今回から【石にまつわる言葉集】から

【鉱物言葉集】に変更しました。


【鉱物言葉集】では

文学作品や、鉱物に関する著書、

音楽の歌詞などから集めた、

鉱物にまつわる言葉をご紹介します。




谷崎潤一郎『陰翳礼讃』より



昔からある甲州産の水晶と云うものは、透明の中にも、全体にほんのりとした曇りがあって、もっと重々しい感じがするし、草入り水晶などと云って、奥の方に不透明な固形物の混入しているのを、寧ろわれわれは喜ぶのである。



〜谷崎潤一郎〜



山梨県の水晶はかつて、
水晶峠、竹森、乙女鉱山、黒平などの
鉱山から産出しましたが、
現在ではすべて閉山しています。


草入り水晶とは
水晶に、金紅石、緑泥石、緑簾石、
赤鉄鉱などの鉱物が内包されたもの。
苔入り水晶、ガーデン水晶などとも
呼ばれます。


草入り水晶(ガーデン水晶)
私の母のです。


『陰翳礼讃』では、家屋、建築物、厠、
漆器、紙、能、菓子、天然石
などを題材に、
東洋人(日本人)の美意識は
仄暗さや、翳りのあるものにある
ということが書かれています。

中でも、水晶については
私も、向こう側まで見えるような
透明なものより
内包物があったり色がくすんでいる
水晶が好きなので、大変共感しました。