【鉱物言葉集】
プルースト『失われた時を求めて 』より
石に関する言葉
読書に慣れている人でも、
読了に数カ月かかると言われる
『失われた時を求めて』。
この長い物語は、
こんな描写から始まる。
主人公がベッドに入って
ウトウトしていると、
昔の記憶の断片が甦ってくる。
そういえば、
祖父母の家の寝室には、
ボヘミアンガラスの常夜灯や、
シエナ産大理石の暖炉があったなあ…
と、思い出す。
見ている風景は、
夢のようだけれど
はっきりと覚えている記憶の断片。
甦る記憶の中で、
大理石はどのように見えたのだろう。
その色は。質感は。
そこまでは描かれていないので
私は「シエナ産大理石」について
調べた。
↓
シエナ産大理石(Giallo di Siena、イタリア)
シエナ大理石は、
濃い黄色〜赤色が基調。
ところどころに斑点や割れ目が見え、
白やベージュの細い脈が走る。
この脈ができる仕組みは
意外とシンプル。
石灰岩が
地中で高温・高圧にさらされて
大理石に変わる過程で、
石の中に細い割れ目や亀裂ができる。
そこに、
鉱物や微量の不純物を含んだ水が
長い時間をかけて染みこみ、
脈が生まれる。
表情豊かなこの石は、
中世からルネサンス期のイタリアでは、
主に教会や宮殿、貴族の邸宅の床や壁、
暖炉などに使われた。
個人的に好きな色である。
かけらで良いから欲しいなあ…
白いコースターはインド産大理石
飲み物ではなく石を乗せる。


