有利な立場にたてるよな。
それで、今日これから苦情がでた家に挨拶に行こうと
思うんだ。だからさ、2人にも付き合って欲しいんだよ」
すると、武田君が
「なに、直接その家までいくのか?うーん、緊張するなぁ。
そんで、もしダメだったらどうなるんだ?」
「もし、その人たちが承諾してくれなかったら、オヤジも
あのプレハブを取り壊すって言ってるんだよな」
「マジで!そうなのかぁ、オレ達のスタジオが破壊されるのか…」
「岡本はどう?おまえも一緒に行ってくれるか?」
「そうだな、うん。オレも自分のアンプを使って音を出せて
嬉しかったしな、あそこはなんか自分たちのスタジオって
感じでな、愛着もあるからな、うん」
「まあ、ダメもとで、当たって砕けてみるかー」
「そうだな、ダメだったらそん時はそん時で、また考えようぜ!」
3人は決意を固め、さっそくその足で、少年の家の近くの
酒屋まで行きました。
そこで缶ビール1ダースを3箱買い、それぞれが1箱ずつ、
自転車の荷台の上に置き倉庫近くの民家に向かいました。
「でもさ、おまえのオヤジさんにも悪いことしたよな、
わざわざビール代まで出してもらっちゃってさ、
しかしそれにしても、なんでまたビールなんだ?」
「ま、まあ、それは聞かないでくれよ(^_^;)」
そして、いよいよ少年たちは、3件の民家が連なる場所まで
やってきました。
そして、まず最初は倉庫から最も近い場所にある家に向い、
缶ビールの箱を抱えて玄関の前に立ちました。
少年は少し震えながら、その家のインターホンを押します。
ピンポーン・ピンポーン・ピンポーン
音が3回繰り返し鳴り、その家の人の声がインターホン越しに
聞こえてきました。
「はい、どちらさま?」
3人の少年たちに緊張が走りました!
「あ、あ、あのー、わたくし神山と申します…」
「はい?」
「あ、すいません、あの、ボク、この近くの倉庫でバンドを
やっている者ですが、あの、今回は日頃ご迷惑を
おかけしていると思い、ご、ごあいさつにまいりました」
「ああ、そうなの?ちょっとお待ち下さい…」
しばらくすると、40代くらいの女性が玄関から出てきました。
「あら、あら、まあ、どうしたのかしら?」
この家の奥さんのようです。
「あ、あのう、ボクたちこの近くの倉庫でバンドの練習をしている
のですが、最近連日のように夜遅くまで練習をしてしまって、
近所の方にご迷惑をかけたと思いまして…そ、その…」
「ああ、あの音ねぇ」
「そ、それで、あのー、このたびは、ご近所の皆さんに
謝りにきたのですが…」
「あら、そうなの、そう、君たちだったのねぇ…」
「は、はい、どうもすみませんでした…」
3人は、一緒に頭をさげました。
「まあ、まあ、わざわざどうもねぇ、別に私はそんなに
気にしてないから、大丈夫よ。
でも、お隣さんにはちゃんと言っておいたほうがいいわよ。
(小声で)ちょっと、うるさい方だから…」
「は、はい、ありがとうございます。あの、これからは時間を決めて
夜の7時までには練習を終わらせますので、どうかよろしく
ご理解をお願いします」
「はいはい、がんばってくださいな」
「あのー、これ、つまらないものですが…」
少年は買ってきたビールを差し出しました。
「あら、あら、いいわよー別に気を使わなくても」
「いえ、私の父からきちんとお渡しするようにと言われて
おりますので、どうぞお受け取り下さい」
「そう、うーん、じゃあ、お言葉に甘えて頂戴するわね」
「なるべく音量には気をつけますので、よろしくお願いします」
そういって、3人は一件目を立ち去りました。
「おおー、緊張したー、でも神山、なかなかいい感じだったぜ」
「まずは優しいおばさんでよかったな、うん」
「うーん、でも今の話だと、どうやらこの隣りの人が通報したっぽい
感じがするよなぁ、よーし、次はちょっと気を引き締めていくぞ」
「おう」
そういって3人は、おそらく苦情をいったであろうその家に向かいました。
そして、玄関先まで近づいた時…
「ウウゥ~、ワン!ワン!」
と、その家の飼い犬が門構えの向こうから少年たちを威嚇しました。
「うおっ、びっくりしたぁー」
3人はビクっと一瞬怯みました。
「ワンワン!ワンワン!」
大型のコリー犬が、少年たちを吠え続けます。
「げっ!おい、この家インターホンがないぞ!」
「え?なんだって!マジかよ」
「あ、あれ、あそこにあるのがそうじゃないか?」
みると、門構えではなく、玄関のすぐ隣りにチャイム式の
ボタンらしきものがありました。
「おい、おい、この犬、放し飼いになってるぜ!
これじゃ、あそこまで行けないよ」
「それにしても、こえーなー、この犬」
少年たちが、その場でドギマギしていると、しばらくして犬の声に
気が付いたのか、その家の人が玄関から出てきました。
「こらぁー、ベン!うるさいぞー!」
犬を叱りつけたその人は、見た目60代くらいの白髪のおじさんでした。
「あ、あのー、ごめんくださーい」
少年が叫びました。
その声に気づいたおじさんが、こちらを睨みました。
「うん?なんじゃぁ、おまえらは」
そういって、おじさんは少年たちに近づいてきました。
『げっ、気難しそうなおじさんだぞー』
少年に緊張が走ります。
「こ、こんにちは、ボクたち近くの倉庫でバンドをやっている者ですが…
あの…ご迷惑をおかけしましてすみません」
「うん?なんじゃ、あのうるさい音はおまえらか?
夜遅くまで、ガンガンうるさくしよってからに!」
「ど、どうもすみませんでした」
3人は、一斉に頭をさげました。
おじさんは、門構えの鉄製の扉を開け、外までやってきました。
「ふんっ、まったく迷惑にもほどがあるわい。
いったいなんだあれは?楽器の音か?」
「は、はい、そうです。あの、ボクたちバンドをやっていまして、
あそこで練習をしているのですが…」
「バンドだぁ?ふん、くだらん。あんなもん、音楽とは言えんぞ!
