横浜美術館


夏休みは今日で終わり
僕は君をスポーツカーに乗せ
樹海を抜け西湖を走り東へと向かう
屋根を開け吹き込む風に乱れる髪を
愛しく撫でる東名高速道路

展覧会を見たいと語り
僕は君をスポーツカーに乗せ
横浜へ行き印象派とパリ派展に集う
睡蓮やシスレーの河畔とルノワールの裸婦
二人でまわる横浜美術館

久しぶり君は絵の前で詩句を綴る
僕も失った物語を埋める
ピカソの海辺の母子像
お婆ちゃんの詩を綴るわ 君は微笑む
これは面白い展開だろう 僕も微笑む

週末はマン・レイ展へ行こう
屋台のお祭りに行こう
暑いから自転車は辞めて
歩いて行こう
車は環境に悪いから
電車に乗って行こう

インスパイア 絵の前で書き付ける
イマジネーション せき止めることなく言葉に変わる
スーティンの青い服を着た子供の肖像
書き換えるのよ 君はつぶやく
結末を付け足す 僕はつぶやく

週末は一緒に創作しよう
一緒のベッドで過ごそう
暑いから服は脱いで
はだかで過ごそう
徹夜は身体に悪いから
早めにベッドに行こう

横浜美術館

 香奈先生の「あたし コインロッカー」と一緒にコラボです。
 横浜美術館で経験した事を創作しています。

プロレス
 
あさがお乱れる児童公園
ゴングの音が宴の始め
神社の影に隠れせし
リングの王者現れて
歓声上げる子供たち
 
仕事の帰り僕とふたり肩ふれて
歩道橋 国道越えて
裸電球 淡く光りて 屋台匂いて誘いしや
指ふれて喋れ得ぬ
代わりに求むあんずあめ
二つ当たって拍手を鳴らし
微笑んで首を振りやる澄みし眼は
たこやきとラムネを求め
手を振って声援がわり
汗光るマスクのプロレスラー
公園に声沸き立ちて
君と初めての夏祭り
 
挑発の咆哮 軽いパンチがはじまりで
キックは空中に 交じり合い
からだとカラダがかちあって
ロープにあがって男とび
落ちた肉の上 床うなり
男の腕が激しくぶつかって
リング底 ヒーロー沈み
滴り落ちる汗
男の脚がきつく曲げられ
苦悩の声が上がる
カウントが開始され
ヒーローに立ち上がれと
アナウンサーは叫び
子供たちの応援が続く
 
声が吠えレスラーの筋肉
弾けし仮設のリング
毎夏の夜開かれて
リングの王者殴り合い
鯨波を上げる同僚たち
 
日が落ちて スポットライトに
リング閃く 児童公園
ヒーローは男を攻め続け
アナウンサーが叫び
子供たちの応援が続く
 
妻のいとこと嘘ついて手を触れて
かき氷 二人でつつき
裸電球 淡く光りて 君美しく照らされて
手を繋ぎ喋れ得ぬ
色めかしゆかた姿に
ビル影でキスをして
半天に仰ぎ見る月微笑んで 
サイダーと屋台のワイン
味わいながら喝采を向け
近勝りリングのプロレスラー
公園に声沸き立ちて
君と初めての夏祭り

 先週の日曜日、静嘉堂文庫へ行ったときにはシャーペンで書いていた。


 どこかで購入したオーダーメードの革製ペンケースに、RHODIAの消しゴム付き鉛筆数本と、ペン型消しゴム、蛍光ペンと、四色ボールペンを入れている。
 いつもは家でしか使っていない万年筆。
 香奈から初めてのプレゼントである万年筆。
 今日は、この万年筆を連れ出して書こうと魔が差した。
 ツバメ印のノートとか、ニーモシネのメモ帳とか。文房具にはこだわりが多い。
 お出かけの時には万年筆は、長年連れ添ってきたCROSSで書いてることが多かった。


 大切な人から頂いた品々は何度もなくしているのに。なぜ今回も。なくすときには、いつも持ち出すときに、ちょっとした違和感がある。月曜日の朝にペンケースに万年筆をいれた。


 今朝、ペンケースごと、香奈にプレゼントしていただいた万年筆をなくした事に気がついた。
 優れた書き心地だった万年筆。
 年賀状や暑中見舞いの時に、パソコンで印刷すべきではない方へ、僕の手書きを読める筆致にしてくれた、素敵な万年筆。


 なくした。
 そのことを告げると、「書いたものがなくなることがなくて良かったわ」と、微笑む香奈の返事。
 いとおしい。