6月16日(日)に行われた古馬重賞の第32回北斗賞(BG3)は、道中は各馬が差なく速い流れで進む中、第二障害を5番手で下ったクリスタルコルド(牡5、西)が力強い末脚で抜け出し、重賞通算4勝目を挙げました。
西謙一騎手、西弘美調教師ともに北斗賞は初勝利で、西謙一騎手は重賞通算22勝目、西弘美調教師は重賞通算6勝目。
雨が降る中で馬場水分2.1%、勝ち時計は1分33秒0。障害トップ抜けからしぶとく歩いたインビクタ(牡8、松井)が2着、一旦は先頭に立つ場面があったアオノブラック(牡8、金田)が3着。

当初から稍軽想定ではありましたが、予報にはなかった朝方の雨、そして予報より早まり7Rあたりから再び降り出した雨によって、超のつく高速馬場となりました。
ここまでなってしまうと、脚質や駆け引きなどではなく、とにかく前に行ってヤマ上げて先に下ろさないと勝負にならないので、私が戦前にいろいろ書いたことは忘れてください(^^;
全馬が刻まず、横一線のまま第二障害に向かう様子に、スタンドからざわめきが起こるほどでしたが、そこから障害をスムーズにまとめ、下りて一番歩いたのがクリスタルコルドでした。

決着タイムも速くなりましたが、前半約41秒-1分33秒0と、各馬が障害手前でそれほど息を入れなかったことも含めて考えると、平地競馬風に言えば前傾ラップで終いがかかり、スピードはもちろん必要なのだけど、下りてからは切れ味よりも持続力を求められる競馬になったことが、今回の一つのポイントではないかと思います。
4月に行われたオッズパーク杯は、前半約57秒-1分44秒9と、これは勝ったメムロボブサップの時計そのままで、それは同馬の能力の高さを表すものでもありますが、前後半のバランスがまるで違う流れというのはわかるでしょう。
そして、時計を持っていて長く脚を使えるクリスタルコルドにとって、今回の流れはマッチするものだったのではないでしょうか。
3歳の8月に、はまなす賞を速い時計で勝っていますが、その時も前半約41秒-1分30秒3と終いがかかる中で、一旦は前に出られたヤマカツエースを長く脚を使って差し返すという内容でした。

ちなみに、3月のポプラ賞を制した後↓に書いたように、私はクリスタルコルドのことはかなり評価しているのですが、今回は買っていませんでした(-_-;)

 


単純に、まだ早い、と思っていたのに加えて、稍軽だと切れ負けするイメージもあって様子見としたのですが、それが高速馬場ゆえにかえって厳しい流れとなる中でインビクタやアオノブラックに歩き勝ったのですから、やはり期待が広がりますねえ。
馬場に恵まれた大駆け、と見る向きもあるかもしれませんが、むしろ底力を求められる競馬で真価を発揮した、と見るほうが正しいと思いますよ。
5歳馬が北斗賞を制したのは史上初ですが、積んでも良い馬ですし、今季の今後だけではなく、二年三年と看板馬としての活躍を期待して良いでしょう。
まだまだ伸びしろがあると感じますし、弘美さんと謙ちゃん(食い気味インタビュー笑)親子の最高傑作として、もっと大きな仕事ができる可能性もあると、改めて思います。

2着のインビクタは、私の本命(じつはかなり自信があった(^^;)だったのですが、ここは自らの先行力と登坂力を活かしつつ、後ろには厳しい流れを作れる、と踏んでのものでした。
それが馬場が速くなり過ぎて、他馬も前を強く意識する展開となり、決して楽ではなかったと思うのですが、その中でもトップ抜けを果たし、そして下りてよく歩きました。地力は示したと言えます。

アオノブラックは障害でヒザを折りながらも、すぐに立て直し、一旦は抜け出しかかりましたが、そこからが案外。
チグハグになりましたが、速い流れを叩いて出して行く形は合わないとわかっていても、この馬場でじっくり構えるわけにはいかないので、これはもう仕方ありません。雨を恨むしかないでしょう。

特殊な馬場と展開で、他馬も評価が上がりも下がりもしませんが、コウテイ(7着)はここまで速くなるといかにも忙しく、珍しく障害で手間取りました。修正に時間を要しませんし、登坂力を活かせる場面がすぐに訪れるでしょう。
キングフェスタ(9着)は速い流れで障害を上がるはずもなく、はっきり売れ過ぎでしたが、それ以前に、馬体が戻るどころか28キロ減。さすがに細く映り、まずは立て直してからですが、今季に限っては重賞では厳しいと思います。


ばんえいは、馬場が重いとか軽いとかよく言いますが、単に時計が変わるだけでなく、展開も変わるんですよね。
ただ、一口に軽いと言っても、馬場水分(あまりアテにならない)の数字だけではわからない、程度の違いがある。
さらに荷物も絡んできて、今回は770キロだったけど、同じ馬場でも、たとえば800キロを超える荷物だと一度刻んでいたかもしれないし、3歳や4歳だと、また違う。
これを戦前にピタリと読み切るなど、神の御業?!
私ごときは、結果論で語るのが精いっぱいでございますが、だからばんえいは面白いと、再認識する次第です。

中央競馬ファンだったころ、コースや距離の適性は考えて予想していましたが、馬場や展開に関しては、さほど重要視していなかったんですよね。…だから当たらなかったのか?(;^ω^)
でも、雨が降ったところで、マイルや二千で、時計が何秒変わりますか?
馬場が変わったとて、逃げ馬は逃げるし、追い込み馬は後ろから行くでしょう。

ばんえいは、たった200mのレースなのに、30秒違うこともザラにあるし、位置取りも展開もまるで変わる。
特に重賞は、各馬が勝負駆けの舞台なので、それが顕著となります。
次は4歳、その後は3歳、そして再び古馬重賞……と、ばんえいの面白さを味わう夏が、やって来ました。