BANANAFISH二次小説 (59丁目アパートメントの思い出シリーズ)リンクスはじめての闇鍋 | BANANAFISH DREAM

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らぶばなですほっこり。59丁目のアパートでの思い出をシリーズにして数話お届けしたいと思います。アパートではこんな思い出があったのではないかなという妄想シリーズです。。。涙あり笑い?ありな短いお話を自由気ままに書かせていただきたいと思っています。今回は闇鍋をヤミー鍋と勘違いしたコングが仲間を誘って皆でワイワイするお話です。オチはありません。お楽しみ頂ければ幸いです。ウインク


 

59丁目アパートメントの思い出シリーズ

「リンクスはじめての闇鍋」

 

 

 

2月のNYは寒い。朝は氷点下以下に気温が下がり、道路には雪と氷が残っている。外を歩くと冷気と乾燥で唇や肌が痛いと感じるほどだ。寒さから身を守るため、道を歩く人々はファーのついたフードを頭からすっぽりとかぶっていた。

 

 

「あぁ寒い。。。この時期の寒さには未だになれないよ。。。体の芯から冷え切っちゃう」

 

 

リンクスの幹部であるコングも頭にフードを被り、震えながら59丁目のアパートにやってきた。今日はアッシュが朝から外出しており、英二を護衛するためにやってきたのだ。

 

 

すっかり冷えてしまったコングのために、英二は温かいホットココアを作り彼に渡した。

 

マグカップの上に浮かんだマシュマロを見て、甘いものが好きな彼は嬉しそうに微笑んで受け取った。

 

「Thanks! あぁ美味い。。。」

 

「どういたしまして。それにしてもNYの冬は寒いよね。こんな季節の時は、あったかいものを食べたいなぁ。。。鍋が食べたい。。。」

 

故郷の味を懐かしみながら英二はつぶやいた。

 

「英二、Nabeってなんだよ?それは食いもんか?」

 

食いしん坊のコングが  「鍋」 という言葉に食いついた。

 

「なんて言えばいいかな。。。うーん、英語ではHot pot dishかなぁ。色々な具材や野菜を入れて煮込む料理だよ。特に寒い冬に食べると美味しんだ。肉や魚も入っているから美味しいスープがとれる。麺やご飯を入れて最後まで楽しめるんだよ」

 

 

コングは英二の説明で見たことのない鍋料理を想像し、よだれを垂らしながら天井を見つめている。

 

 

「アッシュとリンクスのみんなで鍋を囲むのも楽しそうだなぁ。。。でもみんな、好き嫌いが激しいから何を用意すればいいかよく分からないや」

 

 

鍋を囲みながらワイワイと食べるのは楽しい姿を想像していると、ふと昔の記憶が蘇った。特に何も考えず思ったことを口に出していた。

 

 

「そう言えば、昔。。。大学仲間でふざけて”闇鍋”をしたことがあったなぁ。」

 

(あれは酷いもんで、食べたものじゃなかった)

 

 

悪ふざけでシュークリームや大福、フルーツを入れた連中がいたので、結局食べることができずに食べ物を無駄に廃棄してしまったのだ。

 

 

英二は懐かしくもやや後味の悪い記憶に浸っていたが、興奮したコングに肩を思い切り揺さぶられてハッと現実に戻った。

 

「な、なんだよ、コング?」

 

「おい、英二!そのヤミーナベとやらを作ってくれ!」

 

 

一瞬意味がわからなかったが、コングは勘違いをしていることに気づいた英二は優しく訂正する。

 

 

「コング。。。 それは Yummy(美味しい)鍋じゃなくて、ヤミナベね。部屋を暗くしてみんなで持ち寄ったオススメの材料を入れて食べるんだよ。むしろ。。。美味しいとは正反対だから。」

 

 

味のことよりも、不思議なシチュエーションで食事をすることにコングは衝撃を受けたようだ。

 

 

「はぁ?なんで暗闇で飯を食うんだ? それじゃ何を食ってるかわからないじゃないか? 日本人は変わったことするなぁ」

 

 