人の迷惑というもんをおまえらはわからんのか!!」」
おじさんはえらい剣幕で怒鳴りました。
「ど、どうも、すみませんでした…」
少年は、どうしたらいいのかわからず、そのまま黙ってしましました。
他の2人も、下を向いたままじっとしています。
『やばい、この人すっげー頑固そうだぞ…』
ものすごい険悪なムードが、少年たちを襲いました。
するとその時、さっきまで吠えていたでっかいコリー犬が、
スルスルと岡本君のそばまで寄ってきました。
岡本君は、頭を下げたままちょっと困惑しながらも、
その犬の頭を撫でました。
なんと、その犬は岡本君に頭を触られても吠えません。
それどころか、そのうち犬が岡本君をペロペロと舐めはじめました。
「か、かわいい犬ですねぇ(^_^;」
しまいにはその犬が、がばーっと岡本君に抱きついてきます。
「ははは、すごいな、よしよし、うん」
岡本君がこんなにも犬に好かれるとは思いもしませんでした。
すると…
「ほう、ベンが懐くとはな、おまえ、犬は好きか?」
さっきまで、怒っていたおじさんが急に優しい口調に変わりました。
「は、はい、うちも犬を飼っていまして…犬は大好きなんです」
「ふーん、そうか…どんな犬だ?」
「はい、私もこれくらいのおおきな犬が欲しいと思っておりますが、
なにぶん、家が狭いもので、小型の柴犬を飼っております」
岡本君特有の年上の人と話す時のしゃべり方です。
「ほう、柴犬か、ワシも以前は飼っていたよ、あれは頭がいい。
こいつはもう3匹めになるな」
なにやら、2人が犬話で盛り上がっています。
「そうか…ふーん…」
おじさんは、少年たちをジッーっと見ています。
そしていきなり、
「…よし、おまえたち、ちょっと中に入りなさい」
おじさんは、急に少年らに家に入るようにいいました。
「は、はぁ…」
少年はなにがなんだかわかりません。
家に入ると、床の間のある畳の部屋に通され、そこに座るように
言われました。
「ちょっと、ここで待っていなさい」
おじさんはそう言うと、奥の部屋にいってしましました。
少年たちは小声で
「おいおい、いったいどうなってんだ?」
「しらねーよ、なんか説教でもされんのかな…」
と、少年たちは不安と戸惑いを隠せませんでした。
(つづく…)
スタジオ破壊命令 Vol.2
『認めたくないものだな、若さゆえの過ちというものを…』(^_^;
「君たち、ちょっとまって!」
その瞬間、3人の動きが止まります。
『…ドクン…ドクン…ドクン…』
少年達は、何も言わずその場に立ちすくみました。
2人の警官のうち、年を取った方(階級が上ね)が
少年に話しかけてきました。
「あー、あのねぇ、ちょっと聞きたいことがあるんでね。
話を聞いてもいいかな?」
「は、はぁ」
少年は、タバコを隠した靴下を気取られまいと、
少しぎこちない足取りで警官の方へと近づいていきました。
武田君と岡本君はその場で固まっています(笑)
「あのー、なんでしょうか?」
少年は、なぜ自分たちが声をかけられたのか、その理由が
はっきりとわからなかったので、かなり緊張していました。
「ここの倉庫を管理してるのは、どなたかわかる?」
『え?』
少年は、なにを言われているのか理解ができませんでした。
「あ、あの、ボクの父が使っている倉庫なんですが…」
「あ、そうなの?ふーん…」
2人の警官は、独特?の目線で少年や周囲を観察しています。
「ところで、君たち、こんなところでなにしてるの?」
「え?あ、あの、バンドの練習を…」
「バンドの練習?バンドって楽器使ってやるやつかい?」
「はい、そ、そうです…」
2人の警官は顔を見合わせて、なにやら頷いています。
「そうかぁ、うーん…」
『おいおい、いったい何なんだよ、わけわかんないよ』
少年は何が起こっているのさっぱりかわかりません。
「あー、あのねぇ、ちょっとそのバンドやってるっていう場所を
見せてもらってもいいかな?」
「あ、は、はい…」
なにを言わんとしているのか解らないながらも、、
少年は、警官の言う通りにするしかありませんでした。
警官たちは倉庫の中に入り、プレハブ状のスタジオの中を
のぞき込みました。
「ほぉー、これはすごいなー、本格的だー、なあ?」
「ええ、すごいですね」
『あ、初めて若い方の警官が声を出したぞ』
「ここ、君のお父さんが作ってくれたのかい?」
「あ、ええ、まあ…」
「ふーん、そうですか…なるほどぉ…」
しびれをきらした少年は、思いきって警官に質問しました。
「あ、あのー、なにかあったんでしょうか?」
すると警官のおじさんは、
「ああ、ごめんねぇ、あのー、実はねぇ、
この近くに住んでいる人からね、最近ガンガンと
音楽の音が響いてうるさくて困っているっていう
苦情届けがあったんでね、調べにきたんですよ」
「ええ!く、苦情ですか?」
「そうなんですよ、うーん、どうやらこれを見ると、
君たちが原因みたいだねぇ
これ、音出すとけっこうな音がでるんでしょ?」
「ええ、まあ…」
少年は、ようやく警官たちがやってきた理由がわかりました。
「あのー、苦情って、どこから言われたんでしょうか?」
「いやぁ、詳しくはちょっと教えるのもなんなんでね、
まあ、この辺の近くの民家だということしか言えないねぇ」
「そ、そうですか…」
「うーん、まあ、見たところ、なかなか本格的だしね、
君たちも真面目にやっているんだろうけれどもねぇ、
我々も通報があったからには調べないといけない
もんでね、すまないねぇ」
「そ、それで…あの…
これからボクらはどうしたらいいんでしょうか?」
「うーん、この辺は我々もなかなか介入しにくい
問題でね、まあ、君たちがこのままバンドの練習を
やめてくれれば、なにも問題はないんだけど、
うーん、どうなんだろうねぇ」
「え?バンドの練習がもうここで出来ないってことですか?」
「いや、そういうわけじゃなくてね、あくまで騒音が問題なんで、
なにか対策をたてるとか、双方で話し合いをしてもらうとか、
そういうことしか我々は言えないんだけどもねぇ」
『マジかよ…せっかくバンドができたっていうのに…
ここが使えなくなるってことかよー』
「まあ、一応君の名前を教えてもらってもいいかな?」
「あ、神山です」
「ああ、じゃあ神山さんね、今日のところはこれで帰るけどね、
継続して通報がくるようだと、トラブルに進展することもあるから
とりあえず、注意ということでね、先方には伝えておくけど。
まあでもね、私は個人的にはこういうのはいいと思うよ。
音楽っていうのはいいもんだ、加山雄三なんていいよなぁ
君、エレキの若大将って知ってるか?」
「え?い、いや知りません…」
「そうかぁ、君たちの世代じゃもう知らないかぁ。
ははは・・・」
警官のおじさんはそう言って、バイクに乗り込みました。
「あ、あのー、すいません!
