次作に取り掛かりました。
第75作は、錦旗。
木地は、持ち込みの島黄楊の粗い冬目の柾目。
錦旗の字母を新しく?と思われるかも知れませんが、天竜師の錦旗から、字母を作らせて頂きました。
※天竜師には制作の許可を頂きました。
錦旗に付いては、諸説有りまして、ご興味の有る方はご自身で調べて頂くとして、現在、主に作られて居る錦旗と違う印象になります。
現在主流となって居る錦旗は、豊島字母帖に残されて居る錦旗が元になっていて、その中でも、影水流が1番作られています。
そして、錦旗の特徴と言えば、文字の作り、太さ、線の配置やバランスによりガラリと変わった印象になる不思議な書体。(個人的な感想)
同じ錦旗と言う銘駒でも、宸筆錦旗と言われる書体(こちらは桜井掬水師の書き起こし)や、奥野錦旗と言われる書体は全く別の書体です。
天竜師の錦旗は、以前磨かせて頂いた一平師の錦旗と、と金の特徴が同じですので、多分、天童で字母化されたものと推測します。それで新しく字母を起こしたと言う事です。
天竜師と言えば、何も無い真っ新な紙を駒木地に貼って彫る『すかし彫り』と言う技で2018年(83歳)に現代の名工に選出されて居ます。
お電話した際も、ご本人がお出になりお元気なご様子でした。
恒例のはじめの一歩
丸い感じがしますね。
一番違うのがこのと金の意匠です。
73作の盛り上げは、錆漆の乾燥に時間を掛けて、現在埋めの途中でして、その間に彫りだけでも進めて置きたくて着手しました。