手ぶくろを買いに、という新美南吉さんの絵本があります。
私は黒井さん画のそれを愛読していました。
お話の中、こぎつねが帰る途中で、人間のお母さんが唄う子守唄を耳にする場面があります。親の愛情や、子供と親の絆を見事に描いた場面です。
子守唄は、たしか、眠れ、眠れ、母の胸に~、だったと思います。
しかし、子供の私はこの曲をよく知りませんでした。
何故なら、私の子守唄は、ねこのお尻の穴にかにが這いこむ、という羊が一匹羊が二匹、的な数え唄だったからです。
両親共働きだった私を寝かしつけてくれたのは、祖母でした。
ねん、ねん、ねーこのけーつに、かーにがはいこんだー
いっぴきだーと、おーもったら、にーひきはいこんだー、
にーひきだーと、おーもったら、さんびきひきはいこんだー、
以下同
リズム感では、シューベルトに引けをとらず、しかも、すぐ眠れます。
頭の中では、三毛猫の穴に、沢蟹が規則正しく入っていく映像が流れていました。
この唄はメジャーなのか、埼玉県北から群馬辺りのご当地ものなのか、祖母のオリジナルだったのか。
幼き日の思い出の一つとなっています。