もし、よろしければ、苦情を言ってきた人の名前を
教えてくれませんか?」
少年はとっさに聞きました。
「うん?それを聞いてどうするの?」
「いや、あの、その人に謝りに行きたいんです…」
「うーん、そう?まあ名前は敢えて教えないけどね、
ほら、あそこの家のどこかの人だよ」
警官のおじさんは、遠くの民家を指さしました。
その周辺は、倉庫街ということもあって、昼間は狭い道路にも
かかわらず、大型トラックの往来が激しいところでしたので、
かなり騒音がうるさいところでもありました。
しかし、夜になると急に辺りが静かになるのですが、ここ最近
バンド結成で有頂天になっていた少年達は、調子にのって
放課後から夜遅くにかけてバンドの練習に夢中になっていました。
なんといっても、あの巨大なギターアンプが、とにかくものすごい
轟音を上げていたし、それにドラムとベースが加われば、
静まりかえった周辺にはかなりの音が響きわたっていたと思います。
実際、距離はかなり離れてはいたものの、近くに3件ほどの民家
がありました。
おそらくは、その家の人が演奏の音があまりにもうるさいので、
たまらず警察に通報したのでしょう。
「私も昔はよくフォークソングを聴いたもんだよ。
神山君、まぁ、青春だ。
まわりの人に迷惑をかけない程度にがんばりなさいよ」
そう言うと、2人の警官はバイクに乗って行ってしまいました。
少年は警官のバイクが見えなくなるまで、呆然と
その場に立ちつくしていました。
後ろからソーッと近づいてきた武田君は、
「いった?」
と、少年に声をかけてきました。
「ああ、もう見えない、大丈夫だよ」
と言っている少年の足はガクガクと震えていました。
「ふあー、すっげーあせったなー!」
たまらず武田君が叫びました。
「ああ、マジでタバコ見つかるんじゃないかと緊張したよ。
最初はなんで警官が来たのかわかんなかったからなー
でも、なんか警察見ると悪いコトしてなくてもキョドっちゃうよな」
「でもさ、おまえよくあの距離から、警官だってわかったな?
もしかしてニュータイプか?」
「ははは…まあ、オレさ、視力だけはいいからなー。
それに経験則上、ああいう時は必ず所持品検査
されるんだよ。制服のポケットなんかに入れてたら
まずアウトだからな。
でも、今回のはちょっと理由が違ってたから、大丈夫
だったけどね」
一人、倉庫の奥で様子を伺っていた岡本君が、ようやく
外までやってきました。
「おいおい、なんだ、なんだ、びっくりしたなー、もう。
てっきりおまえたちがタバコ吸ってるのが見つかったのかと
おもったぞー、うん」
「ははは…おっさん、なにビビってんだよ!警察くらいでさー」
そういう少年が一番ビビってました(笑)
しばらくして落ち着きを取り戻した武田君が、
「うーん、でも新たな問題が出てきちまったよなぁ…
苦情を言われたとなると、ここがもう使えなくなる
可能性もあるってことだろ?」
「うーん、そうだよな、せっかくバンドとしていい感じで
固まってきたのになぁ」
その時代、少年の周辺にはバンドを練習するための
貸しスタジオのようなものがなく、この倉庫が使えなくなると
実質バンドの練習が不可能になる状況だったのです。
「まあ、今日のところはさ、とりあえず切り上げにして、
明日からまた今後の対策を考えていこうぜ。
今日はさすがにもう音出せないからな」
そう言って、その日はそれぞれが家路につきました。
ギターとベースを肩にかけ、自転車に乗って帰る2人の
後ろ姿を、少年はしばらく見つめていました。
『せっかくあいつらとバンドが組めたんだ。
こんなことで終わってたまるものか!』
しかし、そうは思ってみたものの、少年の心は不安で一杯でした。
『うーん、でも、どうしたらいいんだよ…』
家に帰ると、少し落ち込んだ顔で夕ご飯を食べた後、
少年は父親に話しかけました。
「お、オヤジ、あのさ…」
少年は、今日起こったことを父親に話しました。
しばらく、だまって聞いていた父親は、話が終わった後に
「まあ、そろそろくるところだとは思っていたよ…」
と、まるでわかっていたかのように言いました。
「え?なんで?」
「ばーか、あれだけうるさけりゃぁな、誰だって文句いうわい!」
「そ、そうだよな…、かなり響いていたもんな…」
「ドラム叩くくらいならまだしも、なんじゃあのギターの音は!」
「え?オヤジ、聴いてたのか?」
「ったりめえだ!オレがなにも知らないとでも思ってんのか。
あの音はなぁ、すごい遠くまで聞こえてるんだぞ」
「や、やっぱり?」
「ふん、まあオレは音楽の事はよくわからんしな、おまえが
夢中になってやるもんにとやかく言うつもりはないが、
あの倉庫を管理している者としての責任もあるからな」
「う、うん…」
「最悪、あそこは使えんようになるかもしれんぞ」
そう言うと、父親はそのまま沈黙をしてしまいました。
「ま、マジかよ…」
少年もそれ以上、なにも言えなくなってしまい、
なんとも重たい空気が流れていきました…
すると、しばらくして父親はおもむろに自分の財布を取り出し、
その中から一万円札を出しました。
そして、それを少年に差し出して、
「ふん、まあ最後にチャンスをやろう。
これでな、明日酒屋でビールの1ダース箱を件数分買え、
そしてそれを持って、苦情の出た家に挨拶に行ってこい」
「え?挨拶に?」
「そうだ、そこでおまえらがどうしても音楽をやりたいってことを
その家の人に説明しろ、おまえらの情熱がどれくらいのものか、
そして練習する時間をきっちり決めてやるってことを話すんだ。
まあ、あとはどうでるかはその家の人次第だがな…」
「う、うん、わかった」
「それでダメだった時は、潔くあきらめろ!
あそこも、もう使えんようにするぞ。
あのプレハブも実は場所を取ってしょうがないからなー、
その時はプレハブごと取り壊しちまうからな!」
当時の少年にとって、あの倉庫スタジオを失うことは、
自分の分身を破壊されるような気持ちに近いものがありました。
「う、うん…わかった…やってみるよ…」
少年は、スタジオ破壊命令をなんとか撤回するべく、
翌日の作戦を考えていました。
(つづく…)
スタジオ破壊命令 Vol.1
高校に入ってから、バンドのメンバー探しに
躍起になっていた神山少年は、
ようやくギターとベースという、バンドの核となる
メンバーと巡り会うことができました。
そう、武田くんと岡本くんです。(^_^)v
しかも、3人ともロック大好き人間で、いずれも
小・中学生の頃から楽器と親しんでいた強者
ぞろいということもあって、高校1年生にしては
当時、なかなかのレベルだったといえるでしょう。
ちょうど、少年が高校に入学して、約1ヶ月あまりの時が
経っていた頃でした。
少年は毎日のように、武田、岡本2人と共に
放課後はそのままあの倉庫スタジオに向い、
連日バンドの練習に励んでいました。
その日も、放課後は3人で倉庫スタジオに向かう予定
だったので、同じクラスの少年と岡本君はD組の
武田君を教室で待っていました。
するとその時、担任の青山先生が少年達に近づいてきました。
「おい、神山。
おまえクラブ活動はどこに入ることにしたんだ?」
「え?…く、クラブですか?」
「そうだよ、入学一ヶ月の間でどこのクラブに入るか決めろ
と言っておいただろう、どこにしたんだ?」
「あ、えーと、まだ…決めてないっす」
「あぁ!決めてないだぁー。どうすんだおまえ、
もう申請出さないといけない時期だろうが!」
「は、はぁ…」
「おまえ、まさかまだバンドなんてくだらんものを
やろうとしてるんじゃないだろうな?
