みちのく
入道雲が浮かぶ空 まぶしく
客歳来れしあぜ道 懐かしくて歩く
田んぼの稲 あおあおしく
稔り導く水車 回るカタカタと
あどなし響き 草木の匂い愛おしくて
たわわに騒がせ
夏のみちのくはいつも
東京へ帰る途中のしばらくを
青き葉が擦れる音に
蝉鳴いてうらぶれる
送られる車に乗って見付けやる
流れゆく川面に映る傘被る釣り人が
中州より竿投げ鮎求めしを眺めやり
瞬刻
空曇り光隠して
驟雨に会いて急ぎ駅へと橋から向かう
雷に声震えるを横に聞き
警報の出る街からは
喧噪消えて
着きし駅にて子供達へと
買い求める売店で店員と
驟雨を笑い野球を話し
笑顔思って選びし土産
夏のみちのくはいつも
東京へ帰る途中 しばらくを
繁る葉に汗のにおいを
蝉消えて うらぶれる
作 平成二十二年七月二十八日
東北に行きて友に送られし夕方に詠む。