― カレが 薬で痒みを訴えるタイプなら
精神科でも 投薬処方の際は
医師に 伝えるようにして…
後…現段階の症状で
気になるのは
湿疹の有無なんだけど…―
予約が終わり
近くに『彼』もいるし もう切ろうと
話をまとめる流れを切り出そうとするも
それを無視し
聞き捨てならないセリフを持ち出した
知人の医師
目に付く肌の炎症?
そんなもんは 無かったなぁ…と
触れて見た カレの姿思い出す
が
そのまま伝える事は
面倒なやり取りの延長になる…と
回避し
診察の時でいいのでは?…と
言いかけた口を閉じ
黙って聞いていれば
― 今 家じゃなくて
その患者の所なんじゃない?―
通話中 話しかけて来た
『彼』の音声を拾ったか…
と 相手の 察しに
軽く返答返しつつ
にしても 外と分かって
居場所を特定する
知人の勘の良さに
参ったねぇ…と 慄(おのの)く
― 「あなた」の悪い癖
目の前の人が
“最優先”なところがある―
成る程…
話題が「俺」の事ではない
アポ入れのみに従事すれば
嫌でも 「俺」の状況が
分かるって事か
― 丁度いい
カレが近くに居るなら
今から言う部位
ちょっと見てくれる?―
突然 話の流れが 変わった
その申し出は つまり
救急が到着するまでの間
通話口の人間に 適切な処置を
指示する類の モノの様に 見えつつ
緊急を要さない 現状では
「俺」とカレの 親しさを量る
トラップなんじゃないか?
と……勘ぐる意思が
返答を惑わせる
― 難しく 考えないで
症状の変化があるかもしれないから
観て 記憶しておいてほしいだけ ―
なるほど
納得できた「俺」は 言われるがまま
カレの肌を診る為に
寝室へ向かった
そして 案の定
カレが係わると
“待て”ひとつ 出来ない
『彼』が
追ってきた
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