ホリエモンこと堀江貴文の著書”君がオヤジになる前に”を読んだ。

私の趣味は読書だ。しかし、小説は読まない。実用書やHOWTO本を読むのが好きである。

私は土日にふと本屋に行き、5000円以内までと決めて本を衝動買いする。5000円分とは高いように思われるかもしれないが、それだけの金銭的な幅がないと、良書に巡り会えても値段で躊躇してしまい、良本を見逃す事がある。それを避けるためである。

良本との巡り合わせは運命であると思っている。

その時の心情や思っている事や考えている事に合致した本を読むと本の中の知識を得る事以上の恩恵を受ける事になる。自分の中の蟠りや心の氷を溶かしてくれる事がある。それは日々の生活や日々の仕事を非常に円滑にし、さらにバイタリティーを与えてくれるものであるので、5000円といっても私にとっては安い投資なのである(週末、居酒屋で飲んでタクシーで帰ると大体そのくらいの金額になる)

そこで今回手に取ったのがこの本だ。堀江貴文さんがどのような悪いことをしたのかは私は知らないし、興味もないのだが、この人の思想は良い悪いは別として好きであるし、共感が持てる。
TVではよく拝見しており、発言や雰囲気も面白いなと思っていたのだが、この本を読んでみて堀江さんは非常にドライな人であり、純粋(ピュア)な人だと思った。

これはピュアやドライの定義にもよるのだが、この二つは同意義であるように思う。
物事に対して純粋に取り組んでいるということは他の事はどうでもよくなり、非常にドライに振る舞えるという事ではないかと思う。私もそのようにありたいと思う。

この本は25歳、28歳、32歳、35歳、38歳という区切りで各年代に向けて堀江氏がメッセージを書いている。私は今年で30歳となるので、”28歳の君へと32歳の君へ”というところを重点的に読んだ。

”本当の働き盛りは20代だ”という言葉が衝撃だった。薬剤師の世界では大学を4年出た段階だと22歳から大学院まで出ると24歳から仕事がスタートとなる。6年制になった今では24歳からがほとんどとなる。
つまり30歳までの6年間が働きざかりという事になる。

私が働き始めてから1年目から3年目は仕事になれるまでが大変だった。今までのように大学院でパソコンと論文だけ見ていればいいのではなく、仕事としてくだらない仕事から体力的にキツイ仕事まで回ってくる中でそれだけをこなす事で精いっぱいだった。

しかし、私は病院実習時代の恩師からある言葉を貰い、それを常に思っていた。
”20代は自分の刃を研ぐ時だ。ひたすら技術を知識を身につけなさい”
この言葉があったため、私は新人の頃どんなに疲れていても毎日夜遅くまで勉強をしてた。
しかし、堀江氏はさらに進んでおり、20代は仕事のピークだという、刃を研ぐと同時に仕事をしていかなくてはならないのだ、とそう言っているようだった。

この本を読んで考えさせられた事がある。それは薬剤師とは何をする職業なのかという事である。
堀江氏のドライな考えの元、私の職業を考えると自分のやっている事を見つめ直してしまう。

薬の専門家と謳っているが、処方設計しているのはもっぱら医師であるし、製薬会社の勉強会でも薬物の事を講演しているのはもっぱら医師である。私は薬剤師になって、薬剤師とは何をする職業なのかという質問を様々な方に投げかけるが未だにはっきりとした答えが出てきた事はない。

調剤に関しても、処方のミスを見つけるだけならそれに特化した能力を養うべきだと思うし、電子入力している昨今の処方では過量投与や相互作用、投与禁忌、などはシステムで弾く事が可能であり、もはや調剤時の処方監査は要らないものなのかもしれない。システムにて弾けないところを見るという事であり、それは医療の知識や薬物の知識は要らないと言える。

病棟業務もざっくりとした名前からもわかるようにはっきりしない業務である。厳しい言い方をすれば看護師が今までやっていた雑用を代わりにやって病棟のために役だったと満足しているように思える。そこに薬学を学んだ事は含まれていない。

薬剤管理指導についても”薬の説明”とのイメージが医師、看護師の間だけでなく、薬剤師の中でもあるように思える。薬の説明なんて薬情やパンフレットを配るだけで9割は完成する。大切なのは現在の薬物治療の問題点を改善する事にあるというのに。患者さんに面談しないと薬剤管理指導料を取ってはいけないという理論は理解できない。