「うーん、なんでだろう。。。ちょっとした余興ぽいっていうか。。。何を食べているかわからないスリリングを味わうっていうか。。。」

 

英二もどう説明してよいのかわからず困ってしまったが、コングはそれほど気にもとめず、そもそも話をきちんと聞いてすらいないようだった。

 

 

「英二、そのクレージーなヤミーナベをしようぜ! 暗闇で食うスリリングとやらも気に入った。美食家の俺様にまかせろ!スーパースペシャルなオススメ食材を用意するぜ!ボーンズとアレックスにも声をかけておくからさっそくやろうぜ!」

 

コングは鼻息荒く言ってスマホを手に取った。恐らくボーンズに連絡を取るつもりだろう。もうすでにやる気満々な彼の大きな背中に英二はつぶやいた。

 

「え。。。本気なの?よりによってなんで闇鍋なんだよ。。。他にも美味しい鍋料理はあるのにさ。。。」

 

 

英二はため息をついた。妥協案として、英二は「甘いもの、液体、水に溶けやすいものは入れない」というルールを定めた。少なくとも食べずに捨てるようなことにはならないだろうと。

 

 

***

 

 

翌日、コングの呼びかけでさっそくボーンズとアレックスもやってきた。紙袋をそれぞれ手に持っている。果たしてコングがちゃんとルールを説明してくれているのか不安だったが、ぶっつけ本番で闇鍋を決行することにした。

 

幸か不幸かアッシュは今日も外出している。今回は参加しないほうがいいだろうと英二は胸をなで下ろしていた。

 

「英二、俺たちそれぞれとっておきの材料を用意してきたぜ。中身はまだ秘密だけどな」

 

コングは嬉しそうに食材の入った紙袋を指差した。

 

「暗闇で食う飯ってなんだよそれ、面白そうじゃないか。」

 

ボーンズもニヤニヤ笑っている。どうやら乗り気のようだ。

 

「食のセンスが問われそうだな。おまえら本当に大丈夫なんだろうなぁ?」

 

アレックスが少々不安そうにコングとボーンズを一瞥するが、彼らは自信満々の様子だ。

 

 

英二は彼らがコングに無理矢理連れてこられたのではないかと不安に思っていたが、意外と乗り気なメンバーに一安心した。だが、恐らく日本の鍋料理は初めてであろう彼らが何を用意してきたのかが

分からないので不安になってきた。

 

「そ、そうか。なんかちょっと怖いけど。。。とりあえずスープはインスタントラーメンの塩味にしておいたよ」

 

「いい匂いだなぁ。腹減ったよ、早速食おうぜ」

 

早速リビングの照明を落とし、懐中電灯をつけた。順番を決め、それぞれ持参した食材を順番に鍋に投入していく。

 

食材が鍋に入る音に、それぞれ反応する。

 

「なんか今はいった食材、すげー重そうだったぜ。。。」

 

「俺、ドキドキしてきたわ。。。」

 

 

コンロの青い火を眺めながら、鍋が煮上がるのを待った。暗闇の中で感覚が麻痺しているのかもしれないが、不快な匂いは今の所なかった。

 

火を止めた後、英二は箸の使えないリンクスのために、フォークとスプーンを渡してあげた。

 

 

「いいかい、今から順番で具を取るからね。自分が取った食材は必ず食べること。一番目は。。。」

 

 

「俺だ!」

 

勇ましくコングがフォークを手にする。英二は彼の手元をライトで照らしてあげた。

 

「コング、熱いから気をつけるんだよ?」

 

 

「フーッ! もごもご。。。ん?俺は何を食っているんだ? これは肉なのか、魚なのかわからねぇが、何かの身の塊のような気がする。何かわからないが、美味い!」

 

 

視覚を遮られると、味覚が分からなくなるようだ。幸い食べられないわけではないようなので、英二は胸をなでおろした。

 

 

「次は俺だ!」

 

ノリノリのボーンズが手を上げるが、暗闇なのでシルエットだけが見えた。英二の忠告を忘れた彼は口に入れるなり飛び上がった。

 