とにかく規則でそう決まっているんだから、
ちゃんと今週中に所属するクラブを決めるんだぞ!」
「わ、わかりました…」
「岡本。おまえはどこに入るんだ?」
先生は隣りにいた岡本君にも聞きました。
すると岡本君は
「えー、あの、私は囲碁・将棋部に申請をしております」
『な、なにー、おまえ囲碁・将棋部だったんかぁー』
少年はおっさん顔の岡本君をまじまじとみました。
「おお、そうか、よし。おまえはもう決まったんだな。
ほら、神山。みんなちゃんと決めているんだから
おまえも早くどこかに決めろよ!」
そう言って、先生は行ってしまいました。
少年は岡本君に
「おいおい、おまえ囲碁将棋部って言ったよな。
マジで囲碁将棋部に入ったのか?
っていうか、あいかわらずおっさんくせーな」
「おっさんくさいとはなんだ!おっさんくさいとは!
囲碁の奥深さを知らんヤツに人生の奥深さが
わかるわけないんだぞ!」
「じ、人生ですか…
というか、将棋じゃなくて囲碁なんだ…」
「うん、そう、そう、まあ将棋も面白いけどね。
やっぱり今は囲碁だなー、うん。
それにな、囲碁や将棋は頭の体操になるぞ。
おまえもやってみたらいいよ、囲碁。
そうだ、一緒にやるか?
教えてやってもいいぞ」
「い、いやオレは遠慮しとくわ…はは…。
(どうでもいいけど、その説教くさい言い方やめろよ)
ま、まあ、でもさ、オレたちはバンド活動がメインだろ?
部活はさらっと流すくらいにしておいてくれよな」
「まあオレはね、一応、名前だけ部員だな、うん。
この高校はそういう規則みたいだから、ちょこっと
顔出して、すぐに帰ろうとは思ってるんだな、うん。
そこらへんは、うまくやるのが大人の男ってもんだ」
「は、はぁ、大人の男…ですか…
(っていうか、おまえは大人というよりおっさんだけどな)
あ!でも名前だけ部員っていうのはなかなかいいな。
そっか、なるほどな。一応名前だけ登録して、しばらく
経ったら幽霊部員になって、最後はフェードアウト
作戦っていうのもいい考えだよなー」
「いや、オレはそこまでは考えてないぞ、うん。
もともと囲碁は好きだからな、うん。
ちゃんと続けるつもりだぞ」
「え?そ、そうなの?
まあ、でもバンドに差し支えない程度にやってくれよな」
「そういうおまえはどうするんだ?うん。
とりあえずどこかに所属してないとマズイんじゃないのか?
それにさっき先生にバンドがどうのこうのと言われていたけど、
おまえ何かやらかしたのか?」
「ああ、まあ、以前ちょっとな…、ある意味オレ、担任に
目を付けられてるかもしれないんだよなぁ。
あーあ、でもクラブどうすっかなー、めんどくせーな。
バンドだけやっていればそれでいいんだけどな」
その時、D組の武田君が現れました。
「やー、おまたせー」
そこですかさず少年は、
「お、そうだ!武田ー。おまえってクラブ活動どうすんだよ?」
「え?クラブ?ああ、あれねー。
オレはさ、一応インターアクト部ってとこに決めたぜ」
「は?なんじゃそれ?【いんたーあくと部】ってなに?」
「いやー、オレも何やるんだか知らねーんだけどさ。
うーん、いわゆるボランティア活動みたいな系らしいぜ」
「おいおい、武田、おまえってそーいうの好きなのか?」
「いやぁ、そんなわけじゃないんだけどさ、なんかネーミングで
決めたっていうのかなー、なんだかカッコイイじゃんか(笑)
まあ、どうせ名前だけ部員なんだからさ、
オレとしてはどこでもいいんだけどな…
でも本当はさ、軽音楽部みたいなものがあれば、
学校で堂々とバンド活動ができるのになー」
あぁ、ここにもいました、名前だけ部員!
「あ、でも軽音楽部っていうのはいい考えだな!
おおー、そうだよ、自分達で軽音つくるっていうのはどうかな?
あ、でもこの高校、バンド活動自体が禁止って言ってたっけ…」
「ええー!そうなのか、神山?」
「うん、やっぱりおまえも知らなかった?
校則にそう書いてあるらしいぜ。
オレ、前にスネアを学校に持ってきたことがあってさ、
それ叩いてるところを見つかったら、危うく没収されそうに
なったんだぜ」
「え、そうなのか?じゃあ楽器もってくるのも危険じゃないか」
「そうなんだよ、だから堂々と楽器を持ってくるためには、
クラブ活動かなにかの大義名分がないと難しいんだよな」
「マジかよ…ってことは文化祭のようなイベントでもバンドは
出れないってことなのか?」
「うーん、オレが聞いた限りでは、ここの先生方はほとんどが
バンド否定派みたいなんだよ。
今まで、バンドが文化祭やイベントなんかに出たことは
ないって言ってたよ」
「おいおい、ウソだろ…他の高校なんかは文化祭でバンドなんて
あたりまえにやってるって言ってるぜ!」
「だからさ、そのためにも母体としての軽音楽部が
必要なんじゃないのか?」
「なになに?なかなか、この高校は厳しいみたいだな、うん。
たしかに軽音学部でもつくらないと、バンドで文化祭の
ステージに上がるのは難しいそうだな、うん」
「そうだよな、よーし、いっちょう軽音立ち上げてみようか!」
「そのためには、最低でも部員が10名以上必要じゃないか?」
「あぁ、そっかー。そんじゃあまず、同好会だ、同好会をつくろうぜ。
同好会なら5、6人くらいいればできるだろ?
ちょうど、ヴォーカルとキーボードを入れれば
バッチリ5人じゃん。っていうか、オレ達のバンドをそのまま軽音に
しちゃえばいいじゃんか!」
「おおー、そうだな、そうすりゃ堂々と学校でバンドができるぜ!」
「よーし、決まりだ、さっそく明日から新しい同好会つくるための
準備を始めようぜ、そのためにはあとヴォーカルとキーボード
を探さないとな!」
その日、3人は軽音楽同好会設立への意欲を固め、
そのまま倉庫スタジオに向かいました。
倉庫スタジオで、さっそく3人は演奏を開始して、
お互いノリノリにはしゃいでいました。
演奏を重ねることで、だんだん3人の息も合ってきました。
さらに巨大なギターアンプから出てくる轟音は、否応なしに
少年達を熱くさせたのです。
その轟音に対抗するかのように、少年のドラムも武田君のベースも
より一層力が入ります。
「おおー、最高だぜ、ロックさいこー!」
演奏が一段落して、少年と武田君はスタジオの外に出て、
軽く一服(笑)をしていました。
「あぁ、演奏あとのタバコはうめーなー」
「いやー、やっぱりロッカーは酒とタバコにまみれないとな(笑)」
そうです、当時ロックミュージシャンに憧れていた少年達は
ご多分にもれず、なんでも彼らのマネをしていました。
髪の毛も順調に長くなっています(笑)
少年と武田君は、すでに中学生の頃から喫煙癖が始まって
いたのでした (^_^;
それを見ていた岡本君は
「おいおい、おいおい!高校生がタバコなんか吸っちゃいかんぞ!
