寄席では、噺家さんはその日の客の様子を見て、何を演じるか決めていらっしゃるようです。

 

子供を連れていくと、師匠達のあたたかい気遣いを感じることも。

例えば、落語では『桃太郎』への遭遇率がやたら高いです。子供でも分かりやすく、しかも面白い演目。

 

そんな中、柳家喬太郎師匠はすごかった、としかいいようがない。

いつぞやの夜の定席、トリで『稲葉さんの大冒険』を演られました。

 

簡単にまとめると、真面目すぎる稲葉さんが駅前でピンサロのマッチをもらってしまう。奥さんに見つかったら大変、こんなのを持って帰れないと公園に埋めようとしたところ、変な老人に絡まれて、なんだかんだあって終いにはデカイ松をもらい、くくりつけられ、引きずって帰り、奥さんに「女にもらった」、という噺。実際に聴くと腹を抱えて笑ってしまう噺です。

 

喬太郎師匠は途中で、何で子供がいるのにこんな噺選んじゃったんだろ、と言って、爆笑を誘っていました。

あえてちょいエロっぽい噺を選び、子供を巻き込んで、客席を一体にして笑いの渦に引き込む。

すごい技です。

 

少し難しい噺も、ぴゃーぴゃー捲し立てて聞き取れない噺も、ちょいエロの噺もあり、どれもよい経験になると思います。

寄席では子供を客の1人として扱ってくれます。誰でもちゃんと仲間にいれてくれます。

そういう優しい文化が、寄席には息づいていると思います。