 

「あ、アチいっ!なんだよこれ!俺の舌がバカになっちまう!」

 

「もうなってんだろう?。。。で、どうなんだよ、食べた感想は。。。」

 

「食感がない。。。俺の歯が無いからか? 不思議だ。。。俺は何を食ってるのかさっぱり想像もできない。これ自体にはあまり味がねぇけど、スープが染み込んでて食べやすいのは確かだ」

 

 

ボーンズも何を食べているのか分からないものの、不快感はないようだ。

 

 

「じゃぁ、次は俺な!」

 

アレックスは、スプーンを手に取った。ボールにスープと食材を取り分けて念入りに息を吹きかけている。

 

「やけど対策はバッチリだ。。。なんか小さなもんが入っているみたいだけど。。。ワンタン?餃子?なんか噛みごたえがあるなぁ。。。スープも別に悪くねぇよ? へぇ。。。Nabeって美味いんだな。何食ってるか分からないのは怖いけど。。。」

 

 

アレックスの味覚を信じて、英二もスプーンを手に取った。

 

口の中に食材をいれた彼は衝撃を受けた。

 

 

「え。。。」

 

「どうした、英二? なんかヤベーもんが入ってたのか?」

 

心配そうにアレックスが声をかけた。もし英二が腹でも下そうものなら、自分がアッシュに殺されるかもしれないと不安になってきた。

 

「いや。。。肉だ。。。」

 

薄切りの牛肉のほのかな甘さを舌に感じた。まさか、まともな食材が入っているとは思っていなかったので英二は驚いた。

 

(ポップコーンとか、ホットドッグとか入っているんじゃないかって思ったのに。。。)

 

 

嬉しい反面、少しがっかりしている自分がいることに英二は気づき、頭を左右に振って否定する。そしてスープにも挑戦してみたが、再び彼を衝撃が襲った。

 

「このスープ。。。まるで雑炊みたい。。。あ、ちゃんとお米が入っている!どうして。。。?」

 

気になって仕方がない英二は「答え合わせをしよう」と照明を付けた。

 

 

「君たち、何を入れたの? 僕は豆腐を入れたけど。。。」

 

「俺が食ったのはトーフなのか!歯のない俺の歯に優しい食材だな」

 

ボーンズが笑いながら「ちなみに俺はフライドチキンを入れたぜ」と言う。

 

するとコングが自分のフォークに刺さった骨つき肉を見てようやく食べたものがわかったようだ。

 

 

「俺はチキンを食ってたのか。。。食通の俺様はマカロニチーズを入れたぜ!」

 

 

今度はアレックスがうなずく番だ。自分が噛んでいたのはマカロニだったのだと。

 

 

「で、アレックスは何を入れたんだい?」

 

英二が尋ねると、アレックスは「美味かっただろう?」と自信ありげに答える。

 

「俺が入れたのは牛丼だ!わざわざ日本食を扱っている店に行ったんだぜ?」

 

 

「そっか、うまいぐあいに米がスープを吸って、雑炊みたいな味になっていたんだ。。。」

 

 

 

まずくなるのではないかと不安に思っていた闇鍋だが、偶然にもコングの言う通りヤミー鍋になってしまった。

 

 

英二は皆のチョイスした食材センスをそれぞれ褒めながら、皆で美味しく鍋の残りを食べきった。

 

 

アッシュがこの場にいないのは少し残念だが、彼の分のエビとアボガドのサラダとクリームチャウダーは冷蔵庫に入っているので問題はないだろう。

 

 

その後、コングは観光中の日本人を見かけるたびに声をかけ、「おれは日本の闇鍋を食ったことがあるんだぜ。あれは最高だ!」と自慢しているそうだ。

 

*終*

 

 

 

(あとがき)

お読みいただきありがとうございます爆笑! 闇鍋をyummy鍋と勘違いしたコングですが、どういうわけか偶然美味しいお鍋になっちゃったというお話です。きっと「またしようぜ!」と英二を困らせているかもしれません。

よければ小説へのご感想、リクエスト等お聞かせくださいね。

 

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