タバコは体に悪いんだからな、う~ん」
と、2人に説教をしています。
「なんだよー、おまえだって酒は飲むっていってただろう。
酒だって二十歳越えなきゃダメなんだぜ」
と、2人からツッコまれて、
「いや、酒はいいんだよ、うん。少量なら健康にもいいんだよ。
【酒は百薬の長】ってな、うん。
あ、でも飲み過ぎはいかんぞ、悪酔いするからな。
こうなると逆に【きちがい水】になるからな、うん」
と、わけのわからない言い訳をしています。
「なんじゃそれ、わけわかんねー、ははは…」
3人は演奏後の心地よい疲れを感じながら、
しばらくの間、話をしていました。
…と、その時です。
なにやら、遠くの方から2台のオートバイが近づいてきました。
ピロリロリーーン(額から光りがでた音)
中学生の時から鍛え上げられた百戦錬磨のセンサー(笑)が、
少年に危険信号を知らせました!
「ララァ…」
・・・じゃなかった(^_^;
「や、やばい!武田、タバコ消せ!」
「え?え?な、なんだよ」
「いいから、はやくタバコこっちに貸して!」
少年は急いで武田君から火のついたタバコを受け取ると、
すぐにそれをコンクリートの床でもみ消し、2人が持っていた
タバコの箱をさりげなく、自分の背中の方にもっていき、
そのまましゃがんで両足の靴下の中に隠しました。
(これぞ、百戦錬磨の技!)
ブロロローー、キィーッ。
2台のバイクはちょうど少年達がいる倉庫の前で止まりました。
降りてきた2人の男は、なにやらどこかで見たことのあるマークの
付いたヘルメットをかぶっていました。
「け、警察じゃん…」
武田君は目をそらしながら、小さくつぶやきました。
「な、なんだよ、何しにきたんだろ…」(小声)
3人は少しキョドりながら、何事もなかったかのように、
ソロソロと倉庫の中に入っていこうとしました。
その時です。
「君たち、ちょっとまって!」
その瞬間、3人の動きが止まります。
『・・・・・;』
少年は、まるで自分の頭にも心臓があるかのような
ドクドクと激しい鼓動を感じていました…
(つづく…)
躍起になっていた神山少年は、
ようやくギターとベースという、バンドの核となる
メンバーと巡り会うことができました。
そう、武田くんと岡本くんです。(^_^)v
しかも、3人ともロック大好き人間で、いずれも
小・中学生の頃から楽器と親しんでいた強者
ぞろいということもあって、高校1年生にしては
当時、なかなかのレベルだったといえるでしょう。
ちょうど、少年が高校に入学して、約1ヶ月あまりの時が
経っていた頃でした。
少年は毎日のように、武田、岡本2人と共に
放課後はそのままあの倉庫スタジオに向い、
連日バンドの練習に励んでいました。
その日も、放課後は3人で倉庫スタジオに向かう予定
だったので、同じクラスの少年と岡本君はD組の
武田君を教室で待っていました。
するとその時、担任の青山先生が少年達に近づいてきました。
「おい、神山。
おまえクラブ活動はどこに入ることにしたんだ?」
「え?…く、クラブですか?」
「そうだよ、入学一ヶ月の間でどこのクラブに入るか決めろ
と言っておいただろう、どこにしたんだ?」
「あ、えーと、まだ…決めてないっす」
「あぁ!決めてないだぁー。どうすんだおまえ、
もう申請出さないといけない時期だろうが!」
「は、はぁ…」
「おまえ、まさかまだバンドなんてくだらんものを
やろうとしてるんじゃないだろうな?
とにかく規則でそう決まっているんだから、
ちゃんと今週中に所属するクラブを決めるんだぞ!」
「わ、わかりました…」
「岡本。おまえはどこに入るんだ?」
先生は隣りにいた岡本君にも聞きました。
すると岡本君は
「えー、あの、私は囲碁・将棋部に申請をしております」
『な、なにー、おまえ囲碁・将棋部だったんかぁー』
少年はおっさん顔の岡本君をまじまじとみました。
「おお、そうか、よし。おまえはもう決まったんだな。
ほら、神山。みんなちゃんと決めているんだから
おまえも早くどこかに決めろよ!」
そう言って、先生は行ってしまいました。
少年は岡本君に
「おいおい、おまえ囲碁将棋部って言ったよな。
マジで囲碁将棋部に入ったのか?
っていうか、あいかわらずおっさんくせーな」
「おっさんくさいとはなんだ!おっさんくさいとは!
囲碁の奥深さを知らんヤツに人生の奥深さが
わかるわけないんだぞ!」
「じ、人生ですか…
というか、将棋じゃなくて囲碁なんだ…」
「うん、そう、そう、まあ将棋も面白いけどね。
やっぱり今は囲碁だなー、うん。
それにな、囲碁や将棋は頭の体操になるぞ。
おまえもやってみたらいいよ、囲碁。
そうだ、一緒にやるか?
教えてやってもいいぞ」
「い、いやオレは遠慮しとくわ…はは…。
(どうでもいいけど、その説教くさい言い方やめろよ)
ま、まあ、でもさ、オレたちはバンド活動がメインだろ?
部活はさらっと流すくらいにしておいてくれよな」
「まあオレはね、一応、名前だけ部員だな、うん。
この高校はそういう規則みたいだから、ちょこっと
顔出して、すぐに帰ろうとは思ってるんだな、うん。
そこらへんは、うまくやるのが大人の男ってもんだ」
「は、はぁ、大人の男…ですか…
(っていうか、おまえは大人というよりおっさんだけどな)
あ!でも名前だけ部員っていうのはなかなかいいな。
そっか、なるほどな。一応名前だけ登録して、しばらく
経ったら幽霊部員になって、最後はフェードアウト
作戦っていうのもいい考えだよなー」
「いや、オレはそこまでは考えてないぞ、うん。
もともと囲碁は好きだからな、うん。
ちゃんと続けるつもりだぞ」
「え?そ、そうなの?
まあ、でもバンドに差し支えない程度にやってくれよな」
「そういうおまえはどうするんだ?うん。
とりあえずどこかに所属してないとマズイんじゃないのか?