持参薬鑑別は入院したその時点からの事で最も早い段階の薬剤管理指導業務であるといえるが、患者データもそろっていない状況で薬物だけあってもほぼ雑用である。持参薬チェックシステムが今に普及するであろうからそれができれば猿でもできる事になる。

薬剤部の業務展開も時代の流れだからという風にして業務を展開していく事が多い。自ら業務展開をしないから特出することもなく、皆横一列という具合だ、薬剤師会などで業務報告なども同じようなことをやっている。

堀江氏から言わせるとそんなところはとっとと辞めた方がいいようだが、まだ私は薬剤師という職業をまだあきらめたくない。なぜなら素晴らしい先生や尊敬に値する先生もいるからであり、私もそうなりたいと思うからである。

薬剤師とは何を利益にしている所なのかと考える。基本的には社会主義的なところでどれだけやっても収益は同じであるが、薬剤管理指導料は違う。薬剤部が主体となって取れる収益である。資本主義的にやるとしたらこの薬剤管理指導料であると思う。我々薬剤師はこの薬剤管理指導に対してもっとプロ意識を持つべきであると思うし、薬剤管理指導に対しての技能も発表していくべきだと思う。

堀江氏の本を読んだ後であるので、堀江氏のような文調となってしまった。




















内眼部手術における術後の炎症に対して使われるNSAIDsの点眼薬である。
NSAIDsの点眼薬としては最も新しいものでブロムフェナクナトリウムのブロナック点眼液が2000年に発売して以来であるから、実に10年ぶりの発売となる。

NSAIDs点眼薬では発売順に示すとインドメロール点眼液(インドメタシン)、二フラン点眼液(プラノプロフェン)、ジクロード点眼液(ジクロフェナクナトリウム)、ブロナック点眼液(ブロムフェナクナトリウム)が主なところだろう。
それに今回加わったのがネバナック点眼液(ネパフェナク)だ。

このネパフェナクはアンフェナクのプロドラックであり、アンフェナクでは角膜透過性が悪かったものをプロドラッグ化することにより、角膜透過性を良くした製剤である。

ジクロード以降発売されたNSAIDs点眼薬はすべてアリール酢酸系となっている。

角膜透過性が良くないとNSAIDs点眼薬は効果を発揮しないため、アリール酢酸系は透過性が良いのだろう。
角膜透過性は基本的には脂溶性が高いと透過性が良いという。点眼液であるのに脂溶性でなければ角膜内に到達しないというところが難しいところだ。

このネパフェナクも水にはほとんどとけず、D-マンニットールに溶かしてある。

ネバナックは効果の面では他を圧倒しており、最も高い角膜透過性を持ち、白内障手術においてはCME(嚢胞様黄斑浮腫)の予防効果も高い。

当院ではジクロード点眼液を採用しているが、ネバナック点眼液は室温保存でよいところもいい。
ジクロードは冷所保存である。NSAIDs点眼薬は術後に汎用される点眼薬である。
”患者さんに空けたものは室温でいいけど、未開封のものは冷蔵庫に保管して”という指導はわかってくれる患者さんならすんなり説明がいくが、理解のわるい患者さんだと説明に労を要する。
その面では薬剤師にとっては(私にとってはかな?)室温保存というのは助かる。

ただし、指導の時に忘れてはならないのはこの点眼薬は懸濁点眼であるので、用時振り混ぜて使用することを説明しなくてはいけない。我々薬剤師はNSAIDs点眼薬に懸濁のイメージが無いため忘れる恐れがある。

点眼容器の固さであるが、触ったところまあまあ柔らかいといった印象。固いよりは柔らかい方だろうと思う。恐らく力の弱いお年寄りも1滴落すのに苦は無いと思う。



成分名はパリペリドン。統合失調症治療薬であるリスペリドンの活性代謝物である。

さらにこの薬剤は”浸透圧放出システム(OROS)”という除放システムにより徐放製剤となった薬剤である。リスパダールの1日2回から1日1回の投与を可能にした。

この浸透圧放出システムであるが、胃内においてフィルムコーティングが溶解すると放出制御膜という浸透膜が現れ、水分がカプセル内に流入する。そうすると中のプッシュ層が膨張し、上部にある薬剤層1がミクロに空けられた穴から放出し、薬剤層1が放出しきると薬剤層2が放出されるというメカニズムだ。
薬剤層1は吸収のよい上部消化管にて放出されるので低濃度を、2は吸収の悪い下部消化管にて放出されるので高濃度が放出されるようになり、これにより一定化した薬物吸収が可能となる。

