将棋の駒作りを始めた方、あるいは、これからやってみようと思われてる方に向けて、印刀の砥ぎの初歩的な事と、自分の悩みを書きます。
駒作りの基本は、彫り。
彫りで重要なのは、印刀。
彫りの技術はあれど、印刀が切れないと、その技術も生かせず良い彫りが出来ません。
印刀を切れる様にする為には、砥ぎが重要なのですが、これがなかなか難しく、私にとっては永遠の課題の様に思います。
どの様に砥げば切れるのか?
いろいろと調べても、決定版が有りませんし、分かって居ても思い通りに出来ないので、難しいです。
最近、駒作りを始めたばかりの方の彫り跡を目にする事が増えました。
以下の様になって居る方は、印刀が切れて居ませんので、印刀の砥ぎを考える事が必要です。
・直線や、直線に近い線がギザギザ
何回も印刀が止まり、印刀を入れ直して
彫って居る事が考えられます。
また、切れない為に力を入れ過ぎて彫る為
こじって彫って居るのではないかと思います。
・輪郭部を刃が舐めて字母紙を巻き込んで居る。
印刀が切れない為、木地に押し当てながら
切って居る事が考えられます。
・ザックリやってしまう。
こんな彫り跡になってしまう方には、ヒントになるかも知れませんが、既にちゃんと彫れて居る方には、当たり前の事を書いています。
一言で言えば
刃先から約3mmまで切れる刃が付けば良い。
特に、刃先が重要と思います。
彫り味に一番影響するのが刃先で、一番使う部位は刃先ですし刃の減りも一番早いです。
◾︎刃先に切れる刃が付いて居ないと
①木地の中に入って行かない。
②谷線を作る時、ダレて綺麗に出来ない。
③狙いから外れて行く。
④印刀が走りザックリやってしまう。
※最悪、印刀が走り過ぎて手を怪我します。
◾︎刃先以外に切れる刃が付いていないと
①狙いから外れてしまう。
特に小さいRは、一回り内側へ切れて行く
②薬研の壁が、切れずにむしり取れる。
③薬研の壁が綺麗に修正出来ない。
④切れない状態で無理に彫ると、
輪郭を舐めて字母紙を巻き込んだりする。
鬼の様に切れる時は、例えば薬研の壁に刃が軽く触れるだけで薄く切れます。但し、長続きはしませんので、常に砥いだ後は、一定の切れ味を復活させたいです。
切れる刃が付くポイント
刃物の砥ぎを調べれば、必ず以下の事が出て来ます。
言ってしまえば、これが基本中の基本で全てと言っても良いと思います。
・平面に砥ぐ
・刃裏にバリが出るまで砥ぐ
・刃裏のバリを取る
特に、刃先から約3mmまでが重要ですので、印刀の刃全体を砥ぐと言うよりも、刃先を砥ぐイメージを持たないと上手くいかない様に思います。
平面に砥ぐ
いくら砥ぎ方が上手な方でも、砥石が平面になって居ないと、印刀も平面に砥げません。
砥石の面直しをして、常に平面になった砥石で砥ぐ事が重要です。
面直しが不用のダイヤモンド砥石(荒砥ぎ、中砥ぎ)を使うのも手かと思います。
荒砥ぎで刃表全体が平面にならないと、中砥ぎや仕上げ砥ぎでは平面が作れません。
慣れない内は、ストロークを小さくした方が、角度を固定しやすいと思います。
刃裏にバリが出るまで砥ぐ
荒砥ぎ、中砥ぎ、仕上げ砥ぎそれぞれ刃先までバリが出る。
砥石の粒度に応じたバリが出ます。
刃裏のバリを取る
刃裏のバリを取れば、切れる刃が付いているはず。。。
特に仕上げ砥ぎでは、研ぎ汁が出るくらいしっかり砥いた方が良く切れて、切れ味が長続きする場合が多いのですが、砥石が硬く、研磨力が弱い為、刃の直前が膨らんだ様になってしまう場合が多々有ります。
刃先まで平面になって居る事。 これかがなかなか難しく、今の私の悩みです。
強い光を当てて見た時、刃の直前が膨らんだ様に見える場合、若しくは、刃部の0.0何mmだけ色が変わって見える。こう言う状態ですと、やっぱり切れません。例え最初は切れても、その切れが長続きしない様に思いますので切れないと思ったら砥ぎ直して居ます。
砥ぐ頻度ですが、木地の硬さにもよりますが、通常の柾目では、調子が良い時は、歩兵裏表含め8枚くらい。調子が悪いと半枚(表のみとか)で、絶不調の時は、表面のみで4〜5回です。平均すると両面を彫って3枚くらいで砥いでいる感じです。
狙いから外れて切れる時や、谷線を綺麗にする時に、ジリジリと音(木の繊維が切れずに引きちぎっている)がすると砥ぎ時と考えています。
私は、仕上げ砥ぎが下手で、砥ぐ回数が人より多いと思いますが、切れないと彫りに集中が出来ませんので、今は仕方ないかと思います。
上手く、早く砥げると、こんな幸せな事は有りません。まだまだ砥ぎも試行錯誤が必要です。
こうすると上手く砥げるよ!
と、言う事が有れば、是非教えて下さい。