それにさっき先生にバンドがどうのこうのと言われていたけど、
おまえ何かやらかしたのか?」
「ああ、まあ、以前ちょっとな…、ある意味オレ、担任に
目を付けられてるかもしれないんだよなぁ。
あーあ、でもクラブどうすっかなー、めんどくせーな。
バンドだけやっていればそれでいいんだけどな」
その時、D組の武田君が現れました。
「やー、おまたせー」
そこですかさず少年は、
「お、そうだ!武田ー。おまえってクラブ活動どうすんだよ?」
「え?クラブ?ああ、あれねー。
オレはさ、一応インターアクト部ってとこに決めたぜ」
「は?なんじゃそれ?【いんたーあくと部】ってなに?」
「いやー、オレも何やるんだか知らねーんだけどさ。
うーん、いわゆるボランティア活動みたいな系らしいぜ」
「おいおい、武田、おまえってそーいうの好きなのか?」
「いやぁ、そんなわけじゃないんだけどさ、なんかネーミングで
決めたっていうのかなー、なんだかカッコイイじゃんか(笑)
まあ、どうせ名前だけ部員なんだからさ、
オレとしてはどこでもいいんだけどな…
でも本当はさ、軽音楽部みたいなものがあれば、
学校で堂々とバンド活動ができるのになー」
あぁ、ここにもいました、名前だけ部員!
「あ、でも軽音楽部っていうのはいい考えだな!
おおー、そうだよ、自分達で軽音つくるっていうのはどうかな?
あ、でもこの高校、バンド活動自体が禁止って言ってたっけ…」
「ええー!そうなのか、神山?」
「うん、やっぱりおまえも知らなかった?
校則にそう書いてあるらしいぜ。
オレ、前にスネアを学校に持ってきたことがあってさ、
それ叩いてるところを見つかったら、危うく没収されそうに
なったんだぜ」
「え、そうなのか?じゃあ楽器もってくるのも危険じゃないか」
「そうなんだよ、だから堂々と楽器を持ってくるためには、
クラブ活動かなにかの大義名分がないと難しいんだよな」
「マジかよ…ってことは文化祭のようなイベントでもバンドは
出れないってことなのか?」
「うーん、オレが聞いた限りでは、ここの先生方はほとんどが
バンド否定派みたいなんだよ。
今まで、バンドが文化祭やイベントなんかに出たことは
ないって言ってたよ」
「おいおい、ウソだろ…他の高校なんかは文化祭でバンドなんて
あたりまえにやってるって言ってるぜ!」
「だからさ、そのためにも母体としての軽音楽部が
必要なんじゃないのか?」
「なになに?なかなか、この高校は厳しいみたいだな、うん。
たしかに軽音学部でもつくらないと、バンドで文化祭の
ステージに上がるのは難しいそうだな、うん」
「そうだよな、よーし、いっちょう軽音立ち上げてみようか!」
「そのためには、最低でも部員が10名以上必要じゃないか?」
「あぁ、そっかー。そんじゃあまず、同好会だ、同好会をつくろうぜ。
同好会なら5、6人くらいいればできるだろ?
ちょうど、ヴォーカルとキーボードを入れれば
バッチリ5人じゃん。っていうか、オレ達のバンドをそのまま軽音に
しちゃえばいいじゃんか!」
「おおー、そうだな、そうすりゃ堂々と学校でバンドができるぜ!」
「よーし、決まりだ、さっそく明日から新しい同好会つくるための
準備を始めようぜ、そのためにはあとヴォーカルとキーボード
を探さないとな!」
その日、3人は軽音楽同好会設立への意欲を固め、
そのまま倉庫スタジオに向かいました。
倉庫スタジオで、さっそく3人は演奏を開始して、
お互いノリノリにはしゃいでいました。
演奏を重ねることで、だんだん3人の息も合ってきました。
さらに巨大なギターアンプから出てくる轟音は、否応なしに
少年達を熱くさせたのです。
その轟音に対抗するかのように、少年のドラムも武田君のベースも
より一層力が入ります。
「おおー、最高だぜ、ロックさいこー!」
演奏が一段落して、少年と武田君はスタジオの外に出て、
軽く一服(笑)をしていました。
「あぁ、演奏あとのタバコはうめーなー」
「いやー、やっぱりロッカーは酒とタバコにまみれないとな(笑)」
そうです、当時ロックミュージシャンに憧れていた少年達は
ご多分にもれず、なんでも彼らのマネをしていました。
髪の毛も順調に長くなっています(笑)
少年と武田君は、すでに中学生の頃から喫煙癖が始まって
いたのでした (^_^;
それを見ていた岡本君は
「おいおい、おいおい!高校生がタバコなんか吸っちゃいかんぞ!
タバコは体に悪いんだからな、う~ん」
と、2人に説教をしています。
「なんだよー、おまえだって酒は飲むっていってただろう。
酒だって二十歳越えなきゃダメなんだぜ」
と、2人からツッコまれて、
「いや、酒はいいんだよ、うん。少量なら健康にもいいんだよ。
【酒は百薬の長】ってな、うん。
あ、でも飲み過ぎはいかんぞ、悪酔いするからな。
こうなると逆に【きちがい水】になるからな、うん」
と、わけのわからない言い訳をしています。
「なんじゃそれ、わけわかんねー、ははは…」
3人は演奏後の心地よい疲れを感じながら、
しばらくの間、話をしていました。
…と、その時です。
なにやら、遠くの方から2台のオートバイが近づいてきました。
ピロリロリーーン(額から光りがでた音)
中学生の時から鍛え上げられた百戦錬磨のセンサー(笑)が、
少年に危険信号を知らせました!
「ララァ…」
・・・じゃなかった(^_^;
「や、やばい!武田、タバコ消せ!」
「え?え?な、なんだよ」
「いいから、はやくタバコこっちに貸して!」
少年は急いで武田君から火のついたタバコを受け取ると、
すぐにそれをコンクリートの床でもみ消し、2人が持っていた
タバコの箱をさりげなく、自分の背中の方にもっていき、
そのまましゃがんで両足の靴下の中に隠しました。
(これぞ、百戦錬磨の技!)
ブロロローー、キィーッ。
2台のバイクはちょうど少年達がいる倉庫の前で止まりました。
降りてきた2人の男は、なにやらどこかで見たことのあるマークの
付いたヘルメットをかぶっていました。
「け、警察じゃん…」
武田君は目をそらしながら、小さくつぶやきました。
「な、なんだよ、何しにきたんだろ…」(小声)
3人は少しキョドりながら、何事もなかったかのように、
ソロソロと倉庫の中に入っていこうとしました。
その時です。
「君たち、ちょっとまって!」
その瞬間、3人の動きが止まります。
『・・・・・;』
少年は、まるで自分の頭にも心臓があるかのような
ドクドクと激しい鼓動を感じていました…
(つづく…)
バンド男 大地に立つ!(後編)
「まあ、今日のところは初合わせだからさ、とりあえず2人が
やっているところを見て、バンドに入るかどうか決めてくれよ」
「うん、うん。まあ、そうだ、そうだ。どのくらいの実力なのか、
まあ、見せてもうらおうかな、うん」
その後、武田君にも事情を話し、3人はあの倉庫内スタジオに
向かったのでした…
例のごとく、倉庫の中にあるこのスタジオを見て、
岡本君もさすがに驚いています。
「なんだよ、なんだよ、すごいじゃないですか?ここは、うん。
ここなら、おれのアンプも持ち込めるんじゃないかなー、うん」
『ふっふっふ…、すっかりやる気になっているじゃんか』
そこで、少年と武田君は、ドラムとベースだけで、お互いが
知っているクイーンの曲を、何曲か合わせていきました。
炎のロックンロール
アンダー・プレッシャー
ウィ・ウィル・ロック・ユー
ANOTHER ONE BITES THE DUST
愛という名の欲望
水を得た魚のように、次々と演奏していく2人
なんと!
