受験のプロでも、学習のプロでもない個人の感想です。
二回目のサピックスオープンテスト終了後は、算数以外は難しかった、という感想でしたが、今回は問題も少し見てみたので、結果と合わせて振り返ってみます。
〈結果〉
算数: 簡単で、素直な問題が多い
国語: 記述が難しい
理科社会: 一見難しいが、考えれば分かる問題(いわゆる最近はやりの『思考系』ってやつ)が多く、しかもその思考系の問題の配点が高いから、知識系はできていなくても、点数が伸びるように出来ている
という傾向が分かりました。
前回もですが、理科社会で知識を活用して答える問題が多くなっていることに驚きました。
以下、考察します。
私はサピックスという塾は、もともと知的に高い子供に、スパイラル学習で仕込む膨大な知識量という武器を与え、最強のソルジャーにする塾、と思っていました。
しかし、今回の問題や結果を見るに、方針を今後は変えていくのかも、と感じました。
理科社会の思考系の問題の多さと、配点の高さは、何を重要視しているかというメッセージにも思えたからです。
大学入試の傾向が中学受験まで押し寄せている、とはよく聞きます。
文章を正しく読む力、聞かれたことに答える能力、全体を俯瞰してみる能力、身近なことに興味を持ち立ち止まって考える習慣、などがあるか。
ある程度の常識的な知識を元に、これらが問われるようになる。
であれば、最も強いサピックスの方針が変わってきてもおかしくありません。
そしてこういう変化は、一部の子供たちにとってはよいものになりそうです。
ここでいう一部の子供というのは、もともと能力の高い子供たちです。
理科や社会で重箱の隅をつつく問題が出されなければ、学習塾も方針を変えざるを得ないわけですから、彼らの本来の能力を伸ばせるかもしれません。
しかし、思考系の問題も、対策はできてしまうので、それはそれで苦しむ子供が多く出て来そうです。対策がある、ということは、それをやらざるを得ないのですから。
頭の良さには、階層があります。
特に、いわゆる頭のいい人は、優れた処理速度とワーキングメモリーを、標準装備しています。
その上で、思考力で勝負をする構図になると、ますます学力差は広がりそうに思います。
なぜなら、思考は持っている知識を元に拡げていくものだからです。
これからの入試がどう変わっていくのか分かりませんが、子供たちに過度な負担をかけない方向に行くことを、希望します。