呼びつけられたのは
ここで間違いないだろう事は
室内の様子で把握できた
も
呼びつけた当人の
所在
…見た所
ここにはなくて
…って事は
あの奥の扉の向こうだな
と
もともと通ってた
これからの勤め先…
と言うか
所属して
活動する陶芸教室
そこを運営する
ボス的立ち位置になる先生の
あまたある教室の構成
把握してて
…というか
先生の拘りか
何処もほぼ同じ
配置に機材で統一されてて
なので
間取りの変更が可能な
新築のビル…を好む傾向
ここにも見て取れて
…で
あるからして
扉一枚隔てた
教室空間外の
スタッフの控室…に使われる小部屋は
各教室ごとの
責任者の滞在時間が長くなる
関係上
個々人のカラー
それぞれの好みの仕様に
手が加えられていること多く
…なので
憩いの場に籠りがち…って事で
ここに呼びつけた相手は
十中八九
あの扉の向こうにいるだろう
予想し
…エレベーター内で
靴裏磨いといて正解だったなぁ
と
荷物の搬入で
つけられた後だろう
数人分の靴底の跡に
…先週 雨降ってたから…
等と
周囲の情報から
想定しつつ
訪問告げる
張った声に返答ないから
そのまま
扉の方まで入って行って
「…お邪魔してますよ」
扉前で一応
声を掛けて
ドアノブを押せば
扉前に
何か荷物が置かれているのか
ドアが重くて
開かないから
結構な自重をかけて
押して
人一人分
中に入れる空間を作ると
中の様子 窺えば
…これは
荷崩れを起こしたな?
と
扉前のストッパーになっていた
衣類だろうか
布系の梱包によく使われる
不織布にジッパーのついた
変形自在の取っ手付き入れ物
が
重なるように転がってて
今
それを押しのけたわけだが
と
中に体半分
入れてみれば
その
形の変わった取っ手付き入れ物が
積み重ねられた
その向こうに
人の足
埋まってて
「…大丈夫?…じゃないな…これ…」
つい
見た光景への感想
呟けば
「…助けてく…れないか…な?」
蚊の鳴くような声
荷物の下から
籠った音量で
漏れ聞こえてきて
あわわ…と
室内の不織布の塊
運び出す空間確保のため
ドアの開閉
邪魔してる足元のから
取っ手掴んで
教室の方の空間へ
引っ張り出し始めた
つづく