2人は初めてとは思えないほどの、
ピッタリと息の合った演奏をしたのでした。
武田君が、横浜銀蝿のツッパリハイスクールロックンロールの
ベースラインを弾き始めたので、こちらもそれにドラムを合わせると
なんだか、妙ーに盛り上がりました。(笑)
でも、何度も言うけど、あんたビジュアル違いますから!
しかしながら、一人でドラムを叩いていたボクには、たとえベース
と合わせるだけでも、とてもとても幸せな気持ちになりました。
武田君はベースを始めたばかりなので、多少荒削りなところは
あるものの、リズム感がしっかりしていて、練習していけば、
かなり上手くなることを予見させる才能の片鱗をみせていました。
2人の演奏を見ていた岡本君は、なにやらソワソワしています。
一通り、演奏が終わった後、2人はグッと握手をして、
「いいじゃん、いいじゃん、オレら、バッチリやっていけそうだな!」
と堅く手を握り合いました。
そこで、少年は岡本君に
「岡本、ギター弾いてるおまえから見て、オレらどうだった?
オレらと一緒にやってくれる気はあるかい?」
すると、岡本君は、
「うん、まあ、なかなか良かったよ、うん。まだまだ荒削りだけど
まあ、オレが入ってもいいんじゃないかな、うん」
『まったく、おまえはホントに50過ぎたおっさんか!
素直に入りたいって言えばいいのにさー』
その時、武田君がすかさず
「あのさ、ごちゃごちゃ言っているより、一緒に演奏してみるのが
一番早いんじゃないかな。君も明日ギター持ってきなよ。
あ、でもギターをならすアンプがないな…」
すると岡本君は、
「うん、おれさ、実はグヤトーンの巨大な真空管アンプを
持っているんだけど、ワゴン車のような車じゃないと、
とてもじゃないけどあれは運べないと思うんだよな」
「ワゴン車ー?そんなに巨大なの持ってんの?
…っていうか、もう運ぶ気満々じゃん!」
「ああ、重ねると、おれの首くらいまであるよ。うん」
「げっ、それじゃ、自転車で運ぶわけにはいかないな、
ワゴン車かトラックじゃないと無理だよな」
「それにうち借家でさ、自宅じゃうるさいから、ほとんど本来の
ボリュームで音を出したことないんだよね、うん。
いつも真空管暖めるだけで終わってるんで、宝の持ち腐れ
なんだよね、うん」
「せっかくのアンプが音出せないんじゃ、かわいそうだな。
うーん、そういうことなら、オレの親父が仕事用のワゴン車を
持っているから頼んでみようか?
そのアンプ、ここに持ってきていいのか?」
「いや、うん、まあ、実はね、オレも高校入ったら本格的に
バンドやりたくてさ、ギターとアンプを揃えたわけなんだよ。
でもちょっと、あまりにも大きいのを買ってしまったんで、
正直、家でも収まりが悪くてさ、もうちょっと小さいものを
買おうかと思っていたんだよ。うん。
まあだから、ここで鳴らせるんなら、そっちのほうがいいよな」
「よし、おまえがそういうなら決まりだ、オレ親父に頼んでみる
からさ、おまえの家まで取りに行ってもいいぜ」
「うん、そうね、うん、それでいいよ、そのほうがアンプも喜ぶと
思うんだよ、うん。
あ、でも確認しておきたいけど、おれがやりたいのは
ハードロックだよ、いいの?それで?」
「ふっふっふ…それはこっちも望むところなんだ。
まあ最初はいろんなロックバンドのコピーをやっていこうぜ、
そのうちオリジナル曲なんかもつくったりしてさ…
武田もそれでいいかな?」
「ああ、オレはハードロックでもなんでもいいぜ。
うーん、これでここが本格的にバンドができるスタジオになるな、
毎日放課後、部活動みたいな感じでできるもんなー」
「そうだよ、オレら帰宅部&バンド部だな、ははは…」
・・・・・・・・・・
ようやく少年は、なんとか最低限のバンド構成ができるメンバーを
見つけることができたのでした。
そして、その翌週に、岡本君のあの巨大なギターアンプが
とうとう少年の倉庫スタジオにやってきたのです。
3人はあらかじめ、セッションする曲を何曲か決めておきました。
MSGの「アームド・アンド・レディ」
ディープパープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」
そして、ツェッペリンの「天国への階段」
「ギャワォーーーン」
岡本君の出力200Wのギターアンプが、
初めて大音量を鳴らした瞬間でした!
思っていたよりも、ものすごい音が出るものです。
少年は初めて間近で聴く、大音量のギターサウンドに
しばし、感激をしていました。
岡本君のギターは、とても綺麗な虎目のレスポールです。
おっさん顔なので、ほんとにレスポールがよく似合います(笑)
岡本君は、ギターを持った瞬間、人が変わったようにギターを
弾きまくり、ちょっとしたデモンストレーションを始めました!
さて、岡本君の腕前のほどは???
「おおぉー!すげぇー!!」
「マジ…おまえ、本当に高校生かよ?…」
少年と武田君はそのテクニックに唖然としました。
あれだけ偉そうな口を叩いていただけあり、その当時にしては
自分でも見たことがないくらい、めちゃくちゃウマかったのです。
さすがは、小学生からギターをやっていただけはあります。
『いける!これならいけるぜ!』
少年は興奮を抑えられませんでした。
さっそく、3人はそれぞれの配置に付き、
ドラムのハイハットの合図で、一曲目の
「アームド・アンド・レディ」の演奏を開始しました。
大音量のギターが「ウォオォーン」を唸りをあげ、
ドラムとベースが渾身の力を込めて後に続きます…
ギターソロもマイケル・シェンカーを忠実にコピーした
バツグンの演奏テクニックをみせる岡本君!
ギターを弾く岡本君は、教室で見せる姿からは想像もつかない
ほどに、生き生きとしています。
一曲目の演奏が終わった後、思わず3人はそれぞれが駆け寄り、
ガシっと手を合わせました。
「すげぇ、オレら、マジでイケてるぜ!」
感動すらおぼえた少年達は、それぞれが辿ってきたバンドへの
情熱と道筋を確認するかのように、しばらく喜び合っていました。
『おおぉー、やっぱ高校に行って良かったぁー。
こんなヤツらとバンドができるようになるなんて、
本当に夢のようだよー』
少年は、込み上げる思いをおさえることが出来ませんでした。
そして、3曲目を演奏し終わった3人は、まるで歴戦を共に
戦い抜けた戦友のような、なんとも不思議な気持ちを共有
していました。
まさにこれこそが、音楽の醍醐味ですよね!
