以下私見です。

 

大学は学問をするところですが、将来的な職業についての学ぶ場という役割も果たします。

当然、後者の意味合いが大きい学部(医歯薬、法、教育などでしょうか)と、そこまで大きくなく、純粋に学問を追求するための学部があると思います。


ここで、医学部志望について考えてみます。その多くは医者になろうと考えていることとおもいます。医者は、一般的には臨床医のことを指しますが、では、現在の臨床医に求められている能力とは何でしょうか。

 

私の経験では、

1.人とうまくやれる能力

2.情報処理能力

3.マルチタスク

です。

逆に、ひらめきや、人とちがうことをやってのけること、などは不要です。

 

臨床医の仕事は診断・治療ですが、今は多くの有益な情報が簡単に手に入るようになっており、言い方は悪いですが、そこまで頭がよくない人でも難なく出来てしまいます。そして私もその一人だと自覚があります。

ただし、上記3つは必須であります。

医療はたくさんの人が関わらないと成り立たず、周りの人の意見を尊重し、配慮ができないと、患者さんの治療はうまくいかないからです。

また、多くの患者さんを診なければならず、情報処理能力と、こっちのことをやりながら、あっちのこともやるというマルチタスクができないと話になりません。

たとえば、救急ではこっちの痙攣を止めつつ原因検索をし、その間に待たされすぎて怒っている軽症患者さんの診療も済まさなければなりません。

 

そうすると、東大や京大のように難問に少数取り組む試験よりは、中等度の難易度の問題を多く解かせたり、英語の長文を読ませて小論文を書かせる、という試験スタイルの方が選別には役立ちそうです。

『思考力』はある程度は必要ですけれども、『四角い頭を丸く』までする必要もなく、むしろ、スクエアの方がいいかもしれません。

 

結局何が言いたいかというと、何でもかんでも『思考力』を選別基準にする必要はなく、各々によって変えたほうがよいのではないかということです。

私の感覚では、臨床医としては、昔のセンター試験なら英・数・理で95%前後をとれるくらいの能力があれば、もう十分に感じます。むしろ、センター試験のような難易度低めの問題を、ほぼ間違わずに解ける能力が必要なのです。

 


追記ですが...

研究医に求められる能力は違います。基礎研究は全く別の世界です。探求心、粘り強さ・忍耐力、外国人への臆さない心が必要です。

そして、この基礎研究者が困窮しやすいのが日本の問題に思いますが、これはまた別の機会に書いてみようと思います。