サイブンー2- | ラテックスは妄想中

ラテックスは妄想中

暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。

 

 

毎日のように

 

帰宅前に工房に通って

 

土に触れるのが

 

彼のルーティンで

 

 

正直

 

部員のほとんどは

 

作品提出の期限が近づくまで

 

姿を見せないのが通常で

 

更に 付け加えるなら

 

講師である先生も

 

普段は作家活動とやらで

 

お弟子さん…的 立ち位置の人が

 

教えに来てくれるだけで

 

ほぼ 名ばかりの講師

 

…ではあるも

 

ふらっと

 

学校に来る時があって

 

それは

 

卒業シーズンで

 

ほぼ

 

このころに 初めましてになる

 

新入生と会話しつつ

 

作品作って

 

卒業する部員に贈る作品を作る

 

ってのが 

 

部員への特典…って事らしい

 

けど

 

講師の作る花器って

 

本人的には使いどころのない

 

大作で

 

大抵は 親が喜ぶ…って感じで

 

御託にもれず

 

僕自身も その口で

 

…それと

 

実質

 

塾が始まるまでの時間

 

家に帰るより

 

外で

 

時間潰した方が

 

効率よくて

 

 

それもあって

 

まじめに通う彼と僕は

 

余り接点のない別のグループだったけど

 

放課後 陶芸の工房で

 

話すようになって

 

 

「…本当は塾の予習とか

 

 してた方がいいんじゃないの?」

 

 

彼と一緒になって

 

粘土に触れてる僕の事

 

塾前の時間つぶしと

 

分かってて

 

…彼なりの 気遣い

 

だったのかもしれない

 

だけど当時の僕は

 

「…君にまで

 

 “勉強しろ”って言われるとはね…」

 

 

決して成績がいい訳でもない

 

僕が

 

進学のために無理してるって事は

 

当然 誰の目にも明らかで

 

逆に

 

塾に行かなくても

 

そこそこの成績でいつも

 

上位に居る彼が

 

…気楽に見えて…

 

つい

 

 

…これは八つ当たりだ…

 

雑談の本当に

 

何でもない一言に

 

余裕のない僕は

 

感情むき出しに

 

過剰反応して

 

余計な事 口にしたせいで

 

粘土もただの塊になって

 

 

「…乱れてんねぇ…」

 

今のは煽りじゃない

 

彼なりの僕への“落ち着け”ってヤツだろう

 

分かってて

 

その気遣いにも

 

イラっとする今日は…

 

 

「わかりやすいなぁ…

 

 なに?思った点数じゃなかったの?」

 

 

試験結果

 

判明しての午後

 

…まぁ

 

許容範囲の結果ではあったも

 

すこぶる いい方ではなく

 

彼に言われる以前に

 

塾前の予習は

 

自分でも ふと

 

考えてた事だっただけに

 

なんだか余計に

 

素直に従えなくて

 

 

塊になった粘土

 

再度 棒状に伸ばしながら

 

「…ヤマが外れたんだよ」

 

負け惜しみじゃなく

 

事実を告げれば

 

 

「…ヤマ張ってるようじゃ…」

 

追い打ちをかけるような

 

勉強の仕方の間違い

 

指摘されかけ

 

僕は粘土を再び

 

塊に丸め始めた

 

 

  つづく