それまで、知らなかった者同士が、音楽で一つになる。
セッションした後は、まるで親友のように親しくなれてしまう。
やがて少年は、この音楽の素晴らしさが、
そして、音楽を通して一つになることが、
国籍や人種をも越えるものであることを
知ることになるのです。
再び、手を握り合って、3人は高々とその手を上に掲げて、
「よーし、正式にバンド結成宣言をしようぜ!」
と、声を掛け合いました。
おっさん顔の岡本君が、初めて見せた、少年のような、
でもひきつった笑顔がとても印象的でした(笑)
この瞬間、孤独なドラム少年は、バンドマンへと変身したのです。
「バンド男、ついに大地に立つ!」
しかし…
彼らはまだ知るよしもありませんでした。
この先、大いなる試練が、
彼らを待ち受けていることを…
(次回へつづく…)
次回予告
ようやくバンドを結成できた少年は、充実した高校生活を
送っていた。
あとは、ヴォーカルとキーボードが見つかれば、完全なるバンドが
できあがるのだ!
しかし、無惨にも少年達を襲う、数々の苦難、そして障害…
この先、少年達に未来はあるのか?
次回 「スタジオ破壊命令」
お楽しみに!
君は生きのびることができるか?
バンド男 大地に立つ!(中編)
でんでん…
でででん…
…っシュー!☆ (って、わからない人すいません…(^_^; )
(前編の続きです…)
少年にはバンド結成のための、ある秘策があるのでした…
放課後、少年は約束通り、ベースの武田君を迎えに
D組まで行きました。
「やあ、お待たせ、そんじゃ行きますか」
「へ?行くってどこへ?」
「まあ、ちょっとオレについてきてよ」
「なんだよ、怪しいなぁ…」
「いいから、いいから」
少年はベースの武田君を連れて、学校を出ました。
少年の家は、通っていた高校から比較的近い場所に
ありました。
そして、少年の父親が当時資材置き場として使用していた
倉庫は、その帰り道の途中の様々な会社の倉庫が建ち並ぶ
倉庫街のような場所にあったのです。
ついてきた武田君は不思議そうに、周りをながめながら、
「おいおい、変なところに連れて行く気じゃないだろうな?」
などど、ちょっと不安な表情を浮かべています。
「ははは…大丈夫だよ、別にマフィアの取引に行こうってんじゃ
ないんだからさ」
少年は倉庫街の一角にある、こぢんまりとした倉庫に
武田君を連れて行きました。
倉庫の鍵を開け、シャッターをガラガラっと上へ押し上げて、
建築材や金物機材などが置いてある場所を通り抜けると、
8畳間ほどのプレハブ小屋がありました。
少年は一呼吸おくと、わけがわからずにキョトンとしている
武田君にむかって言いました。
「ようこそ、我がスタジオへ!」
プレハブ小屋の扉を開け、部屋の電器をつけると、
奥の中央には新しいドラムセットが置かれていて、その横には
エレクトーン、その上にはシンセサイザー、オーディオは
ちょっとしたPAのようにドラムの脇に置かれています。
そうです、ここには少年が中学の時に、父親が作ってくれた
プレハブ状の部屋があり、少年が長い時間をかけて、
せっせとスタジオ風に作り変えてきたものがあったのです。
「おおぉー、マジで?マジで?なにこれー!」
と、武田君もさすがに驚いた様子です。
「まるっきり、スタジオじゃんか!どうしたのこれ?」
「いやぁ、中学の時にオレがバンドやりたいって言ったらさ、
親父が作ってくれたんだよね」
「おまえんちって、金持ちなのか?」
「いやー、金持ちではないけどさ、好きなことは思いっきり
やれっていう感じで、やらしてくれるんだよね」
「すげえ、いい親父さんだな!普通こんなことしてくれないぜ」
「うん、そうだよね。ありがたいよなぁ、ほんとに…
だからさ、ここで思いっきりドラムの練習ができるんだ。
それに、バンドの練習だって昼間だったらできるよ。
練習スタジオなんて借りなくてもいいんだぜ!」
少年は、ちょっと自慢げに言いました。
「すげー、そうだよな、マジでいいよ、ここ!
それに、ドラムセットだってまだ新しいじゃんか!
どうしたの?これ」
「ああ、オレって中学の時、勉強全然やらなかったからさぁ、
親はなんとか高校には行って欲しいと思ってたらしくてさ、
私立に入ったらお金がかかるからダメだけど、もし公立
の高校に入れたら、ドラムを買ってくれるように交渉したんだ。
それで、公立に入ったんで入学祝いで買ってもらえたんだよ」
「なんだか、恵まれてるよな、おまえって…」
「まあ、ドラムセットを買ってもらうことと、高校行ってバンドやる
事だけをモチベーションにして、勉強したからなぁ…
あ、それでさ、どうかな?オレとバンドを組まないか?
そして、メンバーを一緒に探して欲しいんだよ」
「ああ、やるよ、やる。おー、なんだかワクワクしてきたな!」
「そうだよ、バンド組んでさ、ぜったい文化祭に出ようぜ!」
「よーし、ぜったい出ようぜ!あ、そうだ、オレのベースと
アンプここに持ってきてもいいか?」
「もちろんだよ!明日でもいいぜ、さっそくドラムと一緒に
合わせようぜ!」
その翌日、朝早くから武田君は自宅からのかなり長い道のりを
自転車の荷台に大きなベースアンプを載せ、背中にベースを
背負ってやってきました。
「めちゃくちゃ、しんどかったぁー」
「おおー、ご苦労さん!」
「ちゃりんこ乗れる状態じゃなくてさー、
結局せっせと押しながらきたんだよー」
「マジで!そりゃ大変だったなー」
少年達はその機材を、一端倉庫のスタジオの部屋の中に
しまって、その朝はそのまま高校に向かいました。
「いやー、楽しみだなー、はやく放課後にならないかな」
「学校行ってる場合じゃねーよな、ははは…」
その日は2人とも、ソワソワした時間を過ごし、
ついに、待ちに待った放課後がやってきました。
そしてその時、少年は、あのおっさん顔したギター侍、
岡本君に声をかけました。
「おっさん…あ、いや、岡本、あのさ、今日オレD組のベース
やってるヤツと一緒にスタジオで合わせるんだけどさ、
よかったら、おまえも一緒にこないか?」
すると岡本君は
「え?え?なに?もうベースとか見つかったわけ?
なんだよ、なんだよ、そういうことならオレもギター
持ってきたのに、今日?今日?やるの?」
と、特異の…得意のキョドリモードで言いました。
『なんだよ、こいつ、なんだかんだ言って、やる気満々じゃん』
「まあ、今日のところは初合わせだからさ、とりあえず2人が
やっているところを見て、バンドに入るかどうか決めてくれよ」
「うん、うん。まあ、そうだ、そうだ。どのくらいの実力なのか、
まあ、見せてもうらおうかな、うん」
『っていうか、ムカつくなー、その態度!
ぜったいギャフンと言わせてやるからな…』
その後、武田君にも事情を話し、3人はあの倉庫内スタジオに
向かったのでした…
(後編につづく…)
