サイブンー29ー | ラテックスは妄想中

ラテックスは妄想中

暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。

 

 

正直

 

腹いっぱいのんびり食事を

 

楽しんで来た後だ

 

有り難いような

 

困ったような

 

…そんな感じで

 

受け取っちゃった

 

接待は

 

言われたように

 

一服…

 

なみなみと注がれる

 

カップでの提供と比べれば

 

見るからに少ない量で

 

ほんの少しの憩い

 

ってニュアンスがまさしくで

 

 

これくらいなら

 

入る…余地はある…

 

 

等と

 

茶菓子の乾きもの…

 

見たことある

 

可愛らしいサイズの

 

なんだろう 粉っぽい

 

ギュッと型に押し込んで作られた

 

日持ちのしそうな…

 

等と眺めては

 

薄い桃色と白…

 

扇と毬の形をしたそれは

 

作家の作品である

 

可もなく不可もなくな

 

土色の陶器の上で

 

存在感 アピってて

 

正直

 

少しだけ

 

食べるのがもったいない…って印象

 

無きにしも非ずな作り

 

愛でて

 

扇の方をつまみ

 

口に放り込めば

 

 

じんわりと

 

口内に広がる味覚

 

飴よりも甘くない

 

口の中の水分

 

持っていかれる感覚で

 

ホロホロと

 

崩れ始めた触感は

 

ざりざりして

 

ほんのりと甘みが…

 

 

なるほど 上品ってやつか

 

等と

 

子供の頃食べた

 

ラムネ菓子の印象

 

思い出しつつ

 

茶碗に手を伸ばし

 

ラテのミルクの緑バージョン

 

…って感じのあわあわ

 

すっとすすれば

 

お茶…と言うよりも

 

もっと濃い

 

見知った抹茶の豊かな香り

 

…うまい…

 

って感想

 

おぉ…僕ってば

 

ちゃんと味覚は日本人してるじゃん

 

とか 思いつつ

 

デザートで食べた

 

タルトの旨さとはまた別の

 

これはこれで

 

落ちつく旨さだと

 

評価しつつ

 

手の中の

 

茶碗が 彼の作品だって事

 

今頃のように 

 

ハッとして

 

日常使いが目的のデザインって事か

 

例えばこれに

 

ご飯を入れても

 

かまわないって作りは

 

持ちやすく

 

軽すぎず

 

なにより

 

口にあたる椀の淵の薄さが

 

 

絶妙だなぁ…と

 

茶をすするのに

 

唇に当てる度

 

その感触が 心地よく

 

 

…いいな これ…

 

と つい

 

飲み干した茶碗を

 

掌で包み持った状態のまま

 

ふと

 

学生の頃の彼の姿

 

思い出しては

 

…こんなものも 

 

作れるようになってたんだ…

 

 

天才は違うなぁ…

 

等と

 

小さくため息をつく

 

 

手の中の茶碗

 

放し難く…

 

 

…これ一個くらいなら

 

僕にでも買えるだろうか?

 

等と

 

脳裏に過った考えが

 

まんまと

 

営業マンの策にハマった気がして

 

少しだけ

 

自嘲してから

 

向こうの客にも

 

お茶の接待

 

し終えた営業マンが

 

近くを通りかかったから

 

 

「…すみません この茶碗…」

 

 

僕の方から

 

声をかけた

 

 

  つづく