インヴェガは効果発現に24時間必要なため、急な症状を抑えるのには向かない。(当然頓服にはむかない)さらに4日間かけて定常状態に達するので、効果判定も5日以上の間隔をあけてみることになり、増量か減量かの判定も5日以上空けてからとなる。

リスペリドンとパリペリドンとの違いでは受容体親和性としてα2受容体の親和性がパリペリドンでより高く、抗抑うつ効果が期待できるが、まだ臨床ではその違いは出ていないらしい

すでに肝代謝を受けた代謝活性物であることから、併用によるCYP代謝の拮抗は気にしなくてもよいというのが利点である。

インヴェガの体からの消失は腎排泄の寄与を多く受ける。なので、リスパダールでは記載がなかった禁忌として、”腎障害(Ccr=50mL/min未満)の患者”というのがある。
腎障害患者(50-80mL/min)でも初回投与を3㎎からとするという用法設定であるので、Ccr=50mL/min未満では投与する用量がないというのと、活性代謝物自体が半減期が長いため、腎障害者は副作用があった時に遷延する可能性が高いためであろうと思う。

MRさんに一応尋ねたところ、「そうです」との回答を得た。

このインヴェガであるが、副作用の報告がリスパダールとやや異なる。リスパである不眠の副作用がインヴェガでは軽減されている。
リスパダールコンスタでも不眠の副作用が軽減されているため、徐放によって副作用自体が変わるとは精神科の薬剤はつくづく奥が深いと思う。

インヴェガは朝食後投与ということで食後の投与が原則となっている。
これは食前では消化管通過時間が短くなり、しっかり薬物放出がされないまま糞便中に排泄され、有効な量が吸収されないおそれがあるためである。

最終的には空になった外皮(ゴーストピル)が糞便中に放出されるため、これも患者さんに説明すべきである。
統合失調症の患者さんの薬物治療は服用遵守がキーとなる。ゴーストピルを見て「薬を飲んでも溶けずに出てきてしまった」と思われては服用拒否につながらないとも限らない。

こんなつまらない事で患者さんの薬物治療がうまくいかなくならないように説明を忘れずにしたいものである。










上部消化管内視鏡検査で胃蠕動運動が激しいとうまく見えないため、その蠕動運動を抑える目的で使われる蠕動運動抑制剤である。

今まではブスコパン注やグルカゴン注が使われていたのだが、注射であるし、禁忌事項や慎重投与の患者さんがけっこう多い。どちらも使えない人は蠕動運動が激しい中でも抑制剤なしで検査がされることもあるという。

このミンクリア、なんと成分はメントール(薄荷)なのである。

メントールは胃の平滑筋の細胞膜上にある電位依存性L型カルシウムチャンネルに結合することにより、カルシウムイオンの細胞内への流入が遮断され、膜電位の発生を消失させ、平滑筋を弛緩させる。そのような機序で蠕動運動はピタッとやむのである。

以前から院内製剤では”ぺパーミントオイル”と呼称して作っていた施設もあるようだ。

このミンクリアのいいところは他の蠕動運動抑制剤が注射であり、全身作用が避けられないのに対してミンクリアは胃内に局所的に散布するだけであるため、副作用の面で圧倒的に優れている。

ただし、このミンクリア、胃の染色にはやや乗りが悪くなるようで散布後すこし間を空けて染色するなどの工夫が必要である。

持続時間は約6-10分ということで検査後長く胃の蠕動運動が止まるということはない。発現時間も24.2秒と反応もビビッドだ。

このミンクリアは間違って注射をしてしまうと死亡ものらしいので、先端は注射針が接続できないようにデザインされている。

ミンクリアは内視鏡の鉗子口から入れ、内視鏡先端から胃幽門前庭部に吹きかける。そうすることにより、胃全体にうまく散布できる。鉗子口内に残ったものもミンクリアのシリンジ内に空気をいれて鉗子口からエアによりすべて出すことで十分な効果が得られる。
ミンクリアの使い方はこの鉗子口からのみで、経口すると刺激が強すぎて喉がやられてしまうのでご注意を。


