アバラ日記。 -34ページ目

小さな店で小さな奇跡。


一杯飲みながら話そうかなんて
何年かぶりに何気なく入った店
当然のようにビールを注文して
あとは肴をあれこれと注文した

行かない理由も特別になかった
イヤな思いをした記憶もないし
むしろ行きたいなぁと思ってた
そういう店ってありますでしょ

予定調和な会話も済んでツレが
ここに来たことがあると言った
余所でとある夫婦に気に入られ
この店に連れてきてもらったと

よくよく話を聞くとその夫婦は
どうやらあたしの知人でもあり
そういえばもう3年か4年ほど
お目に掛かっていないと思った

今はどこで何をしているんだろ
今日の昼に家の前を通ったなぁ
おふたりとも元気でいるかなぁ
などと勝手に懐かしさを感じて

ノドの渇きも落ち着いたころに
何気なく店内を見渡してみたら
カウンターの何人か向こう側に
その夫婦は座っていたのだった

目を合わせてしばらく硬直して
あぁという顔が笑顔に変わって
その後で名前を呼んでもらえた
小さな奇跡のような数秒だった

おふたりともお元気そうでした
お互いに時の流れを感じたけど
そんなこともうどうでもよくて
何だかとても嬉しい時間だった

多くのことが歳月で変わっても
生きていれば会えるんだよなぁ




この

美しい朝焼け
水色と桃色と
いつもと違う
それを見てる

これが最期の
景色なんだな

さようなら
さようなら
さようなら
さようなら

誰かの誕生日。


誰かの誕生日だったな
そんな記憶を弄んでは
ポンコツあたしの全て
持て余すような深夜で

薄い酒を何度も煽って
緩やかに終末へ向かう
真夏の真昼のアイスは
緩やかに溶けて消える

けれどもあたしは強く
引き寄せて爪を立てて
忘れてしまわぬように
何度も声に出してみる

忘れてしまった誰かの
誕生日の夜みたいにさ
悲しくならないように
何度も声に出してみる