【鉱物言葉集】

中山可穂『愛の国』より

石に関する言葉







「小石は投げる。でも、あなたのことは忘れない」さやかはミチルの背中の傷のあたりにそっと触れて、別れのキスをした。



中山可穂『愛の国』p.98






この「あなた」とは、
主人公・ミチルのこと。



新米政治家さやかは
自分の事務所で働くことになった
ミチルに惹かれていく。



そして別れのとき、ミチルはさやかに
「小さな石を投げ続けてほしい」と言う。
引用した言葉は、
それに対するさやかの答えである。



さやかの意志と決意が、 
そしてミチルへの想いが、
この一言に詰まっている。




中山可穂『愛の国』


「王寺ミチル三部作」の完結編。

第一作『猫背の王子』(1993年)第二作『天使の骨』(1995年)に続いて、19年ぶりに発表された三作目(2014年)


物語の舞台は、同性愛が「罪」とされるファシズム体制下の近未来の日本。記憶を失い、尼寺で「ミロク」として新たな人生を歩んでいた彼女は、かつて天才と称された演劇家・王寺ミチルだった――。







物語の中で、
ミチルがさやかに託したのは、
信念と覚悟を持って声をあげ続けること。



私たちは、
小石のように小さくても、
それを投げ続ければ何かが変わる――
そんな希望を胸に、生きていくのかもしれない。



私は、
「投げる」というよりも
小石をひとつひとつ置いていこう
と思っている。


たとえばこのブログ。


もう私のなかで
「石と本」は人生のテーマになっている。


難しい哲学や、政治、科学など
苦手な分野の本を読んで、
石に関する良い言葉を見つける
こともあるけれど、
内容が理解できず
ブログに書けないことがある…😅



そんなときそんな自分が
とても残念。。


いつかその本の内容を理解できる
のかもしれないから
あきらめず勉強していこうと思ったり、


いや、そうじゃなくて…


理解できなくても、
今の私が感じたことを
そのまま書いてみたら良いんじゃないか。
…などと考えてみたりもする。



そんな小さな思考を積み重ねること
自体に何か意味があるような
気がしている。


つたないながらも言葉をつづり
書くこと。


私には
世の中をを変えようとするような
強い意志などは
無いけれど


せめて自分なりに、
小さなことを続けていきたい。