まだ新人の頃、職場にてどの先輩ができる先輩であり、尊敬してついていくべき先輩であるかを確かめるのは難しいことであろう。
人間はだれでもしたって欲しいし、賞賛が欲しい。そのために先輩の方々もあらゆる手を使ってくるからだ。

一つのパターンとしては周りの価値を低めて、相対的に自らが優れていることを主張するタイプがいる。つまり、”批判家、批評家、陰口 タイプの先輩”だ。この手のタイプの人は私がここで解説するまでもなく、みなさんもこれについて行ってはダメだと思うはずだ。
自らの優越性を主張するにはあまりにもお粗末なやり方であるためである。

2つ目のパターンは”非常に面倒見のいい先輩”である。これは一見無害でやさしい先輩であると思えるかもしれないが、自分の知っている事を先輩のペースで反芻しなければいけない時間的なロスも多いし、知らず知らずのうちにその先輩のフレーム内にはめられ、広い考えができなくなるという欠点もある。それにそもそも、
「あんた、私にかまってばっかりで普段何してるの?」
とも考えられる。

3つ目のパターンは”やけに厳しい人である”。無理難題をそれでも根性でやり通すのだ。という人、それは後輩に言っているようで実は自分に言い聞かせていることが多い。

私がお奨めする先輩は次のパターンだ。

4つ目:”後輩に無関心な先輩”である。 その先輩自体がさらなる上司に媚びをうっているケースと言ってもいい。自分より立場の上の人について行こうとすることは向上心の現れであるし、そもそも出来る人というのは忙しい過ぎて周りに関心がない。また、足手まといの後輩がいても、その後輩を無視してすべて自分でやってしまうという人なのである。 この手の先輩は何も教えてくれないだろう。しかし、その背中をみて近づこうとする事は自らを最も向上させることになると考える。
クラビットは我々医療従事者には非常になじみのある抗生剤である。
風邪を引いた時などに出される事もある。(本当はこんなにスペクトルが大きいものをいきなり出すのはよくない事なのだが)
そのクラビットから静注用の注射薬が出た
現在、クラビットの仲間のニューキノロン系抗菌薬では注射剤はシプロキサン注とパシル注がある。

このニューキノロン系の抗生剤であるが、その中でも特に肺炎などの呼吸器感染症によく効くものをレスピラトリーキノロンと特別に呼称する。基本的には呼吸器感染症原因菌に対して高い抗菌活性を持ち、肺組織への移行性が高いものであるが、くわしくは日本呼吸器学会での「呼吸器感染症に関するガイドライン」にて細かく定義されている。

現在日本にて市販されている中ではジェニナック錠、アベロックス錠、スパラ錠、オゼックス錠、であり、クラビット錠は1日1回500㎎の用法になってからレスピラトリーキノロンの仲間入りをした。このようにレスピラトリーキノロンはいままでは内服しかなかったのだ。

今までのシプロキサン注やパシル注は肺炎起因菌として重要なマイコプラズマやクラミジアについての適応がとれていないため、レスピラトリーキノロンにはなれなかった。

クラビットはマイコプラズマ、クラミジアについては適応があるためレスピラトリーキノロンへと襲名。(1日1回500㎎になってからどこまで適応が増えたのか不明)
レスピラトリーキノロンでは初めての注射薬となる。

クラビットはほとんど未変化体で尿中に排泄されるため女性の膀胱炎を始めとした尿道、腸管感染症に用いる。
ほぼ腎排泄型の薬剤であるのでCcrごとに投与方法が異なる。(添付文章参照)
1日1回投与でいいところもシプロ、パシルと比べてよいところである。(薬価の面でも1日2B使わなくていい)クラビットに限らずニューキノロン系の薬剤はヒスタミン遊離作用があるので、
急速な静注はしてはいけない。60分かけて点滴しなくてはいけない。しかし、それでもニューキノロン系の薬剤は点滴時にかゆみや紅斑が出現するようだ。

抗菌薬の世界は厳しい、スペクトラムが広くなんの菌でもやっつけてしまうものは本来リーサルウェポンとして残しておかなくてはならない。(シューティングゲームのボムみたいなものだ)
しかし、この最終兵器は便利なので、こぞって使われる。その抗生剤の独壇場となるのだ。そうすると他の抗生剤は売れないので廃盤となっていく。しかし、やられている菌もいつも同じ手でやられているわけではない。学習して耐性化するのだ。そんな時独断場で使っていたから薬がない(汗)ってことにもなりかねない。(これは大げさな例であるが)

さながら抗生剤の世界は売れたら一時期は山のようにTVにひっぱりだこで、飽きられたらすぐぽいっといった具合の昨今の芸能界のようである。


バソプレシン2受容体を拮抗する新しい作用機序の利尿剤である。

適応は現在のところ、ループでも効かない心不全における体液貯留であり、他の利尿剤と併用して使わなくてはならない。どの利尿剤と併用するのでも15㎎/日である。

警告まで出ているものは高Naであり、水分のみ利尿するため高Naが起きる。低Naを一気に補正すると起こる橋中心髄鞘崩壊症に注意しなくてはいけない。
また高Naがおこる可能性があるので、Naの測定も忘れずに行う事が重要である。
(橋中心髄鞘崩壊症とは低Naを急に補正した時になるもので、不可逆的な中枢神経障害なので気をつけなくてはね)

バソプレシン2受容体の拮抗薬といえば同じ大塚から出ているフィズリン錠という薬がある。適応は異なり、異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍における低Naの改善である。フィズリンはサムスカに比べて効果発現が遅いため、利尿剤として使うには不適ということであろう。
その点このサムスカ錠は服用後約2時間で効き、12時間効果が持続する。
持続時間が12時間もあるので、多くの利尿剤がそうであるように、夜間頻尿にて睡眠障害が引き起こされるため、午前中の投与が必須である。(とくにサムスカのような強力な利尿剤は)

基本的には最後の手段という使い方らしく、2週間の使用が目安とのこと。

このサムスカ錠、値段がびっくり1錠2525円である。2週間使っても3万5330円である。こんな高価なもの漫然と投与されてはたまったものではない。その辺はしっかり投与日数を確認すべきである

ところで、バソプレシンといえばバソプレシン受容体刺激薬である尿崩症治療薬であるデスモプレシンがある。このサムスカの中毒治療にはデスモプレシンか?と思ったのだが、中毒(効きすぎ)の対処は飲水で十分とのことであった。

しかし、現場では拮抗薬としてデスモプレシンが使われる事もあるかもしれない。





やましたひでこ先生が書いた話題の本である”断捨離”を読んだ。

きっかけは私は自分の好きな空間はとことん片付けが好きなのだが、他のところはほったらかしになり、ついつい散らかってしまう性分であるため、新・片付け術の言葉に興味を受け、この本を手に取ったまでである。
この本の中には今の自分にとって不必要なものが身の回りには多いことに苦言を呈している。
片付けに追われている人は不必要なものを片付けているのだという。
使っていないものは潔く捨てる(断捨離)する事が重要であるとやました先生は言う。
現在ヘビーローテーションで使うものだけならば、いつも使うので、散らかりようがないという理論だ。必要最小限のものにだけ囲まれて生活することにより部屋にスペースができ、それにより自らの生活の改善、向上がスムーズにできるという。

この本を読んで考えさせられる事がある。

薬剤師はGeneralistである事を生かした職業である。しかし、それはつまりは使っていない知識で囲まれているとも言える。
病院の薬剤部などでは、役割ごとに部屋割りされているため、使う知識がそれぞれの部屋によっても違う。一度経験した部屋の事を忘れる事は恥だという考えもあるが、それはそれで使わない不必要な知識で頭を充満させる事になるとも言える。今まで得た知識を反芻、反復して固定化することは大変頭が下がる行為であると思うが、果たしてそれが最も重要かといわれると疑問である。

テスト至上主義である学校教育の影響で、より多くの事を覚えている事が良し、より計算が早い事が良しとされる考え方がいまだ浸透している。昨今のクイズ番組に登場する某有名大学卒のタレントのクイズ王みたいなのがそうだ。アレを極める価値が分からない。百科事典を買えば即終了だ。
(まあ、当の本人はそれによりTV出演の機会が増えているのであながち無駄ではないが・・・)

そのような能力は以前は価値があったのかもしれないが、パソコンが非常に普及し、パソコンのモバイル性も充実した現代においては時代遅れの能力と言えよう。
ではどのような能力が必要になるかというと、予見そして柔軟に変化できる能力であると考える。流れを読み、これから必要となる能力は何かを判断し、すばやく順応し、自らの能力を柔軟に変えれる事ではないかと考える。要塞のように固定して多くのスキルを持つ事は維持費で非常に浪費が嵩むと考える。

細胞にアポトーシスという機能がある。細胞が死にゆく能力だ。それが破綻すると癌化する事が表すように今まで忌み嫌われてきた”忘れる”という現象は非常に重要であるからこそ、人類の進化の過程で失われずに来たのだと思う。現代において、忘れたというのは特に恥な事ではない。情報はたくさんあふれており、いつでも検索し、確認ができるからだ。それより、どのような知識が必要かを選び、ためらいなく経験することが重要である。

よく、新人薬剤師を怒るシーンで使われる「そんな事も覚えていないの?」という台詞は私は一度も後輩に言った事がない。




ビカネイト輸液は細胞外液補充液の重炭酸リンゲル液であり、大塚製薬の輸液だ。
同様の薬剤としては味の素ファルマのビカーボンがある。

ビカーボンと異なる所はMg濃度がビカーボンの2倍含有(2mEq/L)しているところだ。これによりMgが安定に維持されるとのことである。その他大きな違いはない。大塚も重炭酸リンゲル液を出したという事だろう。

細胞外液補充液の歴史としては乳酸リンゲル液から始まる。リンゲル液を急速に補液するとアシドーシスに傾くためにアルカリ化剤として乳酸を添加した。
乳酸は肝臓で代謝を受け、重炭酸イオンをだす。
この乳酸リンゲル液として有名なものはラクテック、ソルラクト、ポタコールRなどである。

しかし、この乳酸リンゲル液、肝臓で代謝を受けないと重炭酸イオンを出さない事から肝臓の弱った人では乳酸を代謝できずに乳酸が滞り、逆にアシドーシスを惹起するのでは?との指摘が入った。(臨床的には問題ないとかなんとか物議を醸しているようであるが)

そこで、つづいて出たのが酢酸リンゲル液である。酢酸は肝臓だけでなく筋肉や多くの場所で代謝され、重炭酸イオンを出すので酢酸が抜擢された。
酢酸リンゲル液として有名なものはヴィーンやフィジオである

近年になると代謝も必要のない重炭酸イオン自体をくっつけた重炭酸リンゲル液が現れる。
それがビカーボンだったり、今回発売のビカネイトである。
侵襲が高いOPEをする患者などは重炭酸リンゲル液が必要との事である。

しかし、重炭酸リンゲル液の難点はやや高いというところ。なんでも良いものは高いのである。






薬剤師にとって薬を覚えている事は大切である。

確かにPocket Dictionary を持てば事足りるということもあるだろうが、ある程度覚えていないと気づく事が難しくなる。薬剤師にとってこの”気づき”というのは大きな武器であり、何よりも大切とも言える。

当院採用薬はざっと1000品目程度である。覚える事項としたら、適応、禁忌事項、用法、用量、代謝排泄経路、併用注意薬、副作用と考えても1000×7項目=7000項目である。
これは膨大な量である。まともにやっては覚えては忘れていく量だ。
だが、多くの薬剤師はこれをすべて覚えているか仕事に遜色のないくらいに覚えている

どのようにやったのか?

ポイントがある。これら1000品目もの薬剤も使用頻度にはとても差があるということである。
薬剤師になったばっかりはその頻度がわからず、どれも重要な薬と思えるのだが、3年ほど調剤をやっていると使われる頻度が分かってくる。まず、頻度の高い薬剤を勉強して詳しく知るのが1~3年といったところだろう。
では具体的にどのように勉強していけばいいのかというと

調剤の時に時間が掛かる事を危惧して薬剤のチェックを怠らない事である。

Pocket サイズの薬辞典を何度も引く事が重要である。それにより反芻する事が増える頻度が高い薬剤は自動的に覚える。(もちろん時間が掛かっては引く事もおっくうなので早く引けるような工夫も実はとても重要)反芻をする事による記憶方法は脳科学的にも理にかなっている。

ではレアな薬剤はどのように覚えるか?
これに役に立つのが各製薬メーカーが開いてくれている勉強会である。勉強会によりある分野を広く勉強する事により、メジャーな薬剤を引っかけながらマイナーな薬剤を覚える事ができる。
マイナーな薬剤はメジャーな薬剤の幹から枝が派生するように覚えるべきである。
早い人はもっと早いと思うが、筆者はすべてを頭の中に把握するのに5年ほどかかった。

それらが、完成したら次に何を記憶するのかは各薬剤師によると思う。
薬剤師にはいろいろな職種が存在するが、基本は薬をすべて知っているという事だと思う。